5月に入ってから、10年ぶりだろうか、久しぶりにNHKロシア語ラジオ講座の教科書を購入してみました。近所の書店に入り、店頭に並ぶ各言語の教科書の数を見ていると、ロシア語だけが残り少なくなっている。もしかしてロシアによるウクライナ侵攻が引き金となってロシアが注目されることにもなり — 幾つかの書店を回るといずれもロシア特集コーナーが設けられていました — ロシア語を学んでみようと思う人が増えたのだろうか?と思ったり。たまたま入った書店で、たまたま見かけた光景だけで判断はできないのですが、ちょこっとだけでも言葉に触れてみようかな、と思う人たちが増えても不思議ではないのかもしれません。
Duolingo
NHKのラジオ講座の話をしているにも関わらず最初に書くのはDuolingo。只今はまっています。以前から気になっていた中国語を少しずつ勉強すべくDuolingoの無料版で毎日少しだけ学習を初めてみました。せっかくならロシア語も、と思い始め続けて約2か月。毎日の連続学習記録を絶やさずに間もなく連続60日を突破しようとしているところ。すっかりDuolingoの良さに魅了されている現状です。
Duolingoは、詳しくはインターネット上で検索するとYou tubeなどでも詳しく紹介されていましたが、可愛らしいキャラクターや、一度もレッスンせずに一日を終えようとするとリマインドメッセージが届いたり、他の登録者とのランキング競争で自分の順位が降格圏内に入ってしまうと警告メッセージが表示されたり。毎日レッスンすることをモチベートしてくれる工夫がそこかしこにされています。
ロシア語レッスンは日本語ユーザー向けのコースがなく、English speaker向けを選択せざるを得ません。そんなわけで、ロシア語文章を英語に翻訳する際に形容詞をどこに持ってくるか悩んだり、単語の並びが入れ違いになってしまって間違いを重ねたり。日本語で学習できる中国語よりも英語でロシア語を学習する分だけハードルが高いです。一つ一つの課題は短いものですが、曖昧な理解に留まっていた単語の格変化を正しく理解しなおすこともできますし、レッスンの中で間違えた箇所が必ずもう一度最後に出てきて、正解するまではレッスンを完了できない。お手本の音声に従ってフレーズを声に出して、正しく発音できていないとクリアできない音読の課題もあります。短い中にも工夫満載だと思います。時にロシア語を話す友人とZoomで会話する時には、思ったよりも口が動くことから、きっとDuolingoのおかげなのかも?なんて考えることもあります。
ちょっとした隙間時間で勉強できるのはDuolingoの大きな強みの一つではないでしょうか。毎日たったの5分としてもそれを毎日継続すればきっと目に見える成長を感じる日がくるのだろうか、と思いながら…。なお、Duolingoを長いこと利用していてDuolingoを勧めているYoutuberのチャンネルを見たところ、「Duolingoの学習に毎日15分は費やすようにしている。ある程度の進歩のためにはそれぐらいの時間は最低必要だと考えている。」という発言がありました。なるほど…。この15分は短いようで長い。続かないこともあります。成長するためには毎日の継続の大切さが語学に関わらずあらゆる分野にも共通して言えること。しかし、たとえすぐに話せるチャンスも必要性もないとしても、たとえ一緒に学ぶ友人がいないとしても、いつか話せるようになるために先の見えない新しい言語の勉強を継続するのだ。…そんなモチベーションが持続しない場合もあるかもしれません。わずか15分のNHKの語学講座でもだんだんと15分も無理。となってしまうことも十分起こりえます。そんな時には無理することなくDuolingoで毎日5分もかけずに語学の勉強。そして、仕事の休憩時間を利用して少しずつレッスンをクリアすれば、1日の終わりには合計15分以上の勉強をしていることもよくあります。そして毎日継続できていることで達成感も感じられます。お勧めです。
NHKラジオ講座テキスト
私の場合は、包み隠さずに言えば、NHKのテキストを手に取るのは用を足す時の読み物として利用することが多いかもしれません。NHKの語学講座は、文法の説明も丁寧にされていて、大学1年生の頃に習ったロシア語講義の内容を復習しているかのようです。今読み返すと、やっぱりロシア語は難しい…そう思います。
高いモチベーションを持っていないと一人で毎回のラジオ講座15分を継続することは大変ではないだろうか…と。そんな中、ロシア語5月号で面白かったのは、テキストの後半にある応用編。テーマは”ゴンチャロフが見た日本“。「1853年にロシア艦隊4隻が長崎に入港して、その後1年半に及ぶ日ロ交渉が始まり…旗艦パルラーダ号に乗っていたのが、作家のイワン・ゴンチャロフ…。長崎での交渉が終わると、ゴンチャロフは任務を解かれて1855年2月にペテルブルクに戻ります。…彼はすぐに旅行記を雑誌に連載しはじめ、「日本におけるロシア人」と題された章は、特に評判になりました。…ゴンチャロフは初めて出会った日本人の様子を、時には辛辣に、時にはユーモラスに、見事に描き出しています。」(参照:NHKテキスト まいにちロシア語5月号85ページ)この5月号に紹介されている文章は、この章からの引用のようです。単にロシア語の勉強というよりも、昔の日本を紹介する当時のロシア語文献から当時の様子を知ることができる。これを読むだけでもロシアと日本の結びつきや歴史を知るきっかけになり楽しく読んでいました。大学時代にはNHKのラジオ講座テキストを購入してもほとんど開かずに積みあがっていくことが多かったのですが、年を取ってからは自らの意思で率先して開くNHKロシア語テキスト。それは、貴重な知識の宝庫で、こんな軽くて薄い本の中にこれだけの面白い内容が詰まっていることに感動を覚え、やっぱり言語を学ぶのって楽しいな、と認識しています。