自分の好きを大切に。若宮正子さんの講演会を聞いて / Cherish what you love. From Masako Wakamiya’s lecture

プログラミングの勉強をちょこちょこしている中で知った世界最高齢のプログラマー若宮正子さん。私の住む街に本物がやってくる、ということでご本人から直接話を聞くことができるこんなチャンスは滅多にあるものではない!ということで出かけてきました。

講演会では撮影、録音は禁止だったのでメモだけとなりましたが、内容はYoutubeでも見聞きすることができる内容と概ね同じもの。そうはいっても、生の姿を直接見て、生の声を直接聞いてその熱意を感じることはYoutubeでは体験できないこと。とっても貴重な経験となりました。インタビュー記事にもありましたが、各地の講演会には一人で出かけてゆくそうです。実際に講演の後には一人でタクシーに飛び乗って帰ってゆく姿をみると、元気なおばあちゃんなんだなぁ、と。これだけすごい方だからこそ日本中で引っ張りだこであり、政府主催会議の有識者メンバーをも務める立場なのですが、面白かったのは、政府から有識者としてメンバーに招待されたときのエピソード。会議メンバーに連なる周りの方々の経歴は錚々たるもので、〇〇大学教授、経団連の〇〇など。「高卒の私が有識者メンバーなんていいんでしょうか?」と尋ねると、担当の方の答えは「時代が変われば有識者の定義も変わるのです」と。本当にそうだなって。自分が今行っていることが周りから見れば頓珍漢なものとしても、後から時代が付いてくるっていうことも。そして、学歴なんか関係ない。年齢を重ねても勉強し続けること。周りに振り回されず、自分の信じることを大切にこつこつと継続してゆくこと。きっとそれが将来に繋がる、自らモデルケースとなった若宮正子さんのように。

私がお聞きした内容もこのYoutubeに出てくるものと概ね同じ内容。各地の講演会では基本的なベースは同じ資料を利用していて、その時々で異なるものを差し替えているのかもしれません。

込み入った言い方をせず、シンプルで分かりやすい言葉がとっても良かった。聴衆の私たちの心にすっと入ってくる。メモした内容のいくつかを抜粋すると、

  • これから大切なのは”意地悪なお嫁さん”になることよ。(なんでも親のためにスマホを操作してあげることは本人のためにならない。むしろ本人にやらせることが本人のためになる、という意味で)
  • 短絡的な正解を求めない。
  • ベストではなくベター
  • 取り越し苦労をしない
  • 100点主義✖
  • 自分の考えを人に押し付けない
  • 頭を自立させる。=自分の頭で考える。人が言っているからではない。
  • 自分の好きを大切に。(私は特にこの言葉が気に入りました)
  • 携帯電話は万能電動小箱
  • AIとの付き合い方は、機長=自分。副操縦士=AI

常に新しいことにオープンで好奇心旺盛。まずはやってみることの大切さを説いている若宮さん。人生って年を重ねるほどに面白くもつまらなくもするのは自分次第。そんなことを生き方で示してくださっているのだろうなぁと思って聞いていました。

ふと後ろの方に座って講演会を聞いていて気になったこと。そしてこれは勝手な自分の思い込みかもしれないけれど。インターネットで調べてみると他の方々が述べているように、良い話を聞いても実際に行動する人は全体の20~25%くらい、そして継続できる人は4~5%くらいだとか。この数値の信憑性を証明する文献を見つけることができなかったのだけれど、ここで大切なことは実際に実践する人や継続できる人がどれだけ少ないかということ。会場から時折起こる笑いは、単に面白い話を聞けた、あるいは88歳にもなる高齢のおばあちゃんがこんなにも頑張っているんだ、という温かい笑いであってそこには88歳になっても学び続ける若宮さんの姿勢に対する倣いたいという気持ちがあるのかなぁ、と思えてきました。この会場に来るという選択をした時点でこの会場にいる方々の行動力は素晴らしいことだけれど、ただただ良い話を聞いたな、こんな年齢になってまで各地を飛び回っていてすごいな、もしそんなところで終わってしまっているとすれば勿体ない。会社の中でも退職の年齢が近くなってもまだまだ仕事や新しいことを学ぼうとする姿勢を持ち成長し続ける人っていうのは少ないように思えます。実際に私もこんな偉そうことを書いているけれど、成長し続けることがどれだけ大変なことか!そんな世界だからこそ常に学ぶことを楽しむ若宮さんの姿が光ります。果たしてそういう自分自身はどうなのか?…そんなことを思い巡らしながらちょっぴり冷や汗もかきつつ今このようにしてブログに書いています。自分の好きを大切に。成長しよう、ではなくて自分の好きなことを大切に、日々こつこつと継続してゆく。ふと気が付くと若宮さんのようになれるはず。そんな自然体でいようと思います。

ロシアのユーモアがあれば仕事での苛立ちも吹き飛ぶ? / Does Russian funny humor take away your frustration at work?

モスクワで勤務していた時、素直にロシア人スタッフを見てすごいと思い、彼らに教わったことの主な3つと言えば以下が挙げられます。

  1. 為替に対する意識の高さ。自国の通貨を信頼せず、自分の資産状況やUSDやEURの為替情報に敏感であったと思う。もしかすると長期休暇を海外で過ごすことを楽しみにしているが故に、為替レートが自身の旅行資金に直結することから必然であったのかもしれない。ロシア国内だけで生活している人にとっては大きな影響はないのかもしれないけれど、為替の暴落により簡単に自分の資産価値が3分の1になってしまうようなことを経験すれば、誰しもそうなるのかも。
  2. 「何で日本人の会議はそんなに長いのでしょうか?」…本当にそう思いました。果たして自分が今費やしている時間は投資なのか、いやいやただの消費なのか…。スタッフはよく見ています。一方で、「やります!」と約束した仕事が終わっていないにも関わらず、終業時間になったので帰ってしまったスタッフのいない机を見た時には「頼むよ…もっと時間を上手に使って仕事できなかったのだろうか。終わらなかったらせめて報告してから帰ってくれないものか…」と思ったものです。
  3. ユーモアのセンス(Русский юмор)。これは本当に素晴らしい。毎日をたくましく生きているスタッフ。笑いたいときに大いに笑い、悲しい時には大いに涙を流し。そんなストレートの感情表現は時に疲れましたが、そんな素の様子で冗談を言い合ったりしてわいわいがやがやのコミュニケーションを見るのが好きでした。

多くのスタッフがあまりにも就業規則で定める始業時間から遅れて出社するため、ある時に「始業時間の9時には業務開始できるように余裕を持って出社を」というお触れを出して、遅刻した時にはその理由を書いて受付スタッフに提出してもらったことがありました。ここではどのような勤務シフトが相応しいのかという人事システムの議論には入らず、あくまで笑ってしまったユーモアの話です。ロシア生活時代の書類を整理している中で発見したもの。全ての用紙は残っていませんが、何よりもモデルとなるべき人事部門のスタッフがこうも毎日のように遅刻していたのかと。そして、その彼女の書いた理由は怒ることも忘れてしまう思わず笑ってしまう内容でした : )

以下は手元に残っているものから。

「寝ていたかったから寝てました!」

「時計を冬時間に変えるのを忘れていました。」

ちなみに、ロシアでは通年同じ時間を利用しており、2014年に基準となる時間を冬時間とする変更があった。2017年はすでに3年が経過している…ありえない…。

(参考)ロシア/モスクワの時差と現在時刻

「もう一度(遅刻の理由を)質問してきたら私は辞めます。」

この彼女の言葉を受けてこの報告用紙の運用を止めたわけではありませんが、この後の日付のものは残っておらず。結果的に時間も全体的に改善されましたのでこの用紙の運用も自然に消滅してゆきました。人事も試行錯誤の連続。頭を抱えて真面目に取り組んでいたのにこんな風に返ってくるとは。一本取られてしまいました : )

その後も彼女はいつも楽しそうに仕事をして、自分のキャリアステップのために次の会社に転職してゆきました。幸いにも良好な関係を保つことができていたので笑って楽しく読むことができましたが、文面だけで判断すると挑戦的なコメントとも言えそうです。人と人との関係は時として緊張が走ることもあるけれど、そんな時にもユーモアを通じて緊張ももみほぐせると良いですね。