長らく新生銀行を利用しています。自身の所属ステージによってサービス内容が異なりますし、ずっと昔に比べてサービス内容は悪化しているようで、人によって評価は分かれる点と思われますが、近くにあるセブン銀行ATMから月に何度でも現金引き出しを行っても手数料が無料、という利点があり今も継続して利用してきました。現実的には現金を使う機会が減ってきており、今は現金を定期的に下ろす必要性も少なくなっている現状ではありますが…本題へ。
これはあくまで個人的な感想です。SBIホールディングスが新生銀行への敵対的買収を仕掛けてからと同じくして、あるいはその少し前からか、なんとなしに新生銀行からのサービス提供の案内メールが増えたように感じます。もしかして、これは今回の事態に至ったことも一つの要因だろうかと思ったり(あるいはそうでもないかもしれないのであくまで個人の見解です)。
ロシアに進出している企業の中には、債権保険に加入している企業も少なくないと思います。そして、きっと保険会社を変更する頻度は高くなく、長期的な視点で同じ保険会社との契約を継続しているのが一般的ではないでしょうか。
私がモスクワで勤務していた時には、世界的に有名な再保険ブローカーであるAON社と定期的に話を聞く機会がありました。債権保険や従業員向けの医療保険を提供するロシアの保険会社を選び際には、AONを仲介した相見積もりを行って、妥当な価格と適切な内容の提案してもらうことを勧められていました。複数の会社から提案を出してもらうことで、経験のあるブローカーによるチェックが入り、各保険会社社共に顧客に採択されるために不当な価格を提案するリスクは低くなるはず。そんなメリットがあります。
この話は自社で保険会社の見直しをした時の話です。ある時、経理スタッフから「間もなく債権保険の契約見直しの時期がくるけれども、ぜひ他社とも比較してみる良い機会。ぜひ自分たちで各社から提案を出してもらいのですがOKでしょうか?」という提案がありました。長年同じ保険会社と上手く付き合ってきた中で、いきなり「他の会社からも見積もりを取るので、お宅も次回の契約に向けて良い条件を出してもらえませんか?」と言い出すのはどうも躊躇したものの、「何年もの間、今利用している保険会社と価格交渉もしておらず、過去の条件のまま更新しています。今は他にも保険会社があって、たとえ同じ会社と契約を継続するとしても、今の条件より良い提案がくるかもしれません。」その言葉に押されて、実際に会社にて複数の保険会社にコンタクトして選定を進め、各社からの見積もり提示をもとに交渉を行いました。その結果は驚くもので、想像を超える金額のディスカウントが生まれました。ここまで金額が下がれば他社に乗り換える必要性も無く同じ会社と契約延長をしましたが、条件を定期的に見直すことの大切さを実体験として学ぶ機会となり、同時に会社の財務改善にも経理部門が貢献した機会となりました。
今回の新生銀行からのメールを受け取る時 ー 今回の買収問題の良し悪しには触れませんが ー たとえ現状のサービスに大きな不満は無いと言えども、時には外部からの働きかけにより現在のサービス内容を見直してみることの重要さを、あのロシアでの保険会社の選定を行った時のことと重ねて思い起こしています。ここに市場の相応しい競争が存在することの大切さを感じるところです。
#参考情報
ロシアの2021年における保険市場の動向
https://raexpert.ru/researches/insurance/1h_2021/
以下のリンクはロシアの保険ブローカー会社のHP。モスクワから東に1,700km離れた場所にある街、エカチェリンブルグの会社のようで全く知りませんが、色々なウェブサイトを探した結果、その中では一番分かりやすく保険に関する説明が記載されたように感じられたウェブサイトでした。リンク先の一番下に主要なロシアの保険会社のロゴマークが並んでいます。私の勤務していた会社が利用していた保険会社を含む、これらの保険会社が主に日系企業が契約を結ぶときの候補となる会社と思われます。