ロシアのイノベーションの可能性 / The possibility of innovation in Russia

5月31日(木)、会社休みを取ってロシア・CIS諸国圏内で最大のスタートアップイベントと言われるSkolkovo Startup villageに出かけてきた。

Skolkovoは、モスクワの中心に位置する赤の広場から直線距離で西に約20kmほど行ったところにある。ロシアの”Silicon Valley”を目指して開発されているビジネススクールやスタートアップベンチャー企業、関係者が居住する約400ヘクタールのイノベーションセンター。

Link: Skolkovo
Ref: Skolkovo, silicon valley

感想

入場料は4,000RUB(現在レートで約7,000JPY。64USD)。初めて見聞きすることに対する対価として高くないと思う。内容について率直な感想を言うと、他国の同様のイベントを知らないため単純比較ができないけれど、少々寂しかっただろうか…。絶対的なスタートアップベンチャーの参加数も少ないのではないだろうか、敷地は大きいもののイベント自体はこじんまりとしたものに感じた。この日は非常に風が強く、ジャケットを着ているだけでは震えるような体感温度。それもあってか来場者自体も少なく。外の各ブースの盛り上がりはいま一つだった。自分自身、寒さに負けて長居しなかったので、きっと面白いテーマを逃してしまったことは否めないと思う。

一つの建物では、業務効率化に役立つソフトウェア開発をしたベンチャーのプレゼンテーションが繰り広げられていた。発表者がステージから最前列に座る批評家(投資家?)および観客に向かって発表を行い、質疑応答。その後次の発表者へ。このプレゼンを機に大きく発展するビジネスが生まれるのだろうか。

マトリョーシカと呼ばれる別の建物内部に入ってお聞きした2つの話はとても興味深く、勉強になった。

1. Mr. Tallis Gomes / CEO of EASY TAXI
ブラジル出身のこの方が創立したタクシーアレンジの会社のようだ。サービス内容はよく知らないのだが、以下の点が強調されていた。情熱的で説得力のある素晴らしいプレゼンテーションだった。
・いかに企業がInnovationし続けることが大切なことか(book “Exponential Organizations: Why new organizations are ten times better, faster, and cheaper than yours)and what to do about it” by Salim Ismailより下記引用
“In the next 30years 40% of all S&P 500 companies will disappear from the list”
“The average half life of a business competency has dropped from 30 years in 1984 to 5 years in 2014”
“89% of the Fortune 500 companies from 1955 weren’t in the list in 2014″)

・会社経営で大切なことは、3つの柱。
Aaa people: Put the right people on the bus and then decide where to drive
Share autonomy: Vertical organizations are doomed to fail
Culture: Mak’em work for a purpose

2. Mr. Mark Mueller-Eberstein / CEO of Adgetec Corporation
Blockchainがビジネスを変えている!そのことを語っていた。自分自身はBlockchainについて正直さっぱりで、これを境に本を開いて勉強を開始したばかり。

今回イベントを見に行ってから一般的に言われている”Innovation”に必要なことは何だろう?と考えるようになった。

Innovationとは?

GDP、人口、人の移動(流入数のみPickup)を比べてみたものが以下のグラフ。

ref: http://www.imf.org/en/data (the graph is created based on the IMF data)


ref: http://www.imf.org/en/data (the graph is created based on the IMF data)


ref: https://www.dhs.gov/immigration-statistics/yearbook/2016/table3 (the graph is created based on the data)


ref: www.gks.ru/wps/wcm/connect/rosstat_main/rosstat/en/figures/population/ (the graph is created based on the data)

Innovationと言えばアメリカがパッと頭に思い浮かぶ。
このデータの使い方が必ずしも正しいとは言えないかもしれないけれど、いかにアメリカがあらゆる国の人々を受け入れて、その分たくさんのリスクを抱えつつもInnovationをし続けているのか、そしてそれだけお金も集まりGDPも他国を圧倒しているか、数字を見てもよく分かる。2017年のアメリカ、ロシアのGDPを比較するとその差は12,7倍。移民の数(観光等の短期滞在除く)はアメリカはロシアの2倍、出身国内訳をみるとアメリカの多様性が圧倒的。ロシアへの移住のうち90%はCIS諸国からとほぼ旧ソ連圏の国々で構成されている。人が集まってくる、それに伴いお金も集まる。そして多様性と自由度。言わずもがなこれらはInnovationに欠かせないはずだ。

一方で、”Innovation”が必ずしも上記の定義のみ当てはまるものではないように思える。同質性からこそ生まれるInnovationもあるはず。鎖国時代の日本にも独特のInnovationがあったからこそ開国したときに外国人が日本文化に敬意を示したのだろうし、ロシアも西側に対抗していた旧ソ連時代には独特のInnovationがあったであろう。また、今の世の中たくさんの情報があって簡単に洗脳されてしまうけれども、世の中大多数の中でぶれずに違うことをやってみる、そんな一人ひとりが自分の信条を大切にした一つ一つの行動があらゆるInnovationに繋がるのかなと自分に言い聞かせて…。

部下の課題管理の方法/Task management

部下のタスク進捗管理をどのように行うか?

この課題は誰もが抱える課題と思う。日々試行錯誤を繰り返しつつ最適解を見つけようと努力中です。自分自身が今分かっているのは「組織、部下、状況に合わせたやり方からその時に相応しい方法を取り入れること」。

今、自分は人事、経理、法務、IT、物流の各セクションに責任を持っている。各セクションには課長がおり、定期的に彼らと課題確認を行っている。ただし、会社規模も決して大きくなく、各セクションの人数は2~5人と小規模であることから課長の部下ともコミュニケーション機会は多い。

”欧米では個人の自主が尊重され、双方の信頼関係をもとに仕事を任せるべき。そのため、締め切りを定め、部下から報告が上がるのを待つこと”なんていうアドバイスを読んだことがあり、そのように始めてみた。また、全く定例会議もなかったため、毎月一回集まるようにしてみたり。それでは足りず、昨年は各セクションと週一度のミーティングを設定。このコラムも役立ちました。

コラム:The 15-minute weekly habit that eased my work anxiety and made my boss trust me more

やっぱり上手くゆかないセクションとは日々話合いをするしかない…。人もそれぞれで、きちんと自主的に管理し、定期的にレポートしてくれるスタッフには必要以上にチェックを入れる必要もなく、一方で頻繁にケアしてあげる必要があり、それを望んでいるスタッフもいる。その場合は意識して声がけすることが大切なんだ、とも学んでいます。

最近読んだ本では、とある企業では毎朝の15分のブリーフミーティングを行うことで業務に関する疑問が減り、総合的に会議時間を減らすことに成功した、とあった。そう、会議、会議、というけれども、日頃からコミュニケーションが取れていれば頻繁に会議を開く必要もないはず。自らを振り返ると、自分のことばかりに忙殺されていてスタッフへの気配り、声がけが足りないなぁ…と反省することばかり。

今ではオフィスの中をできる限り歩き回り、スタッフの近くを通るその都度、声をかけて数分ほど各課題の進捗を教えてもらう、複雑な課題は別途会議を設定して議論する。といったやり方に落ち着きつつある。

 

言語とメンタリティ/Language and mentality

好んで太陽と空を取るのだけれど、この写真が今のところ一番好き。写真では生の感動が伝わらないのが残念だけれど、自然の美しさ、凄さをズドンと身体で感じた日だった。

昨日、金曜日の晩にロシア人の友人家族と夕食を楽しんだ。語学を専門に勉強してきた奥さんが「言葉があるのは、人が同じことを一緒にやるためである、もし人が一人で生きるのであれば言葉は不要だ、と学んだ」と言葉の意味を語ってくれた。なるほど。
また、面白かったのは「昔、神様が人間の言葉を混乱させてバベルの塔の建築をやめさせた(旧約聖書の創世記に出てくる話)のは、単に言葉を異なるようにしただけではない。メンタリティ、物事の捉え方そのものを変えたことが主要因で建築がストップしてしまったのだ」とのこと。「言葉だけ変えたのであれば、言葉を学習することでお互いが理解できる。しかし、言葉そのものの裏にある概念を理解できなければ、言葉ができたからといってお互いが理解し合うことは難しい。」

「ロシアでは諺などで多様される数字は1、3、7、100。しかしフランスでは2,4」なのだそうだ。例えば、日本では短く話をまとめて表現してもらいたい時、「一言でお願いします」というが、ロシアでは「二言で(в двух словах)」という。言葉の背景にある概念にまで深く思い巡らしたことはなかったので、考えされるよい機会になった。

我々の会社は就業時間が決まっているが、ロシア人スタッフは遅刻が当たり前。数分の遅刻についても特に悪びれることはない。「オフィス1階でエレベータ待ちの人が多くて乗れなかったので遅刻した」とか普通。10分前行動を推奨しても、契約上の時間は決まっているとか、遅刻してもその分残って働いているので何が問題なのか?これもよく聞く。何かで読んだのだが、”日本人は仕事開始時間にはやたらと厳しく、仕事の終わり時間には無頓着(つまり仕事の締切に対する意識が低く、終業時間後もダラダラと続けてしまう)”という傾向は事実と思う。これについてはまた別で詳しく書きたいが、これもメンタリティの違いを示す良い例だろうな。

この季節、金曜日は多くのロシア人がこぞって郊外にあるダーチャ(別荘)に出かける。彼らもこれから車で2時間ほどのところにあるダーチャにでかけて週末は部屋の内装工事をしたり、家庭菜園のチェックをするそうだ。