ロシアで働くにあたってのGeneralistとしての価値 / The Value as Generalist in Moscow work life

モスクワの地下鉄Трубная(Line 10)のチケット売り場。”We speak English!”と窓口にありました。先日見つけた地下鉄でのトイレ設置いいモスクワも変わったなぁ・・・と。

モスクワでの勤務経験の数年を経る中で考えるに至ったことは、この世の中に生きる中で、一つのこと(専門性)を突き詰めることー Specialistになることーが果たして正しいことなのか?、ということです。少なくとも自分自身の中では、これまでの経験に基づき自らの将来を勝手に決めつけてしまうことのないようにしたい、と考えるようになりました。初めて経理という学問を知った大学最終学年、常にすべての処理が借方と貸方とでバランスすることの素晴らしさに感動を覚えて、そこから会計を自己学習するようになりました。それからというもの、就職してからも会計に関して時間を割いて勉強し、経理部門で働くことに。その後、会計の資格を目指すようになり、日商簿記、そして次は税理士や会計士?そんな目標を抱きつつも現実の難しさにぶつかり先がまったく見えない中でのモスクワ行き。資格教材を一式持ってモスクワにやって来ましたが、まったく勉強に費やす時間はなく、日々起こる仕事のことで精一杯。赴任して前任者がいなくなってから、いきなりまったく経験もない物流で問題が発生。「今借りている倉庫のキャパシティが足りないため、これから入荷する商品を保管する場所がないんです。何とかしなければいけません。(さあ、何とかしてください)」とまるで新人の素人がどのように事態を取り扱うか様子見とでも言うかのように、自ら動かない物流マネジャーを連れて仮のスペース探しに動き回ったことがありました。人事のことではソビエト時代の生きた化石のようにまったく営業サポートどころか営業活動を否定するような頭の固い経理トップがいたり・・・。そういった日々のバトルを闘い、切り抜けて、切り開き明るい光の差す未来へ・・・そんなことの繰り返し。そんなわけで赴任してからというもの全く経理という業務に携わることができず、世の中の会計の世界の潮流についてゆけずに悶々としていた時期がありました。今では完全にGeneralistになっていますが、結果として、それは自分の望んだ形ではありませんでしたが、その仕事人生を楽しんでいます。

Generalistとして

Generalistとして幅広い分野と携わっていると別の分野を知ることができます。その結果、その経験・知識を他の分野に応用できることがあります。例えば、IT技術はとりわけ他の分野と密接な関係があります。毎日物流スタッフが翌日の商品出荷情報を顧客にメールで連絡する場合。一つ一つのメールを作成してはクリックして送付する・・・その繰り返しのなんと時間のかかること。エクセルから各顧客向けの情報ファイルを作成し、各顧客向けのメールを作成しファイルを添付する。そんなこともITを把握していれば提案が可能となります。

Generalistとして多くの問題と接していると、自分で物事の理由を考える力が付くように感じます。ロシア人経理スタッフを見ていて、何かファイルでトラブルがあるとすぐにITスタッフに電話。「XXX、Excelに何かトラブルがあって進まないから助けて、早く来てね。」と。何でその原因を探ろうと少しでも自分で考えないのだろう?と思います。(残念ながらもうあきらめました。どんなに言っても変わらない人は変わらないので)

「私は営業、あなたは管理」という発言も嫌いです。人はだれもが営業であり管理でもあるというのが持論です。あくまで日頃取り扱う商品や業務内容が異なるだけで、人間誰でも自分自身を売る、という意味では皆営業です。営業だからといって数値管理ができない、最低限の法律知識を知らずにいてもよいわけではない、という点では皆管理です。

好奇心や「なぜ?」という問いかけ

今の世の中、あまりにも世の中の根底が変わってゆく中、自分が信じていたものが覆されてしまうことがあります。自分の強みであったものが将来的にそれほど必要とされなくなってしまう可能性があります。結果的にそんな時がどれほど近くにあるのか、突然にやってくるのか、きっとゆっくりと注意してみていなければいつの間にか気が付かずにその時を迎えてしまうのかもしれません。

最終的には、他のことに関する興味、関心を示す度合。なぜなんだろう?という問いかけ。それがその人の成長につながるのだろうと。逆に考えると、それができる人間が現地企業に少ない…と思うと残念です。

自分のことを勝手に決め付けない

このように書いていて分かるのは、どんなに自分自身の専門性があったとしても、すべては自分のことをこうあるべきだ、自分はこうなんだ、と決めつけることを避けるべきである、という真理です。どんな可能性も自分にあるのだ、ということを意識してゆきたい、そんなことをロシア人スタッフにも伝えてゆこうと努力中です。インターネットの記事を読んでいると、ジェネラリストを擁護する記事も散見されました。

https://hbr.org/2016/06/generalists-get-better-job-offers-than-specialists

つまりそれだけ世の中でGeneralistに対して否定的な見方が強い証拠なのかもしれませんが・・・。

モスクワでの労働市場を見ていると、幅広い分野での業務経験を持っている人材が少ないと同時に、ジェネラリストであることに否定的な印象を感じます。ロシアでのビジネスは欧米や日本とは違った特徴があるとしても、若い世代は欧米の影響を受けていますし、教養のある世代はロシアのあり方について良さ悪さを客観的に見れる人たちではと付き合う中で感じています。そんなことから、ロシアにおいてもそんなマインドも将来的には徐々に緩和されてくるのでは・・・そんな風に思えます。

また、このようなそれぞれの専門性に固執したSpecialistが多く見られるからこそ、多くのことを幅広い観点から客観的に見て適切な状況判断と、各関係者と温和に議論をして着地点を見つけることができる人間の価値が高まっているに違いありません。

そもそもGeneralist、Specialistという区分自体が不要では?

それにしてもGenralist、Specialistという区分も人間が勝手に作り上げた分類であり、ただ結果として見える事象にそれを“Generalist”や“Specialist”という言葉を作り上げただけなんだと思います。ただ単に、あらゆることに興味を持ち、それぞれに入り込んでは時には飽きて他のことに行ってみたり。そんなことから幅広い見識と経験を持っている人をGeneralistと呼ぶ。たまたま一つのことに強い興味を持ち、それにとことん打ち込む結果他の人よりもその分野について深い知識を持つようになった人をSpecialistと呼んでいる。そもそも自分はいずれかの人間だ、なんて考えずに自分の持つ興味・関心事に素直になってみるのが良いのかな、とこの記事を書く中で至った結論です。

Author: Author

ロシアのモスクワにある日系企業の管理部門に7年間勤務した後、現在は日本で働く会社員です。モスクワでロシア人と一緒に日々仕事をする中で、私たち日本人が経験するアドミ業務についての情報、課題、考えなどを少しでも多くの方々と共有したい、アドバイスをいただければ、と思いブログをはじめました。 経理、労働法や人事制度の仕組み作り、ITスキルを応用した仕事スキル向上、EAC認証などの幅広い管理課題に取り組んでいます。 とりわけチームビルディング、部下とのコミュニケーション、モチベーションアップ、という課題は世界共通だと認識しています。そんな話題も中心テーマの一つです。

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