ロシアでは2019年1月1日より付加価値税(Налог на добавленную стоимость, 英語Value Added Tax, VAT)が18%から20%に上がったことが話題となりました。実際にVATの詳細を見てゆくと、10%や0%の場合もあります。
ロシア連邦の税法第164条「税率」に定義されています。
https://base.garant.ru/5167814/fc0f475aca39671aa05ff2fbe93e24ae/
0%
商品を輸出した場合、国際輸送にかかる費用など。私の勤める会社でも関税同盟の国へ輸出の場合、輸出した証拠となる会計書類と共にレターを税務署に提出することで0%付加価値税の適用を受けています。
10%
食品、子供用品、本や定期的に発行される出版物、医療品といったものが10%の適用を受けます。私もすべてを理解できていませんが、食品や子供用だからといってすべてのものが適応されるわけではないようです。164条を見ると、大半の食品(肉、乳製品、卵、野菜、魚など)はこの10%が適用されていますが、たとえばミネラルウォーター、チョコレート、ミカンといったものを最近購入した際には20%課税でした。なぜだか蕎麦は10%となっています。その原材料が10%の対象品だからでしょうか。
なんだか、この10%の項目の中の最下段に、
овощей (включая картофель); 野菜(ジャガイモを含む)
とあることに、へーそうなんだ、と目が留まりました。ジャガイモが野菜とみなされるのか?という疑問に応えてきちんとジャガイモも野菜の一部とみなしますよ、と補足説明を加えているのですね。今回、野菜の定義、じゃがいもが野菜に該当しない可能性がある所以を初めて知ることになりました。
20%
上記以外のケースすべてに適用されます。
ロシアの連邦税務当局のサイトを見ると、ロシア語・英語でサイトが整備されていて(英語版はロシア語版には劣ります)、デザイン・内容もよくサイトを訪れる人のことを考えて作られているな、と感じました。そもそも母国語で読んでいても税金のことは難しいので、ロシア語となると大変難しく感じますが、ポイントを強調した、字体も読みやすいデザインとなっています。
https://www.nalog.ru/rn77/TAXATION/TAXES/NDS/
会社のドライバーと会話したとき、「かつては新年といえば家族、親戚で集まって食べて飲んで楽しいひと時を過ごす時間で新年を楽しみにしていて待ち遠しかった。…今は、新年といえばイコール物価の値上げ。プーチン大統領の新年の挨拶がまるで値上げの合図に聞こえるようで、新年なんか来ても嬉しくない」ということでした。実際、VATの影響は2%ですが、明らかに街中の商品の値段は2%以上上がっている様子です。スタッフからもお店はどこも便乗値上げをしていて生活が苦しくなった、と言われます、つまり、会社も昇給のことを真剣に考えてほしい、と言われているのと同じことです。春の季節となると、人事評価、給与更改と、春の訪れは嬉しいもの神経を使う季節となってきました。
さて、こんな付加価値税の仕組みを調べてみると、その国の政府がどういった考えで国を運営しているのか、そんなことが税金の構造から分かるような気がしています。