ちょうどよい駐在期間はどれくらい? / How long is the right period of working as an expat in Russia?

駐在の経験を経て今思うこと。会社の規模、内容に依るのですべてのケースに当てはまりませんが、管理業務に従事する駐在員の場合、モスクワに長く駐在することはビジネスパーソンとしての価値を上げるには限界がある、ということです。海外での業務経験、ロシア人スタッフと勤務して感じる文化の違い、言葉や育った背景も全く異なる部下や同僚たちとぶつかりながらもどのように仕事を進めてゆくか、仕事以外の日常生活で体験する初めてのこと、どれもが日本の環境では決して得ることができない体験です。

駐在員として本社から派遣されてきた契約形態であれば、金銭面での待遇は日本で生活するよりも高く、日本の生活水準よりも高くなることがほとんどだと思います。(中には現地のモスクワの子会社で現地採用された日本人もいます。その待遇は駐在員に比べると決して恵まれているわけではないと思われます)給料も貯蓄できて、よい生活環境が保証される生活。しかしそれが七年ともなると、徐々にそこでの業務経験もただ繰り返してゆくことが増えてきます。確かに会社は成長し、それに伴って組織が変わってゆくことを目の当たりにできることは貴重です。新しいポジションを作り、新たな人を採用して仕事を覚えてもらう。徐々に自分自身が抱えていた仕事をロシア人スタッフに委譲してゆく…そういったやりがいは確かにあります。しかしながら、日本の本社でできる仕事はモスクワで経験するやりがいとはまた違った内容の意味でもっともっと大きなものです。駐在員としてモスクワで経験した苦しいこと、辛いことを踏まえて、それをどうしたら改善できるだろうか、どうすれば全世界にいる駐在員や現場で働くローカルスタッフたちのサポートができるだろうか、そんなことを考え、実際に提案して喜んでもらえる。自分の働きが幾つもの海外の子会社の業務改善に役立つことを実感できる喜びがあります。この観点で言うと、自分自身の成長にとってモスクワでの勤務経験は、長すぎると、ある地点を境に自分の成長をストップさせる、そう感じています。大きな理由の一つは、モスクワにある日系企業の規模そのものは小さいものがほとんどであり、その会社で経験できる仕事の規模もそれだけ小さくなってしまうからです。

3年という一定の切りの良いスパンがありますが、3年は大変短すぎました。一通りのことがわかって、自分のやりたいことをできる体制づくりもようやくできつつあったタイミングが来た時にはすでに3年が経過。毎年厳しくなる本社からの管理体制の強化への対応に追われて社内の規定を整備したり、新たに要求されるレポートの整備に追われたり。人事で言えば会社の組織作り、制度作り。人が安定しないことから採用活動が続く。ようやく採用したとしても定着に時間がかかったり、税務調査や社会保険関係の監査が入り対応に追われてしまう。人が不足している期間は自分自身も業務に入ってゆかないといけないためにまた仕事が停滞する…そんなことの繰り返し。自分の思うようにうまくいかないことが多々ありました。現地でお世話になっていた人事部を知る方曰く「あまり長いこと現地にいると本社から忘れられてしまう。自分の会社でのキャリア形成も考えるのであれば子会社に長くいることは決して良いことではない」という言葉が真実を物語っていると思っています。もし会社の土台が整えられている会社であれば、3年という期間が満足できる充実仕事の期間となるかもしれません。他方、私のように苦労の連続の中で経験した7年間というのは、ある意味では長いと言いつつも、会社の底からようやくゼロ地点にたどり着き、そして成長してゆく。そのプロセスを経験する点では適切な期間だったのかもしれませんが…。

自分自身の価値観の軸を何に置くか ー とにかくロシアに関わっていたい、ロシアに居続けたい、あるいはロシアでの業務経験は自分自身の視野を広げるための一期間であり、その間に小さな規模の子会社でマネジメント経験をして更なる自分の成長につなげるなど — これに左右されると思います、そしてこの考えは人それぞれです。正解はありません。あくまで私の主観ですが、一般的な管理業務を担う管理人材で、かつロシアの子会社が小規模のものであるならば、どんなに良い待遇を得るからといって、目の前の待遇ばかりに注目してはならない。そして、将来の自分の成長を忘れてしまうことがないように定期的に今の自分を客観的に観察することを怠ってはいけない。ということだけは言えだろう、と考えています。

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ロシアのモスクワにある日系企業の管理部門に7年間勤務した後、現在は日本で働く会社員です。モスクワでロシア人と一緒に日々仕事をする中で、私たち日本人が経験するアドミ業務についての情報、課題、考えなどを少しでも多くの方々と共有したい、アドバイスをいただければ、と思いブログをはじめました。 経理、労働法や人事制度の仕組み作り、ITスキルを応用した仕事スキル向上、EAC認証などの幅広い管理課題に取り組んでいます。 とりわけチームビルディング、部下とのコミュニケーション、モチベーションアップ、という課題は世界共通だと認識しています。そんな話題も中心テーマの一つです。

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