昨年11月に赤の広場で撮影したSnapshot。この天気とこの独特な輝き。圧倒的な存在感を見せつけています。
ロシアに赴任して、小さい会社ながら初めて部下を持って失敗を重ねながらここまで働いてきた中で言えることは、”信頼ができて、仕事をきちんと回してくれる現地スタッフマネジャーを持つことがどれだけ重要か”、ということです。
当たり前と言われてしまえばそうなのですが、実際に毎日の業務に従事する中で自分の常識観念を覆されてきた中でこのことの大切さを肌感覚で、ずっしりと受け止めています。
人によって考えるマネジャーという仕事への捉え方は人により随分と異なるようです。
複雑に思えるロシアの給与計算ロジックを把握していないローカルスタッフ(細かい計算はアウトソース会社に依頼しているのだから、正しく計算した結果を提出するのが彼らの仕事で自分たちの仕事ではない、らしい)。部下は大人なのだから、彼らがやると言ったことは彼らが提出するのを待つべきだ(部下がやるといったことがすべてその通りに出てきたらマネジャーは要らないでしょう…なぜ定期的なOne–on -One meetingが重要なのか分かってください)。問題があれば部下はいつでも私のところに来ればよい、いつでも何かあれば聞いてね、と言っているのだから(いやいや、待っていても部下全員がすべて起こっている問題をオープンにあなたのところにオープンに話にきてくれると思っていますか?悪い知らせほど上にあがってくるのに時間がかかかることは事実でしょう)。
上記のようなコメントを聞くと、正直がっかりしてしまいます、本当に悲しいです。そんな中、結論として私がたどり着いた解決方法は二つのみです。良い給与を出してでもそれだけの能力がある人を採用すること。あるいは、現在の仲間への不満を感じつつも彼らの(出来る範囲での)成長にかけること。極論としてこれ以外にはないのではないでしょうか?
どちらを選択するか?現実的にどうかというと、大概の企業は後者を選択するしかないのではないでしょうか。何よりも自分と一緒に働いてくれているロシア人スタッフに悪い人がいないこと、彼らは彼らなりに今の自分としてできることをやってくれている。それを見ると、どのようにして彼らにもっと成長できるチャンスがあるのか、どうやったらよりよく彼らの部下の仕事を管理してゆけるのか、気付きを与えてあげることが駐在員として働く我々の責務かもしれません。つまるところ、自分自身がモデルとなり、先頭に立って行動で示してゆくことが求められているのだと。
自分自身が先頭に立ってモデルとなること。それだけマネジャーという役割の重要さを身に染みて感じています。
この年始の休み中に、2年間ビジネススクールで勉強してMBAを取得し、世界でもトップクラスのOil companyに就職した方と会話する機会がありました。「今の世の中優秀なマネジャーが求められている。Specialistは見つかる。けれども、それらの人を束ねられる優秀なマネジャーが必要なんだ、MBAというのはマネジメントという目に見えないソフトスキルを持っていることを証明するもの。それを学ぶのがMBAなんだ。MBAホルダーはマネジメントのSpecialist。」というお話は興味深かったです。それを考えると、今経験していることはビジネススクールではないもののOJTスクールなるものでひたすらお尻をひっぱたかれつつ心身で学ぶ学習の場となっているのかもしれません。
当初は、自分自身の役割はロシアと本社の間の橋渡し役であり、実際に現地の細かいルールまで把握することは困難のため、スタッフに教えてもらいつつ要所を抑えていればよい、との考えでした。しかしながら、ロシア人マネジャーがしっかりとDetailを把握するに至るまでは、そして、完全に業務を把握することが自分の責務だという認識を持つに至るまでには、自分自身もMindを変えてがっつりとロシアと組み合い、実務を勉強してロシア人スタッフと共に成長してゆくしかない、と考えるように至った今更です。正解のないマネジメントという業務の奥深さもひしひしと感じています。
自分がロシアを去るまでに、自分と同じ気持ちを共有してくれるロシア人スタッフを一人でも多く見出すこと、それが今の自分の目標となっています。