日経ビジネスの記事、“「ワークライフバランス」は本当に人を幸せにするか“で日本について語られている中に掲載されていたグラフに載っていたロシアの文字を見て、「おっ、ロシアが38か国中9位?」と目に留まりました。
元データを見ると、取り上げていたグラフは、OECD(Organization for Economic Co-operation and Development、経済協力開発機構)のBetter Life Index 指標の一部を占めている、とはWork-Life Balanceデータから来ているらしい。
http://www.oecdbetterlifeindex.org/#/11111111111
http://www.oecdbetterlifeindex.org/topics/work-life-balance/
。このデータの内容はEmployees working long hours(仕事に費やす時間)とTime devoted to leisure and personal care(プライベートにかける時間)を基にランキングしており、まさにワークとライフのバランスを比較したもの。ロシアはこのWorking long hoursのランキングが調査対象国のうち第一位。”Only 0.2% of employees work very long hours, much less than the OECD average of 13%”(従業員のうちわずか0.2%のみが長時間労働しており、これはOECD加盟国の平均13%をずっと下回る)とのこと。このWorking long hoursの定義は、週に50時間以上働くことを基準にしているようです。
私の身の回りを見ると、9時ギリギリにやってきて18時の就業時間とともに”Good bye!”、”See you tomorrow!”、”До свидания!(さようなら)”といってサーっと帰っていくスタッフ、います。「私の今日の業務はすべて終わらせたし、仕事時間は18時まで。遅くまで残って仕事するのは仕事スキルが足りないのでは?私はこの後も自分の生活があるし、いつまでも残って仕事をしていられない。」そんなコメントを聞くと、そうだよな、まぁそうあるべきだよな、と。といってもさっと切り上げられるものではなく概ね平均すると、終業後1時間以内の範囲で残業をして帰宅するスタッフが大半であり、このWorking long hoursに当てはまるように継続して長時間労働を強いられているスタッフはほとんどいないと思えます。そう考えるとこの統計でロシアが高いランキングである点、理解できます。一方、同じように仕事にかける時間が少ないものの給与レベルが高い、ランキングトップを占めるオランダやデンマークなどと比べると一般ロシア人スタッフの給与レベルは大変低いものです。
給与を毎月貯金できているのだろうか?大半のスタッフは毎月のやりくりでやっとのはずです。スタッフは給与日になると「お金何時に入金されるの?」「あっ、給料が振り込まれた、やった!」という声がフロアから聞こえてくることあります。街中のATMも行列になっている光景を目にします。
給与レベルについては別の機会に書きたいと考えています。2018年の公式発表によるモスクワの平均給与は81,841RUB(本日現在の為替で136,400JPY)。これでも首都モスクワでの生活には安い気がしますが、この数値自体が一般市民の平均給与を上回っているような気がしてなりません。実際の感覚としてはこんなに高くないのでは?
МРОТ (минимальный размер месячной оплаты труда、ムロトゥ)とよばれるロシア労働法133条で定められた雇用者が支払うべきモスクワの最低月給額の公示額は2019年より18,781RUB(同上31,300JPY)となっています。一体これで何ができるのでしょうか…ちなみに、本日入ってみたお酒屋さんでサントリーウィスキー山崎が約9,000RUBで販売されていました。 ワークライフバランスは人を幸せにするのか?少なくとも、労働時間が短いことだけを取ってみてもその国の幸福度を評価するには難しいということでしょうね。でもロシア人スタッフが毎日ワイワイガヤガヤ楽しそうに職場での時間、お昼の時間をみなで楽しんでいる姿を見ると、なんだか幸福度は日本人より高いのでは?と思えるときもあるのです。