Управление изменениями by Ichak Adizes in Synergy Global Forum 2019

地下鉄の駅を降りてから会場まで広がる大きな公園の中にある一本道にて。自己啓発に気合の入った?女性たちが足早に会場のゲートに向かって歩いている姿の一コマ。

Ichak Adizes氏の話は、一度聞いただけでは理解が難しい。英語で、かつ難しい英単語と話の組み立て方の複雑さゆえになおさら理解が難しかった。そして深い。インターネットで検索していた見つかったこの本の内容がおそらく今回聞いた講演の内容のようです。

https://www.adizes.com/wp-content/uploads/masteringchange_freechapter.pdf

Decision is not enough. Implementation is important! Make good decision and implement rightly, good luck, it is very difficult. 決断するだけでは不十分。実行しないと!みんな、Good luck、難しいですよ。

これを聞いた最初の印象はといえば、「なぜこんな当たり前のことをいうためだけにロシアにきて、きっと大きな報酬を受け取って・・・なんて不公平な世の中なんだ・・・」

The best decision becomes not not perfect. Because change, even god made mistake. flood after 40 days, rainbow. God regretted. どんなに今ベストの決定を下したからといって、それは完璧ではない。なぜなら”チェンジ”するからだ。ノアの方舟の話では、40日間の洪水のあとに虹が出た。神様だって後悔した。神だって完璧ではないんだ。

1st secret of managing is humility. Don’t try to be god, don’t accuse myself for mistake. マネジメントの秘訣のひとつは謙虚さ。神のようになろうとしてはいけない。

You need complementarity. 相補性が必要。 ― 日本語でも難しい言葉。お互いに支えあえる関係を相手と築きあげるように、ということか。

to make good decision, you need who disagrees a bit who you respect. よい決断をするためには、少しだけあなたと意見を異にする、あなたが敬意を払っている人が必要です。

Respect means to recognize that people is different 尊敬するというのは、人はそれぞれ異なるということを認識すること。

Be different.

What finger is important ? First finger (親指)– the most important finger. (なぜ親指が最も大切なのかの理由を聞き取れなかったのですが、親指がなければモノを挟むことができないから、他の指と唯一対になれるのが親指だから、ということだったと理解しています) this is the future. Women is the beginning of new civilization in the future. (会場の女性たちから拍手喝采)女性が親指の役割を担っているんだ、という応援の言葉なのかもしれません。

Change is accelerating, Problem is accelerating.

Why problem is changing? – because it is system, world, country, company, system is everywhere. System is composed of subsystems. Everything has sub sub sub sub………subsystem doesn’t have change.

All problem comes from disintegration. You cannot stop change. Integration causes problem and solution is integration. 融合が問題を起こす、そして解決策もまた融合。

Now we are in brain world, information, analytic, the power is brain, but now already next is coming, AI starts replaces. what is the future ?– Heart.(心臓を指して)。今の時代は脳の時代。体の大きさ、強さを競う筋肉の時代ではない。情報、分析すべてここ(頭を指して)。それでも、すでに次が来ている。それはAI。AIが脳にとって変わろうとしている。それでは未来はどうなのか?ここ、ハートです。(会場から拍手喝采)

Money is side effect. Love gives energy. The loving company lives more longer.

Listen to your wife. 奥さんの言うことをよく聞きなさい。

A lot of women try to be like men – Don’t. 多くの女性が男性のようになろうとしているけれど・・・やめておきなさい。(会場の男性たちから拍手が沸きおこる)

Complimentary team, mutual respect. How to make successfully implementation – difference, common interest お互いに補完し合えるチーム。お互いに尊敬し合える関係を。どのように上手に実行できるか ― それぞれが異なっていること、ただしお互いに共通の関心を持っていること。

Don’t expect utopia, There is conflict of interest, all the time. Because of change. conflict happens all the time. ユートピアを期待してはいかん。衝突はいつでも起こるもの。変化しているのだから。

In Turkey “Take and Give”  not give and take, Give and Trust. トルコではTake & Giveという言葉があるらしいが、それじゃあ駄目。Give & Trustだ。と。

Trust and respect – Secret of success. 信頼と敬意 ― 成功の秘訣

You find “(own) success” – how you define success? I don’t care. .

If you cannot respect, you waste your energy.

integrated > free energy > to fight together the world

Summary: Culture of trusting and respecting = Love. If the person has love, this person survive in this world. Change is accelerating.

参考URL https://adizes.com/

Старые методы не работают: путь в сверхлидерства by Marshall Goldsmith in Synergy Global Forum 2019

会場内の別の場所でも、このように異なる話し手によるセミナーが定期的に開かれており多くの観衆が詰め寄せていました。

今回のSaint Petersburgで開かれたSynergy Global Forum 2019での話を聞いていて、内容は大きく2つの形式に分かれるな、と感じました。

1つは、自分自身がどのようにビジネスで成功してきたか、その実際的な方法を具体的に話すことでこれが大半でした。2つめは、具体的ではないのだけれど、全ての物事に共通する人としての成長に必要となる本質的な原則について語るもの。より哲学的なものというのでしょうか。Marshall Goldsmith (Маршалл Голдсмит)氏の話は後者でした。

今回聞いたマーシャル・ゴールドスミス氏のお話は インターネット上で検索すると繰り返されており、ここで再びすべての詳細を書く必要はなさそうです。自らに言い聞かせるために幾つか残しておきます。

講演の主題:Старые методы не работают: путь в сверхлидерства / Old schemes don’t work: The way to Super Leadership.

“Help more, Judge less.”(自分の部下に対して)

“My suggestion becomes the order” (理解できなかったのですが、大手薬品会社のCEOがおっしゃっていた言葉だ、と。私自身、部下に対して、「あくまで自分で感じることだけれど、・・・としたらいいんじゃないのかな。でも、決して今の内容を変えなくてもいいよ。」ということがあります。私としては相手に無理に強いるつもりはないとしても、部下からすれば私の意見を聞かなければと考えて、結果的に私が指示を与えることになってしまう、それが事実だと。)

”毎日自分に問いかける6つの質問。すべては「自分がベストを尽くしたか?」という問いで始まるもの(娘のKelly氏が与えてくれた質問)、

1. Did I do my best to increase my happiness?
2. Did I do my best to find meaning?
3. Did I do my best to be engaged?
4. Did I do my best to build positive relationships?
5. Did I do my best to set clear goals?
6. Did I do my best to make progress toward goal achievement? “

”想像してみてください。今皆さんは95歳で、まもなく死を迎えようとしています。自分の人生を振り返ってください。幸せでしたか?やりたかったことがあってけれども、できなくて後悔していることがありませんか?友人や家族との幸せな関係が一番大切です。”

“もし何かやり残しているものがあれば、まずはやってみましょう。At least you try. ”

何事も挑戦してみることの大切さ。これを言わない人は一人としていませんでした。

私としては、このような場で聞く話は正しく、この通りだと理解しています。しかし、このような正論が機能しないことが現実的に会社では起こっています。どんなにきっかけを与えようとしても、相手にこのような話を聞かせても、頑なに受け入れない人がいます。どんなに本人なりに頑張っているのでしょうが、一向によくならない人がいます。人の能力は決して大きな差はない、私には疑問です。平等に能力が与えられているとしても、それを阻むエゴなどの別の要素があって能力の差を大きく見せてしまっているのでしょうか、よく分かっていません。

人の多くは、なぜ、一日の仕事時間の8時間、嫌でも会社で過ごさなければならないのであれば、この時間を自分のためにもっと使ってやろう、会社を自分のために使ってやろう、と思わないのか。なぜ「今日一日を何とかやりこなして、定時で帰ってやろう」という思いに駆られてしまうのか。避けられない時間を過ごさざるをえないとしても、そうであれば、「会社で少しでも自分にとってプラスとなるような収穫を最低1つでも今日ゲットして帰ってやろう。」という気持ちに向かないのだろうか。そんな、人の内奥にある、行動できない真の原因を探ってゆくことが本当の意味でのコーチングなのかなぁ、と考えているところです。

そして、人に対してできる限りのものを提供することは持っている人(この場合は会社のマネジメント)の責務。しかし、人が変わるか変わらないかは、受ける側の任意。責務ではなく、本人の意思。私たちの善意を否定されたかのように捕らえる必要はありません。少なくとも自分自身の責務を果たすためにベストを尽くした、と言えるようでいたいものです。

(我々も人間です。たまにはゆっくりして、何も考えずにボーっとする休息も必要です。今日は完全に寝坊しました。)

(参考URL) https://www.marshallgoldsmith.com/

成功への近道はない、猛烈に努力しろ!(シュワちゃん)/ “There is no shortcut to Success! “(Arnold Schwarzenegger)

ステージ上のシュワちゃんを遠くから見て。ステージ前には多くのVIPチケットを持つ観客やイベント関係者(?)が集まっていました。

Synergy Global Forum 2019の初日(10月4日 金曜日)に参加して聞いたシュワちゃんの話を始めとして、各方面で成功した語り手たちがステージ上で語っていたことは共通してとてもシンプルだった。

成功したければ行動しよう。

失敗を恐れてはいけない。

シュワちゃんの話で興味深かった点をメモをめくりながら思い返すと

  • VisionとGoalをもつこと、これが成功の秘訣
  • そもそも自分にとって「成功」が何を意味するのか、何に自分が幸せを感じるのか、自分なりの定義をすることが必要
  • 毎朝起きたら、何も考えるな、とにかく動くことだ。考えてしまう時点で間違っている。
  • 成功への近道はない、猛烈に努力しよう(”There is no shortcut to success, Work ass off”)。失敗を恐れるな。
  • ボディービル競技で勝つ、とGoalを決めてからは、ジムで周りの人が苦しそうにしている中、自分だけが笑顔だった
  • 常にリーダーでいたかった。”TERMINATOR SCHWARZENEGGER” ではだめなんだ。”SCHWARZENEGGER TERMINATOR”でなければならなかったんだ。
  • 州知事の仕事はいんちき(Monkey business)だ。別に知事になりたかったわけじゃない。でもカリフォルニアの知事になりたかったんだ。アメリカ、中国、日本、ドイツに続く、世界のGDPトップの5番目の州知事に。
  • 州知事になるまでまさか自分が自分の学校(Institute)を持つことになるとは思わなかった。知事になってから、人に教えたい、という気持ちが生まれた。今は学校で生徒にリーダーシップを指導している。

その後のセッションでは、ステージに聞き手(Софико Паатовна Шеварднадзе氏)が上がり、シュワちゃんとの1対1の質疑応答が始まりました。シュワちゃんの話をさえぎったり、「それだけ努力してきて幸せですか?」といった否定的な聞き手のやり取りを見ていて、これは建設的なのだろうか?と感じてしまったのだが、面白かったのは、

「あなたは失敗を恐れずにチャレンジしろ、といいますが、ロシアでは失敗することを恐れる。失敗者は敗者だ、というHistorical DNAが伝統的に根付いています。メンタリティが違うんです」との言葉。会社のスタッフの中には”日本人とロシア人のメンタリティが異なっていて、たとえ私が日本に生まれて育ったとしてもロシア人としてのDNAが人知れず備わっており、どんなに努力しても日本人のメンタリティを完全に理解することはできないでしょう”という人もいます。その思い込み自体、すでに自ら勝手に自分の所属する国民のメンタリティを決め付けている・・・のではと思うのですが。

行動することの大切さ。これだけ多くの方が同じことを言う。つまり、それほど人にとって何か新しい行動を起こすことが簡単ではないか。その難しさを感じました。子供時代の頃のように、何も考えずに周りのすべてのものに興味を示してゆきたいものです。

サンクトペテルブルクでタクシードライバーと語る。 / Talking with taxi driver in Saint Petersburg

サンクトペテルブルク市内の薬局にて。番号札順に並んで窓口で用件を済ませます。参加したビジネスフォーラムはあまりにも会場がうるさいために二日目は耳栓を購入して会場へ。正解でした。

サンクトペテルブルクで、モスクワに戻るためにホテルから空港へ向かうタクシーに乗ると、それは珍しく女性ドライバー。決して豊かそうには見えないけれど、知性が伝わってくる方で、生まれも育ちもサンクトペテルブルク。話を聞いていると自分の街を誇らしげに思っていることが話からよく伝わってきた。

聞いた話をそのまま書き出しています。私自身がその一つ一つに感じる点はあえて記載していません。中には事実とは異なる点もあるかもしれないことを予めお伝えさせていただきます。

「モスクワと比べたらペテルブルクは田舎よ。私は街の中心に住んでいるけれども、静か。街の人も親切で知性があって。うるさくて、攻撃的な人が多いモスクワとは大違い」

サンクトペテルブルクの街の中心を歩いていて、すぐにモスクワとの違いに気が付くのが建物の高さ。いずれも低く、その統一感と歴史を感じる建物のデザインが一層街を綺麗に際立たせているようだ。そんな建物も、その多くが第二次世界大戦後に再建されたということだったが、決して古いわけではないはずなのに、重厚感と歴史を感じさせる様子は立派だった・・・スターリン建築(そのあたりは他に多くの方が記載されていらっしゃるはずなので割愛)の建物が空港に至る道の両側にそびえたち、その脇には高層マンションが建築中でした。

「今の建築中のマンションは、スターリン建築に似せて建設されているけれども、質はひどい」らしい。ロシア独特のアパートのデザイン、私は好きです。なんでこんな発想になるんだろう・・・と思うようなデザイン。

そのうち、会話は今の世の中、生活への不満。

「昔は、見知らぬ人でも無償で泊めてあげる文化があった。今では一泊するにも2,000~2,500RUBもとるらしいけれど、そんな高いお金を払うなんて信じられない」

「タクシードライバーとして働いているけれども、ドライバーも街の歴史をきちんと知っていて、乗客にきちんと説明できるようになるべきだ」と言って、通りの真ん中に立った立派なモニュメントを見て、「これは戦勝記念30周年の時に設置されたモニュメント。今ではもう戦勝から75年にもなるけれど、当時にどうやってこのモニュメントが建てられたか、小学生のころのこと、よく覚えているわ」と。

「今ではタジキスタン、ウズベキスタン、キルギス・・・そんなところから街のことなんか知らず、ただお金のためだけにやってきたドライバーが増えている。彼らは安い金額で仕事を私たちから奪い、車の運転免許だって違法に取得し、車で人をはねたら捕まらないようにそのまま自分の国に帰るだけ。」

「彼らは、ロシア人は働かないから、というけれど、そんなことない。ソヴィエト時代には全員働かなければならなかった、働かないことは法律違反であったので工場などで、近くにすむご近所さんと同じ工場で働いていたの」

日本人である私にとって関心のあるテーマは、当時と今の争いごととキリスト教。

なぜナチスとロシアは同じ神様を信じているはずなのに戦ったのか、なぜロシアとウクライナは同じ神様を信じているはずなのに領土をめぐってお互いにいがみあっているのか?正教会同士ももめているのか?

「宗教と政治はまったく別だ」という。「クリミアも元々はロシアの領土であって、正式にウクライナにクリミアを与えたのではない。」

「私は宗教も決して綺麗なものではないと思う。司祭も信じることはできないし。(ロシア正教会のモスクワ総主教)キリル氏は立派な家を持ち、会社も経営していて銀行も3つも持っている。立派なビジネスマンだ!」

「私も神を信じているけれども、教会には出かけず、毎日神様に「ありがとうございます」と日々の生活を自分のなかで感謝しています」とのことでした。

タクシードライバーと会話していて、その内容の多くは、こんなテーマが続きます。私が個人的に関心のあるテーマであるので、質問を投げかけて、後はドライバーの話すに任せているだけなのかもしれませんが・・・。人が日頃生きている中で感じている世の中への疑問、考えを聞くことほど興味深いことはなかなかありません。

この会話の中には、感情の部分も強くて筋道立った論理が成立しているとも思えませんが、一般市民の多くが心の底で感じている気持ちが現れているのではないか、そう考えながら空港に到着しました。

「それでもやっぱりサンクトペテルブルクが好きだわ」

わずか数日の滞在でしたが、綺麗な紅葉の風景と、綺麗な街の光景をすっかり楽しみました。

サンクトペテルブルクで開催のビジネスフォーラム、Synergy Global Forum 2019にやってきました。/ Business forum: Synergy Global Forum 2019 in Saint Petersburg

262,000 m2, 68,000人収容可能なGazprom arenaにて、Synergy Global Forum 2019が開催されています。日本でもほとんどこのような会場に出かけたことがないため比較感がないのですが、圧倒的なスケール。それと音響のうるささで頭が痛くなりました。

ただいまサンクトペテルブルクです。

https://synergyglobal.ru/

ここに来て、Synergy Global Forum 2019(Oct 4th Fri, Oct 5th, Sat)に出席しています。人材開発の分野での世界的な第一人者、ロシアで現在注目されている、いわゆるビジネスで成功していると言われる著名な方々が出る大規模なイベントとあって関心がありました。今回の会場で聞ける話が会社の今後の人材教育にも役立てるはず、と思っています。

そしてなによりも、これだけの人たちを生で、本物を見ること。リアルな声を聞くこと(残念ながらマイク経由だけど)、これだけの大きな会場で、これだけ多くの観客を前にしてどのようにプレゼンするか?身振り手振りは?とても勉強になります。

どうしても聴きたかった方 ― 私が日頃会社従業員の人材開発を本、雑誌、インターネットで勉強していると嫌でも(?)目にする、耳に入ってくる著名な方々はこちら。この分野を専門にされているビジネスパーソンにとってはきっと大変尊敬されている方々だと思っています。

Marshall Goldsmith (Маршалл Голдсмит)

Ichak Adizes(Ицхак Адизес) イスラエル系アメリカ人のビジネスコンサルタント

Michael Porter (Майкл Портер) アメリカの経済学者

更新されたプログラムに掲載されていなかったため、残念ながら出席キャンセルとなったのだろうか、と思ってあきらめていたのですが、Ichak Adizes氏の話を戻りに会場に戻るとマイケル・ポーター氏が精力的なプレゼンを行っていました。わずか5分足らずしか目にすることが出来ず・・・。残念です。

Andrey Trubnikov (Андрей Трубников)日本でも有名となったNatura Sibericaの創業者(残念ながら聴く事はできませんでした。プログラム通りに会場に出かけたのですがずっと別の人たちがプレゼンをしており、周りに聞いてもいったい彼が出てくるのか分からない、と。私もメイン会場でIchak Adizes氏の話を聴くために席を立ちました)

実際、会場が大変大きいこともあるのか、メイン会場の空席が目立ちました。人が少なくて話し手としてはさみしいな、と。でも、通路に立っている人も多かったですし、サブ会場などにも多くの人が詰め掛けていたので、トータルでいけばかなりの多くの人が実際には会場にいたのかもしれません。

一番の注目はアーノルド・シュワツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)氏の参加でしょう。このイベントまでインターネットで街中でもシュワちゃんの顔写真付きのイベント広告が目に入ってきました。初日には、シュワちゃんとの、個別の写真撮影セッションがPlatinumチケット購入者向けにあったようです。そのお値段は500,000RUB!(82万円:直近の為替レートにて) ― このたった2日間のイベントで、このような写真撮影の特典のためだけにこの金額を出せる人たちはすでに世の中一般で言われる成功者。自己啓発とかそっちのけでただ有名人を見るためだけ、あるいはイベント関係者との関係もあって来ているのかもしれません。

今朝インターネットで検索すると(Yandex)、どうやら体調不良があったようで早々とシュワちゃんが会場を後にしたと。それについてチケット購入者からインターネット上でこの写真撮影セッションがあまりにも短く、Platinumチケット購入者からシュワちゃんと写真を取れなかったことに不満が出ている。イベント開催者がそれに対して「すべては予定通りに行われた。その会場で実際はどうであったのか、よく理解するよう十分努力します。」とのありがちな公式な見解が出されている、そんなニュースを目にしました。

あれだけのイベントで、あらゆる個性豊かな夫々の成功者の調整をしてコントロールすることの難しさ。私なんか、会社のわずか数十人程度のイベントでも各プレゼンテーターの時間管理に一苦労しています。ですので、このような大規模なイベントのの苦労は想像に絶します。

たしかに、メイン会場以外の場所では、そもそもサブ会場の案内も付いておらず、会場案内のスタッフも把握していないようで開催者側も至らない点があるなぁ、と。一方で、話し手の飛行機の都合もあってプログラム変更が急遽その場で行われたり、延々と話し続けるスピーカーが止まらず、かつ聴衆も「もっともっと!」あおるために、プログラムとまったく合わずに話が進展していました。いやあ、無茶苦茶な。それでも、みんな文句を言いつつも、この不測の事態に堂々と返している進行役のスタッフもすごい。尊敬します。暗に、プログラム通りに物事が進まないのは当たり前、そんな認識がロシア人の中に根差しているのでは?と思ってしまいました。もしそうだとすると、少なくともビジネスの世界においてそれは改善されるべきですね。長年ロシアにいると、そういう考えに自分自身も染まっている危険があって恐ろしくもあります。

ただ聞いたことをここに書くだけではなく、一つ一つの話を自分の中で整理しながら書いてゆくべく、少しずつ今後の記事にして残してゆきます。

ベテランのロシア人スタッフを見て感じるかっこいい年齢の重ね方 / how to become attractive with ages – thinking it from working with Russian colleagues

同じ会社で同じスタッフと長年勤務していると、ふとした瞬間に「老けたな~」とふと思うときがあります。そういっている自分も人のことを言えないのですが・・・

そもそも、ロシア人は日本人よりも見た目が大人っぽく、年上に見えますが、それを別にしても久々に再会したとき、朝にふと見たときに感じる、あっ、老けたなぁ・・・という瞬間。それも、いやあ、このまま老けていったらどんな将来が待っているのだろうか、大丈夫かな・・・と思うときと、自分もこうなりたいな、という年齢の重ね方。よい老け方とよくない老け方の違いって何だろう。かっこよい、クールな歳の取り方、というのでしょうか。

これはどこに行っても、どの国に行っても同じの真理と思いますが、今ここでこうしてロシア人スタッフと共に働いて感じること、日本でのことも振り返って感じる魅力のある年齢の重ね方を書いてみました。

仕事の約束を守る。そして必要なスピードを保てること

いたって当たり前のことですが、仕事としてこれは基礎の基礎。これが根本的になっていないスタッフがいます、お願いだから改善して、と言いたい。いや、言い過ぎるほど言ってます。ロジカルシンキングできっちり毎回課題を整理して資料にまとめて、なんて言いませんが、ただ単に、やるといったことはやる。それも時間をかけすぎずに一つ一つクリアすること。みんな苦しい中やっている。文句も言いたい。でもそれは皆同じ。言い訳はほどほどに、とにかく「やります」と合意したらやりましょう、と。そして、最低限の処理スピードが必須です。きっちり仕事をやってくれるとしても、あまりにも丁寧すぎたり、各々の仕事の重要度を考えずにどれにも同じように丁寧にアプローチしているのは問題です(もちろん自分自身も評価される側。毎日がチャレンジです)年齢の重ね方と直接関係がないようですが、まずはこれが基本の基本だと考えています。

素直、謙虚

仕事もできるようになってくると、素直に周りのことを聞くことが難しくなるケースがあります。それでも周りの意見をよく聞くこと。その中で自分の主張を相手への批判することなしに上手に織り込んでゆくことの難しさと大切さ。問題が起こったときに正直に自分の非を認めることができる強さ。その状況で最善解を見つけるために駆け回ってくれる。これができているベテランのスタッフを見ていると素晴らしいな、と思うばかりです。

柔軟さ

素直、謙虚とも繋がりますが、歳をとって衰えてゆき、若い人にかなわなくなる中、柔軟でいられることは重要な要素だと感じます。これも素直でないとできないことです。自らの主張と合わなくてもどんな意見、決定にも自分自身を合わせられる柔軟さ。会社の組織にいるとすべてが思った通りにはゆかず、どこかでそんな納得のゆかないことがあります。それでも柔軟でいることの大切さを学んでいます。柔軟に何でも受け入れる許容度があるからこそ、自らの価値観だけにとどまらず、新しいことも率先して受け入れ、取り組めるゆとりを持つ。周りにも柔らかいあたり方。

好奇心

柔軟に新しいことを取り入れてゆくには、自分の知らないことに対する興味を示す好奇心が必要。年齢を重ねるほどになかなか自分のスタンダードから逸脱する勇気と行動力がなくなるのを感じるようになりました。それにはエネルギーが必要です。それを継続できているロシア人スタッフをみると尊敬するばかりです。私も負けていられません。日本に一時帰国して入った牛丼のお店。出張で一時的に訪問した本社の食堂。一人でもくもくと死んだ顔で食事をせっせと口に無機質に運んでいる人たちを見て、この人たちは一体何のために食事をしているのだろうか、生きる目的があるのだろうか・・・なんて大げさに考えてしまいました。ロシア人スタッフは毎日楽しそうに大声で笑いながら、どんなに忙しくても食事の時間を大切にしている。そんな姿を見習いたいものです。

信用レベルを上げること

信用を持つことの大切さ。日頃から仕事で築き上げてきた経験があって、周りに実績を認めてもらい、素直で謙虚な人柄で周りからも好かれている。そうすると、自分の意見を相手に聞いてもらえる高いレベルの信用が得られます。相手にたとえ認めてもらえないとしても謙虚に受け止めて次の案をもってゆく。たとえ自分自身に全権限があって、全てを決定できるとしても他人と働く以上、自らの意見を完全に通すことは無理。どこかしらで相手の主張も織り込んで決定することがよい決断です。そして一層信用のレベルが上がってゆきます。

人間なのでミスをします。私も少なくない失敗を繰り返しています。やるべき仕事を漏らしてしまうこともあります。だからこそ、日頃の信用をどこまで持っているかが重要です。銀行はその人の信用レベルに応じてクレジットカードの利用制限額を設定します。この金額レベルをどれだけ上げることができるか?信用がなければ大きな借入れもできませんし、結果的に購入できるモノも限られる。管理される範囲が大きい。なぜならば信頼されていないから。 全く仕事も同じことが言えますね。一方で信用レベルが高いスタッフは自由にさせていても結果をもってきますし、本人も満足、雇用者としても満足。素晴らしい関係性です。

このような上記のサイクルが回りだす人は、仕事も周りの人間関係も円滑となり、自信が生まれ、それが行動にも現れているように感じられます。そんなベテラン社員の年齢の重ね方に私自身も憧れと目標を抱いて毎日歳を少しずつ取っている、いや、どっしりと重ねているところです。

会社のコスト削減と職場の衛生管理のさじ加減 / The delicate balance between cost-saving and hygienic management

とある、いたって庶民的なスーパーマーケットにて。野菜は自分で袋に詰めて重さを計測し、計測器から自動で出力されるラベルを袋に貼り付けてレジに持ってゆきます。トマトでも異なる種類が隣同士に置いており、こちらも分からなくなることがあります。レジでは何も言われずに通してくれますし、また、レジで測ってくれるお店では、「このトマトはどっち?」と客であるこちらに尋ねてきて、こちらが戻って確認してくることも少なくありません。なんともこのあたりのいい加減さが好きです。

コストを削減しようとすると、使い捨てのカップやフォーク、スプーンなどが目に付くものです。メンテナンスも不要で、使用後はゴミ箱へ。衛生的にもよく、決して悪くありません。しかし、毎日、従業員がプラスティックのカップを取り、ウォーターサーバーから水をぐいっと飲み、そのまま捨てる。ランチタイムにフォーク、スプーンが使用されては捨てられてゆく。それらが一日に繰り返される光景を目にし、ゴミ箱がプラスティックの山になってゆくのを見るのは切ないものです。そんなわけで全て購入停止。カップはマイカップを持参すること。フォーク、ナイフ類は会社で備品とし、それを皆で利用すること。そんな取り決めとなりました。必要なときのためにプラスティック製品を保管していますが、方針を変えると、それはそれとして上手くゆくようです。

直接関係のない話しですが、昔、大学の教授が言っていたこんな言葉が頭に残っています。「ロシアは一周遅れで世界の先を行っている。」

例として挙げられていたのが、ビンに入った牛乳。世界的に紙が主流になっている中、ロシアでは(教授の時代はソ連?)ビンがいまだに残っていたとか。その後世界が環境に意識を向け始めてリサイクルのビンに目を向け始めたとき、ソ連ではすでに一周遅れで世界に先駆けてビンが主流であった、ということでした。皮肉なのでしょうが面白いですね。

今回テーマにあげるのはペーパータオルナプキン。これも決して高いものではありませんが、毎月それなりの金額と量を購入して利用しています。ロシアに来て感じたのは、紙の文化。日本では会社でも家庭でも布製の布巾で台を拭き、洗って再利用するケースがあります。新入社員の頃、勤務していたオフィスでは毎朝ベテランの女性が布巾で全員の机を拭いてくれていた文化があったのを思い出します。小学生の頃には、学校では必ずハンカチとティッシュを持参するように、と教育を受けて育ったものです(あくまで私の経験に基づくものですが)。各家庭や状況によるので判断はできませんが、机の上を掃除する、というのは外部委託先の掃除担当者が行い、我々のようなオフィススタッフの行う仕事ではない、という意識もあるのでしょうか、オフィス内に机を拭くための布は、掃除道具を入れた部屋に収納されており、何かさっと拭く必要がある場合には何でもペーパータオルです。

ロシアの家庭でも紙ナプキン必ずといってもよいくらい備え付けてあるのではないでしょうか。はて、私が日本にいた時にこれほど紙ナプキンを購入したものだろうか?と振り返っても購入した記憶がほとんどありません。会社でも何かと会社の紙ナプキンを使用して洗った手を拭くことに抵抗を感じていました。自分のハンカチを利用すれば紙の消費を押さえることができるので、会社のコスト削減につながると思うからです。

ところが、インターネットで衛生に関するテーマでハンカチやペーパータオル、ハンドドライヤーに関する記事を読んでゆくと、ペーパータオルが一番衛生的だという。よく考えてみると、ハンカチは使用した後、塗れたままでポケットに突っ込み、またあとでそのハンカチを使用する。傍から見ればハンカチを持参していて素晴らしいと思えるかもしれないけれど、衛生面でみたらばい菌が繁殖しつつあるハンカチで洗った手を汚している行為とも言える。そんな観点からみれば、一度だけ使用して捨てるペーパータオルは一番清潔感がある。― そんなことを今になって認識して、自分自身の長年の固定観念の怖さ、当たり前のことでもハンカチがよいのだ、と思い込んでいるとそれを疑わずに調べることをしない怖さを感じました。そして、コスト削減と職場での衛生維持のバランスの取り方、その単純に数値化できない難しさに思いを巡らしたテーマでした。

[ロシア経理書類]Акт сверки(Akt Sverki) 違算照合表 / Reconciliation statement

今も新しい建物が次々と建設中の高層ビル群のモスクワシティ横にひっそりと小さくたたずむ5階建てのアパート、通称«Хрущевки» 。この新旧のコントラストが目を引きます。1958年~1985年にかけて建築された、計画を推し進めた当時のフルシチョフ書記長の名前に由来しており、けシンプルで簡便的に建設できる住宅不足を解決するために建設されたアパートで、今でもモスクワを歩いていると色々な場所で出会います。

ロシアでの経理書類の一つとして、Акт сверки(Akt Sverki)と呼ばれる、違算照合表が存在します。

(出所)https://yandex.ru/imagesより

上記のサンプル写真にあるように、取引先との取引・お金のやり取り(Продажа = 売上(Sales)、Оплата = 支払い(Payment))を日付に沿って並べて行き、テーブル一番下の段に、違算の金額を記載します。このサンプルの場合、4,262.3RUBの支払いが残っていることが分かります。また、本来は、右側にはこの書類を受領した会社が会計システム内のデータと照合して、この金額で合意するのか、あるいは違う認識でいるのかを数値・コメントを記載し、署名と社印を押印した後に相手に返却します。

ロシアの法律では、企業は年に1度、必ず財務諸表の作成、報告が義務付けられており、その数値を確証するためにも取引先との取引残高の内容証明が必要となります。実質のところ、法人税の申告が四半期別に要求されること、取引銀行からも四半期別に財務諸表の提供を要求されること、このような事情もあるために、年に1度しか財務諸表を確認しない、という企業はほぼ皆無だと思われます。また、上記の理由もあるため、取引先とAkt Sverkiのやり取りをするのは、各企業の事情にもよりますが、主に四半期別、というのが一般的のようです。

参考URL:https://www.audit-it.ru/terms/accounting/sverka_raschetov.html

本来、仕事というのは簡単。/ Originally, the job should be easy.

今週木曜日、19時前にモスクワ川を眺めて。

今回の記事でも、誤解を恐れずに言えば、本来、仕事というのは簡単。そう考えています。ただし、お客さんの心を読むこと、コントロールすることは出来るわけがなく、そればっかりは最高難易度の仕事です。

とりわけ、会社の管理に関する業務は自らでコントロールできる割合が高い故に、問題解決できる確率も高いはずです。その意味で、仕事は簡単。

…のはずですが、ところがそうはいかない。なぜ?!いつも自らの思いと現実との大きな乖離に悶々としつつも、そのギャップにある人間という生き物について深く考えてしまいます。

一人ひとりが、同じ会社で働く仲間として同じゴールを目指している。お互いにそれを分かっているはず。なのに、一人ひとりにエゴがあったり、どうしても他人よりも自分が(自分の課が)上の立場にいたい、有利になりたい、一言何か言わなければ気がすまない。何か文句を言わなければ納得しない。結局、物事の結論がまとまらない、先に進まない、いらいらする。お互いに険悪になる。そんなことが皆さんの周りでもないでしょうか?私は何度も経験してきました。その度に、「なぜこの人はこんな考え方をするのだろう?何か昔に経験してきたこと、家庭での環境が彼・彼女の考えを形成するのに影響を与えたのだろうか?」と考えることあります。

ただただみんなが、一言いいたいことを我慢して、”今回は彼・彼女の言うことを聞いてあげよう”、”思うことはあるけれども、会社全体のことを考えて提案してくれているのだろうから支えてあげよう”、(年齢が上であれば)”私もそんな時代があったなぁ、私にできるアドバイスを言葉巧みに伝えるけれど、彼・彼女のよい経験になるに違いないのだから、言われた通りに従ってあげよう”など、そんな風に優しく、謙虚にいることができれば、やっぱり仕事は簡単に進むはずだと思うのです。いかに人間という生き物が難しいか…イライラするのを通り越して、ただただ感心してしまいます。

街を歩いていて、弱い犬ほどよく吠える。そう思います。人間社会も同じではないでしょうか?能力があまり高くないスタッフほどやたらと些細なことに口を出してくる、文句を言う。会社という組織にいる以上、そんなスタッフの声もあからさまに無視をすることはできず、会社全体にとっての、その状況での最善な回答を導き出す。悔しいですが、毎回自分で考えている物語のようにはいきません。それでも、自らの目指す方向に持ってゆくためには、日頃から可能なところで仕事では”あえて負けておく”ことの大切さ。それによって、こちらが譲れない決定の時には、相手に認めてもらえる関係を築いておくこと。結局のところ、将来を見据えた一日一日の行動が重要であることを学んでいます。本当のWin-winな関係というのは、日頃のLose-winの回数をどれだけ積み重ねて、相手を尊重しているかを示すことにあるのだと思っています。

”仕事はどうでもよい” / “What’s the reason to worry about your job so much?”

つい先日、赤の広場すぐ横にあるボリショイ劇場にでかけてオペラを観てきました。芸術にはさっぱり疎い私に、部下たちが「一度はボリショイ劇場に行ってくださいな」と、プレゼントしてくれたボリショイ劇場のチケット。とても有難く貴重な時間を満喫しました。私の席をステージから遠い後ろの席に座っていたおばあちゃんに譲ってあげると、何度も「ありがとう」とお礼を言われ、何だかとてもよいことをした気分になりました。素晴らしい劇場でおばあちゃんも私もそれぞれ幸せな気分に。

仕事について。

どこか俯瞰的に見て、誤解を恐れずにはっきりと言うと、「仕事はどうでもよい。」という観点を持っておくのは重要だなぁ、と。

仕事のためにウツとならず、最悪の場合自殺まで考えるようなことにならないためにも。部下にも上手に働いてもらい、逆にやる気になってくれて、仕事がむしろうまく回ることも期待できます(すべての場合にうまくゆく保証はないのですが)。また、”どうでもよい”と言っても、このバランスが非常に重要で、これはいい加減に仕事をしてもよい、というのとは決して違います。

いつも自分の仕事は完璧に、納得のゆくまできっちりと詰めたい。そんな気持ちがあります。資料作りも文章も納得のゆくまでこだわりたい。そのためにはいくらでも時間と労力をかける覚悟はある。この心意気が非常に重要だ、ということに間違いありません。一方で、何かしらの問題が降りかかってくる毎日の中で自分のペースで仕事はできない。どうしても自分の持ち時間と処理能力の限界にぶつかります。それでもあえて妥協せずに完璧さを目指すのであればできることは限られます。

プライベートを犠牲にして仕事にとことん時間を費やす。ひたすら自らの処理能力を高め、IT機器・ソフトウェアなどの処理スピードを高めてくれるアイテムへの投資をする。 ― 確実に遅かれ早かれ限界にぶつかります。なぜならば、ここに関わっている人間はわずか、私ひとり。そして、悪いことに、この自分の要求するレベルを周りのロシア人スタッフに強要し始めると、軋轢が生じます。ほとんど人はそんな完璧さをすべての仕事に求めていませんし、おそらく必要ないのだと思っています。

日本の芸術、工業製品の素晴らしさは細部にとことんこだわっていること。人の目にふれないところまでも。それは誇るべきことですが、仕事は芸術品とは異なり、外してはいけない仕事と、多少物足りない点があってもとにもかくにも進めるべきものがあります。その判断をするのがマネジメントの責任ですが、日常生活の多くでぶつかる問題の多くは、スピード重視。「あなたの完璧さなど求めていません。とにかく早く決断してください。進めてください、明確な指示を出してください。」と一つ一つの課題がまるで言っているかのようです。

どこかにもう一人の自分を常に持ち、自らを客観的に見ることの大切さ。そのもう一人に「どうでもええやないか。」と言わせることでバランスを保つ。どうでもいい、だからこそ楽をしたい(その分、自らはもっと大切で重要な仕事に時間を割く)。そのためにはロシア人の部下にとことんお願いする。「頼みますよ、お願い。あなたの助け無しにはどうにもならないんだよ」と、上手く甘えることができるほうがずっと完璧主義よりも良い結果につながっています。

仕事の結果だけではなく、ロシア人部下とのよい関係も築けるというおまけつき。

「仕事はどうでもよい。」 ― 誤解を恐れずに、改めてはっきりとこの言葉の持つ重要性を強調したいです。