お前の仕事に創造性はあるのか? / Do you have creativity in your job?

「お前の仕事に創造力はあるのか?」これを父親から聞かれたこと、今でもふとしたときに頭の中でこだましています。管理の仕事で創造力があるの? - どちらかと言うと決まった仕事をきっちりとこなす事が要求される管理。創造力はむしろ必要とされない、と考えるのが一般的かもしれません。

ラテラルシンキング - これはまさに今の管理の仕事に重要なことだと思っています。そもそも今の当り前に対して疑問を抱く。根本的に規制事実の確かさに疑いの目を向けて全く新たな価値観を提案する。これは営業やマーケティングのスタッフだけに求められるスキルではありません。

既存の事実に「なぜこれをする必要があるの?」「今行っているこの作業が本当に必要なの?」ロシア人のスタッフと仕事をしていて、このような問いかけができるスタッフが少ないなぁと感じる日々。与えられた仕事をきっちりとこなす。今行っている仕事の作業の中にある無駄を感じないのか、感じても変えようとしないのか継続して行い続けるスタッフ。隣に座って一緒に作業を見て、「なぜこうしないのかな?こうしたらもっと楽になるんじゃない?」と尋ねると、「このようにするように習ったから」と。前提が崩れても言われたことをやり続ける。「こうするように言われたから。」そう答えられると開いた口が塞がらない。この話は、物事の原理原則を発見する、という点とも重複すると思います。前提が崩れた時にその変化に伴って対応が出来るスキル。それを創造力というのか、原則主義で仕事をできる能力というのか。

今の時代、これまで当たり前と思っていたことが覆される時代。コロナウィルスの件で働き方改革がよく取り上げられる現在。企業としてのこれまでの会社としての在り方が問われています。それは今のロシアでも同様です。3月からずっと自宅隔離で仕事をしています。これまでは一定の時間帯にアパートを出発して出社する。決まったルーティンをこなして一日の仕事を始める。それを当たり前と思っていました。今では、理由もなき外出が罰則の対象になる当たり前。許される外出理由は、ゴミ捨て、100m圏内での犬の散歩、最寄りの食料品店、薬局へ出かけることに限られます。(実際、警察も厳密に取り締まっている様子はありません。一人で歩いている、ジョギングをしている人には注意がなされず、複数人で集っているところには車両から警告を発している。そんな光景を目にしています)こんな時だからこそ発揮できる創造力があるはずです。

ロジカルシンキングのスキルを持っているのはホワイトカラーには当たり前。今のホワイトカラーにはさらに次のステップとしてラテラルシンキングのスキルを身に着けることの重要さ。「XXXさん、あなたが去年、これをこのようにすることを指示しました。だから今もそうしています。」と言われると「去年はこういう前提があったのでこういう作業が正しかったのです。でも、今年に入って前提そのものが崩れました。ですから去年の正解を倣って今年も継続してもそれは誤りですよ。」- そのように答えざるをえません。

きっとこの悩みはロシアに限らず日本でもどこでも同じだと思います。既存の前提を疑いの目を持って評価できる、そんなスタッフをもっと育ててゆきたいと思う毎日です。

[仕事道具] TSUKUMO Laptop N1420Kを購入してみました / job tool Laptop TSUKUMO Laptop N1420K

2020年の年始、日本に一時帰国の折に新橋近辺の電化製品店をうろうろする中でノートパソコン、TSUKUMO社のLAPTOP N1420Kを見つけて購入しました。地下鉄とJRの乗換えのために降り立った新橋駅近辺を歩いていてたまたま見つけたヤマダ電機の最上階にTSUKUMOのお店はありました。

そのお店に入ってみると、ビックカメラやヨドバシカメラのパソコン売り場とはなんだか雰囲気が違う。よくよく見ると、日本のLaptopメーカー、TSUKUMOというパソコンブランドでヤマダ電機のグループ会社となっているようです。

なお、私はパソコンは決して詳しくなく、今回の購入のためにひたすらYoutubeをチェックして勉強を開始したばかりです。ロシアでの日常業務のために会社のパソコンとは別に持ち運びが容易なタッチパネル付きのパソコンを探していました。

タッチパネルは果たして必要なのか?

これは人によって異なりますが、私は非常に重視しています。昔、2 in 1型で画面を360度回転もできてタブレットとしても使えるノートパソコンを購入しましたが、結局一度としてタブレットとしての使い方はしませんでした。仕事の内容からそのような必要もなく、何でも一つで兼ねるのがよいことではないなと。

タッチパネルの良さは、自分の感覚でウェブサイトのブラウザを自由に上下に動かしたり拡大、縮小できること。エクセルファイルで必要なセルに直感的に手で移動できること。片手を手にキーボードに置いて、反対の手で画面を操作する。この両手の作業がしっくりきています。ipadでは仕事で必要なパソコン業務には至らない。それでもあのipadでのタッチ感とスピードで仕事がしたい。そんなイメージです。

タッチパネルといってもパソコンメーカーによって画面の反応が違います。少し遅れて動き出す、あるいは直感的に動いてくれるか、この差は大きいです。限られた選択肢と時間の中で考えた結果、MicrosoftのSurface laptopを買おうと決めました。金額が高く、仕事で使用するには周辺機器接続用のポートが少ないといったマイナス要素がありますが、それでも、あの画面の綺麗さとタッチパネルが指の動きに合わせて動く反応の良さは他社製品よりも上をゆくもの。

「これください」

「お客さん、これは受注生産で、今日は注文をいただいても入荷はお待ちいただくことになります」えっ…?そんな…確か昔そんなことはなかったのでは…「昔はお店も在庫を持っていて購入することができたかもしれませんが、今ではこれほどのハイスペックになるとお店も在庫を持つことはなく、店頭にある製品もMicrosoftから提供される店頭用の品物です。注文いただいた商品は受注生産になってしまうんです」とのことでした。

タッチパネルだけは絶対に譲れず、あの直感的にぴったりくる操作感を得るためにでかけたのだが、ロシアへのフライトは明後日。もう今日しか購入できるチャンスはない。はあ…これでパソコン購入のチャンスを逃してしまったら次にパソコン購入ができるのはもう当分ない。悩んでいると、
「お客さん、うちのパソコンはどうですかね」と言われてどれどれと見て、試してみました。初めて見た感想はなんとも言えなくよい感じ。あれっ結構よいぞ。金額も税抜きで10万円しません。私は免税で購入ができることもありお買い得です。これを2台購入してもSurface1台の値段にもたどり着きません、おつりがきます。エクセルがどんな感じか?ウェブサイトはどんな風に映るのか気になったので見たいのですが、というとMicrosoftアプリケーションが入っていない、インターネットに接続されていない、とのことで確認ができなかったのは残念ですが、見た目、キーボードのタッチ感も決して悪くありません。

TSUKUMO、という名前は全く知りもしませんでした。
「色々なパソコンメーカーがある中で御社のパソコンの売りを一言でいうと何ですか?」と尋ねたところ、

「うちの商品はコストパフォーマンスが高いことです」とのことでした。今はどのパソコンも中身はほとんど同じものが入っているようです。あとは違いを生み出すとすれば、外のデザインや耐久性、軽さキーボードのタッチ感など。そこにお客さんがどれだけこだわりを持つかによって変わってくるようです。

少しの時間パソコンに触れながら検討し、その場でTSUKUMOのパソコン購入を決めました。さて、今ではすでに使い始めて4か月が経過しています。この金額でこれだけの操作ができれば私には十分です。知れば知るほどにパソコンというのは面白いものです。私たち管理業務に限らず、ほとんどの現代のビジネスパーソンにとってパソコンは非常に大切な仕事道具。以前は会社から支給されるパソコンを何も考えずに利用してましたが、自分に合ったパソコンを見つけて使用することは大切ですね。

また、その購入時に教えてもらったのですが、日本で販売されているパソコンのほとんどはすでにMicrosoftの商品が内蔵されて販売されているものが一般的。その金額がパソコンの値段に反映されて20万円、といった価格を形成している。しかし、ライセンスを購入するとそのMicrosoftのライセンス使用権を購入することになり、仮にパソコンがダメになってしまっても有効期限の間は他のパソコンでも使用できる。Microsoft社がアプリケーションをアップグレードするならば常に最新版を利用できる。ライセンスを1年ごとに購入して延長してゆけばよい。なるほど、そんな購入方法もあるんだ、と勉強になりました。むしろ世界的にはこの購入方法が主流でしょうか。過去には何も考えずにお店での表示価格10万円台半ば~20万円、高くて20万円半ばを通常のパソコンの相場と思っていましたが、有名なブランド名にこだわらず、必要な最低限のレベルで納得するならば、十分に良い品質のものを安く購入できる。それを体験しています。

失礼ですが、はっきりと言ってしまうとTSUKUMOのこのパソコンは実際に触っていると安っぽさを感じます。またマイナス点を挙げるならば、キーボードの配列は嫌いです。使いづらくタイプミスが生じます。キーボードのボタンは明るい太陽光のもとではキーボードの文字が読めなくなり、設計ミスではないかと言いたくなります。簡単にうなりだすことが多くうるさくも感じます。たくさんのファイルを開いて作業をしたり、簡単なプログラミングの勉強をしていると重くなってしまうのでしょうか。なぜか両側についているUSB Type-Cが外付けの機器を認識せずフルで利用できない…これらの点は気になっています。でも、外観はブランドマークもなく、シンプルでクールなデザイン。サクサクと動きますし、基本的な仕事に必要な機能は備わっており十分満足しています。

ただのノートパソコンをタッチパネル機能付きにしてくれるAirbar

現在の自宅隔離の中で多くの時間が生まれたこともありパソコン周辺機器の勉強をしてみると、タッチパネルの機能がないパソコンをタッチパネルありに変身してくれるスペシャルなIT機器、AirBarを発見。早速に購入して使い始めました。金額は約7,000RUB。自分自身のパソコンのサイズに合わせて14インチを購入。反応も悪くありません。これはとても良い買い物をしました、タッチパネルに関心のある方にはお勧めの商品です。

一つ確かなことは、高いパソコンであるほど、それは素晴らしいスペックのものに出会える確立が高まること。お金にゆとりがあればお金をかけるに越したことはありません。一方で現代では安いパソコンですら十分な性能を持つものが多い中、使いこなせない機能をたくさん持つパソコンに多額のお金をかけることはどうなのだろう?とも考えています。ただし、いくらお金をかける必要がないとは言っても、いつも自分の傍に置いておくパソコンです。見ていて、触っていて好きになる、そんなパソコンを持っていたいとも思うものです。

TSUKUMO

https://shop.tsukumo.co.jp/

AirBar

https://air.bar/

[給与計算]有給休暇の計算に使用する係数29,3と「平均給与」について考察してみた / Salary calculation : Coefficient (29,3) used for Paid vacation calculation and thinking about Average salary

以前に記述した「有給休暇の計算」で取り上げた係数”29,3”という日数の意味は一体何でしょうか、調べてみるとこんな経緯がありました。

ソビエト時代から1992年に至るまで、年間365日から祝日と日曜日を除いて(ソビエト時代は週の仕事日が6日間で日曜日が休日)12か月で割った計算結果、25,4日を使用していました。1992年から2000年までは毎年ロシア労働省が次の年の計算に利用される係数を発表。2001年以降は労働法112条で祝日の数、労働法139条で月の平均日数が以下のように決められてきました。2014年に定められた29,3日は今でも有効で、この基準に基づいて有給休暇の計算の際に29,3を使用します。

Год年間カレンダー日数 / Кол-во дней в году祝日の日数 / Кол-во праздничных дней (ст. 112)ひと月当たりの平均カレンダー日数 / Среднемесячное число календарных дней (ст. 139)
20013651129,6
20043661226,6
20063651229,4
20123661429,4
20143651429,3
参考資料:Среднемесячное число календарных дней: зачем нужен этот показатель и как его применять в программах 1С?

例えば、過去12か月の収入が月給50,000RUBのみであった場合。過去12か月間、全勤務日で仕事に従事したのであれば29,3日を使用しますが、1か月(31日間)だけ休暇を5日間取得した月があったとします。有給休暇の計算に利用されるその月の日数は以下です。

29,3 / 31日 * (31日―5日間)= 24,57日

その結果、導き出される平均給与は(50,000RUB*12か月)/ (29,3日*11か月分+24,57日)= 1,729.75RUB/日

仮にこの時点で未消化有給休暇の日数が20日間あるとすれば、1,729.75RUB*20日間=34,595RUBの引当金が計上されます。(もしこの従業員がこの時点で退職する場合、この金額を会社は退職日に支払う義務がある金額)

もし計算対象の12か月間の間に昇給があったとすると、その昇給率を昇給前の給与にも掛け合わせて収入額を増加させる。それから12か月分の総合日数で割って平均日給を計算する、という手間も必要のようです。システム無くしてはとても追いつかない複雑な計算ロジックに参ってしまいそうになります。

そもそも、なぜロシアの有給休暇(出張時の給与計算も同様)の計算方法は過去12か月分の平均給与を基準に計算されるのか、その発祥はいつか?こういった点に疑問が湧いてきます。一般的に、就業経験が長くなるに伴って収入も上がってゆきます。毎年賞与も入るとさらに収入は増えます。毎年付与される28日間の有給休暇を消化しなければ、未消化分は退職するまで蓄積されますので、ある意味貯蓄のような意味合いを持っています。平均給与は毎月変動するので各従業員の未使用休暇日数が積み重なるにつれて引当金の計上額も増えてゆく。毎月人件費に不測の変動が生じる要因です。

きっと各国の計算式にはその国の歴史や考え方が反映されているはず。ソビエト時代からの計算の歴史を辿ってゆくと面白いに違いありません。こんな興味深い文献を見つけました。

НЕКОТОРЫЕ ВОПРОСЫ ИСЧИСЛЕНИЯ СРЕДНЕГО ЗАРАБОТКА
SOME ASPECTS OF THE ALTERATIONS IN THE LAW OF AVERAGE WAGE CALCULATION

https://cyberleninka.ru/article/n/nekotorye-voprosy-ischisleniya-srednego-zarabotka

私の個人的な意見として、ロシアの労働法はスピードの速い現代ビジネスの展開やフレキシブルな現代社会の働き方にそぐわないものとなっています。例えば毎年12月中旬までに翌年1年間の休暇スケジュールを決めて、その計画に沿って従業員は休暇取得が要求される、というルールであったり、休暇開始日の3日前までに会社は休暇分の給与を従業員口座に振り込まなければならないというルール。完全にソビエト時代の計画経済の名残ではないでしょうか?このようなルール違反の罰則規定があり、それによって余計な負担が管理部門にのしかかり、そのルールを理解しないスタッフから不平不満があがり…一体誰が得をするのでしょうか、このようなルールの見直しがなされることを願っています。

IT数式(offset, match関数)も仕事も自分の言葉に置き換えて覚えるのが一番確実 / It is the best to remember IT formulas and work by replacing them with your own words(offset, match formula)

複雑なものになるほど、自分の言葉に置き換えることの大切さを思います。

例えばExcelのFormula。多くのインターネットサイトでたくさんの方が説明をしてくださっていますが、直感的に分かりやすいサイトにたどり着くことが難しいことを感じています。いくつものサイトを訪問してようやく欲しい情報がそれらしく書かれている欲しい情報にたどり着く・・そんな気がしています。一つ一つの式を覚えるには、自分の言葉に置き換えて覚えること。これが私のたどり着いた結論です。

仕事で頻繁に利用するvlookup。見つけたい列が検索の基準となる列から右側にないと使用できません。そんなわけで使用される式が、offsetとmatch関数の組み合わせたもの。これ自体、式の構造を見てもいまだにパッと理解できません、覚えられません。
それで、自分の言葉で置き換えてメモにしておけば、後で振り返っても分かりやすいのではないでしょうか。複雑なものはきっちり覚えておく必要はなく、自分のメモを読み返した時にすぐに分かるようにしておく、それが大切なのでは、と思いました。

さて、基準となる式はOffset関数。この関数で検索したい値を見つけ出しました(黄色セル)、以下例として書き出しました。

Offset(Offset関数のスタート地点;そのスタート地点から必要な数だけRow(行)を下に移動する;そして必要な数だけColumn(列)を横に移動する)

言い換えれば、
Offset(検索基準となるColumn(列)のタイトルを選択する(絶対値);その基準から必要な数だけRow(行)を下がる;さらに必要な数だけColumn(列)を横に移動することで欲しいデータに到着する)

検索したい値は右側にあればいつも通りvlookupが使えますが、今回は検索の基準列から左側に位置しています。ですので左に進む場合はマイナス。一つ左隣にあるので、

Offset(検索したいデータを持つColumn(列)のタイトルを選択する(絶対値);そのタイトルから必要な数だけRow(行)を下がる;-1)
となります。

そして、必要な数だけRowを下がるわけですが、これは4つの商品名が順不同で存在するため、該当する商品が位置するRow(行)の場所を見つけるために、Match関数を利用します。

Match関数は、Match(検索したいデータ, それを検索する対象範囲を指定する)
そうするとそのRow(行)の数を返してくれる関数です。

検索したいデータをそれぞれ指定し(B3~B6)、それらが存在する範囲を検索対象として指定します(C10:C13)。こうすることで、4つのProductが位置する列数を教えてくれます。

すでにColumnは左へ一列移動、つまり-1としています。

よって
Offset(検索基準となるColumn(列)のタイトルを選択する(絶対値);その基準から必要な数だけRow(行)を下がる;さらに必要な数だけColumn(列)を横に移動することで欲しいデータに到着する)

置き換えると、
Offset(C8:Match関数でRowの数を取得(C9~C12):左に一列移動(-1))

結果としてそれぞれの商品のPriceを取得できる。

こうして文字にしてみても、分かりづらいなぁという印象が否めません。言葉にするというのは易しいものではないな、と実感します。分かりやすい言葉に出来てこそ、自分自身で完璧に理解している証拠であり、他人にも分かりやすく伝えられる、というもの。引き続きいかに平易な言葉に物事を置き換えて説明ができるか、課題です。

さて、IT数式に限らず、複雑な物事を自分なりの言葉に置き換えて説明できるようにすること。これは仕事を習得してゆくためにとっても重要なことだと考えています。難しいことで簡単に想わせる、プロのスポーツ選手が大変難しいことでもまるで素人でもできるかのように簡単に見せている、あの境地を私たち会社員も同様に目指してゆきたいものです。

ロシアで仕事をする中で見つけた人事関係のおすすめ本 / Recommended HR books I found while working in Russia

私がロシアに来て人事を経験してみて、決して多くはありませんが自分なりに手にとってよかったと思う本をいくつかあげてみました。

戦略人事のビジョン 制度で縛るな、ストーリーを語れ(八木洋介 金井壽宏)

人事という仕事の全体の概要と人事として取り組むべき仕事を掴むにあたり大変勉強になりました。この本にも出てきますが、GEで大変有名であったナインブロックの評価制度が今では廃止されています。そんな風に、過去には多くの方が高く評価していた制度が時代と共にその地位を失っていくという事実も人事制度の面白い部分だと感じています。

ワーク・ルールズ! / WORK RULES! (Google人事担当上級副社長 Laszlo Bock) 

数年前に一時帰国して本屋に入った時、棚積みされているsyい本が目に飛び込んできました。手に取ってパラパラとめくってみて…。まだ人事とはなんぞや?という初歩の初歩であった私には衝撃を受けた内容でした。その後もロシアに戻ってからもどれだけ読み返したことでしょうか。この本がどれだけ良かったかを人に説明すると、「でもそれはGoogleのような会社だから昨日するのではないの?」と指摘されました。それも確かかもしれません。それでもこの本にある幾つかの内容を実際に実務に取り入れたことは良い経験tのなりました。

人を動かす / How to win Friends and Influence people (Dale Carnegie)

この本はビジネスパーソンにとっては誰しもが聞いたことがある一冊でしょうか。

ずっと昔に読んだきり、すっかり忘れてしまっていましたが、今の自宅隔離が始まる前にオフィスの棚を見返して見つけました。これを機会に改めて読み返しています。人としてありたい姿でいるための原則が載っていて、このジャンルの本はありふれていますが、この本一冊で十分ではないでしょうか。

戦略人事マネジャー / Roadmap to strategic HR: Turning a Great idea into a business reality ( Ralph Christensen)

この本の通りに出来て入れば、何も言うことはありません…人事の役割の在り方と将来的な目標を見据えるうえで勉強になりました。私の勤める会社は戦略人事なんていう以前に従業員の出社時間の管理、社内の書類の整備、身の回りの整頓をすること…そんな初歩的なレベルからスタートですが。 モスクワの多くの日系企業は設立十周年を越えたくらいの若い、小中規模のものが中心です。大企業から駐在員としてやって来ると日本にいた時の感覚で物事を考えてしまう危険があるかもしれません。どんなに本社の制度は立派でも、現実のいまここにいるモスクワの会社はあくまで中小企業であることに変わりはありません。その規模に応じたその会社の成長度合いに応じた人事制度を取り入れることが重要である。それを失敗から学んできました。人事制度は同じことであっても、この会社では正しい。しかし別の会社では間違いというケースが生じます。本に書かれている”正解”をただ受け止めるのでなく、まずは自分の会社の実態をよく把握し、その成熟度合いに応じた相応しい制度が何かを理解すること。それを取り入れて段階的に向上させてゆくこと、この取り組みが重要だな、と。この本について言えば、人事精度のベースが確立された大企業の人事担当者に一層必要な内容であって、私が働くモスクワのような小さな会社には程遠い内容でした。ただし、将来、このような人事制度をこの会社に作ってもらいたい、それがあなたたちの任務ですよ、という願いを込めてロシア人スタッフにも訴えてきましたが、まだまだこれからです。

MBAの人材戦略 / HUMAN RESOURCE CHAMPIONS (by David Ulrich)

(なぜ、この英語のタイトルがこのような日本語のタイトルとなるのか分かりませんでした)

具体的な会社事例が取り上げられている点が有益でした。この本に対する印象も上記の本に対するものと同じです。

なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣4.0 / The Personal Efficiency Program 4th Edition (Kerry Gleeson) これまたひどい日本語訳…と思うのは私だけでしょうか。といってもこれに惹かれて購入したのが私なのですが…

数多くの技術的なノウハウ本を買っては全く身につかず無駄にしてきた私ですが、この本はずっと昔に購入し、その内容を気に入っていて今でも時々目を通しています。ロシア語の翻訳版もモスクワで見つけたので、マネジャーの数だけ購入して全員にプレゼントをしました。きっと役立ってくれていれば嬉しいです。

計画を立てるもののそれに満足しているだけであった私にとって「とにかくすぐやる」ということをこの本を読んで学びました。つべこべ言わずとにかくやること。今でこそ改善されていますが、昔はひどいものでした。他にも週ごとの計画を立てること、他人とのコミュニケーションの取り方。新しいことでも21日間続けるとそれが習慣となること。今こうやって書きながら見返していても改めて学ぶことがあります。書いてあることは決して特別なことではなく原理原則ですが、これを実行し継続することが難しいですね。また、ここでは詳しくは書きませんが、仕事スキルとして他に重要なこととして、このような原則を学んだ後は日々自分のやり方を見つけるために変化を付けて改善してゆくこと、自分の業務に要する時間の見積精度能力を高めること、その仕事をやると決めたらやりきること。これらが仕事をする上で大切だな、と考えています。

HR в борьбе за конкурентное преимуществе (Дейв Ульрих и Уэйн Брокбэнк)

この本David Ulrich氏の本の翻訳版で、中身は大企業向けのような印象です。戦略的な人事部を作り上げてゆく上で必要な内容がぎっしりとロシア語で書かれています。本屋で色々人事に関する書類を漁ってみたなかで、非常に硬い内容ですがこのような本もあってはよいではないかと思いロシア人スタッフにプレゼントしたものの誰も読んでくれませんでした、いまのところは。

Год с Питером Друкером 52 недели тренировки эффективного лидера (Джозеф Мачиариелло)

この本は、ピーター・ドラッカーの教えを毎週1つずつ学習し、1年かけてリーダーとして成長しよう、という試みの本です。コンセプトが面白くて購入してみました。スタッフにぜひやろうよ、と言ったのですが…。いつかは必ず、ロシア人スタッフの力によって取り組んでくれる日がくることを願っています。

ずっとロシアに長いこといるために日本の書店の様子を深く知りませんが、私が思うに現在出版される人事関連の本は技術的な部分に特化しているものが多く、どれだけたくさんの本を読んでも、お金と時間をかける割に得られるものが少ないのではないか、というのが私の考えです。むしろ、古くから存在する古典的なビジネス書に絞り、その内容を反芻するほうが効果的であろう、と私は考えています。

また”人事”という仕事は決して人事部に所属しているから、人事部の人間の仕事です、というのは誤りで、どこにいて働こうが必ず仕事は人があって回るもの。一対一の関係が始まるところから人事という仕事はスタートするのであり、決して人事部のみが担う仕事ではないということです。しかし、人事部は会社全体の仕組み作りを整える上で大きなイニシアチブが取れる部署であり、全体を巻き込んでいく上で重要な要であるということは事実です。私の経験からすれば、ロシアで長いこと人事の仕事に携わってきましたが、全体を巻き込む力や意欲を持ったスタッフに出会えることはなかなかそう多くありませんでした(それは会社が採用できる給与のレベルや採用を決定した会社側の問題でもあるのですが)。人事部としてロシアの細かな手間暇のかかる書類作り、最低限の制度作りをやるものの、それを運用していくのは各部門のマネジャーの仕事であって私の仕事ではない、私は人事であるから他の部門の仕事を把握することまでは仕事ではないです、といった線引きをするスタッフが多い印象です。といっても決して拒絶するわけではなく、線引きがある状況から徐々に意識を解いてゆく過程を経て、ようやく戦略的人事、といえる分野のスタートラインに立てるのかもしれません。他の部署が何で困っていて、どんなことをしてあげればより貢献できるだろうか?それは各部門の人や仕事内容をある程度理解できないことには提案できないものですから…。

ロシアは、日本でも同様ですが、会社の人材に関する本は先進的な欧米からの本が多いです。日本は多くの日本人による著書が選択肢として豊富に用意されていますが、ロシア人著者による人材関係の本はずいぶん遅れをとっています。そんなことから、ロシアで人材関係の良書を探そうとすると数が限られること、そもそもこの分野の本自体が少ない。結果として、ロシア人スタッフと人事に関する情報共有、議論をするとなると、英語の文献をオンラインで購入する、Youtubeにある動画をロシア人スタッフと共有することも大切だと思います。母国語ではないため英語で説明する言葉は完全に各人の心に届かないものです。ですから、ロシア人の人事スタッフがどれだけ成長し、周りと共に会社の人事制度を作り上げていけるか、そして全従業員に母国語のロシア語浸透させて行けるか、これが本当の意味でのこれからのチャレンジです。 

言語学習に役立つおすすめのこと / Recommendations for learning foreign languages

人によって考えはそれぞれですが、一企業人として働くにあたって、仕事は英語で行う。これがあるべき姿だと考えています。たとえ流暢にロシア語で仕事ができるとしても、何年か経てば後任がやってくる。その後任者はロシア語は全く無知。となると仕事のやり方も大きく変わります。後任が決まったタイミングで言葉を変えてゆけばいいではないか、との声もあるかもしれません。しかし、通常業務をロシア語で回す前提で仕事が組まれている場合、なかなか英語を標準語とした仕事の回し方に整備してゆくことは骨の折れることだと感じています。ロシア人スタッフにも意識して英語を使う機会を与えること、私たち日本人自身も英語へのハードルを下げるためにも日頃から英語を生活の一部としておくことが大切に違いありません。

おすすめのYouTubeの英語学習ページ

世の中には英語学習のノウハウを説明している記事があらゆるところにありますので、ここではそのようなものに対抗しようということは決してありません。あくまで私が語学学習の中で発見した気づきや言語学習そのもにに関して感じた点を書き連ねてみました。

English with Lucy – British English

https://www.youtube.com/channel/UCz4tgANd4yy8Oe0iXCdSWfA

Subscriptionの数が本日時点で3.88M。非常に多くの数の購読者がいるページ。講師の方が綺麗、という理由も大きいかもしれませんが、この方のプログラムの中身が分かりやすく、学習に適度なスピードとイギリス英語。自分自身は今は自宅隔離のためできませんが、通勤時間に聞いたりと移動中に定期的に聞いています。私は英語の学習のためにBBCの英語学習アプリやBBCニュースを利用することが自然と増えてきて、なぜだかイギリス英語の響きが好きになりました。そういえば、ずっと昔に通っていた英語個人塾の先生はいつも「イギリス英語のあの発音が好きなの」と言っていました。イギリス英語には人を魅了する何かがあるのかもしれませんね。

Oxford Learner’s dictionaries- Collocations

https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/collocations/

英語の文章を書くときに、その言葉の次に~ingがくる?それともto do?といった文法の悩みは尽きません。私は文法が苦手ですし嫌いですし、正確な英語を何としても書こうとも思いません。間違った英語でもいいから大切なことはとにかく相手に伝わること、悩まずに早く書いて相手に送ること。社内のビジネス英語はそれでよいのではないかと。ただし、外部に書く英語では慎重になります。そんなわけで~ing?いやto do?だろうか?と考えてしまいます。そんな時、Collocationsの辞書は持っていて損はそないなあ、と感じてます。「語と語のつながり」を教えてくれる辞書。仕事中に常に眺めている余裕はありませんが、たとえ文法に関心が無いとはいえ避けて通れない道。矛盾して聞こえますが、長期的には正確な英語を身に着けることは大切であって、そのためにも自分自身で定期的に辞書を見て言葉の並びを学習しています。もしかすると、一番ベストなのは翻訳する文章をGoogle Translateでパッと処理することなのかもしれませんが…

会社がOffice365を法人契約しているのであれば、パソコンにダウンロードしているOutlookではなく、ブラウザ上のOutlookを利用すると、ワンクリックでどんな言語も英語に翻訳できる、これはなかなかよいなあ、と感じました。翻訳精度は不明ですが、ロシア語でやり取りしているメールもクリック一つで英語に転換でき、全体の概要をサッと理解するためには役立つ。おすすめです。

さて、言語学習について面白いなぁ、というTEDでのプレゼンを見つけました。

この方はこの動画投稿時点で8カ国語を操るようです。この中で納得したのは、言語の学習方法は人によって異なる(多くの人とコミュニケーションを取りながら学習する人もいれば文法学習に集中する人もいたり)、共通しているのは各人が学習が長続きするためのモチベーション維持の方法を持っていることだ(学習成果をグラフにする、学習に使う文房具にこだわるなど)、ということです。面白いですね。

私は言語を一つの音楽だと思っているので、通常の音楽を聴くように、心地よい人の声、かつ内容が関心のあるものであれば長く聞いていたいな、と思います。音楽のリズムから曲を掴むように、まずはリズムを感じ取ることが大切だと感じています。また、学生時代とは異なって時間がない社会人。そんなわけで、机に腰を落ち着けて黙々と勉強していた学生の頃のスタイルとは異なり、少ない時間の中で楽しみながら学べる。歩きながら学習する、そんな風に言語学習を別のことと結び合わせて効率的に行うことの大切さも感じるところです。例えば、ミニマリストの生活に興味を持ったので、英語圏のミニマリストのYoutubeをのぞいてみる、コンピュータが好きなので、最新機種の紹介をしている英語圏の人の動画説明を見てみる、そんな風に自分の好きなことと言葉学習を繋げてしまうと自然と障壁も高く感じずに学習が進んでゆくものであろうと思う日々です。

そして最近も改めて認識させられることがあったのですが、日頃から声に出すことの大切さ。外国語は聴いているだけでは、たとえ頭で理解したつもりでも、いざ話すとなると違いますね。思ったように声にならず声が小さくなってしまう。頭で考えていたように舌が動かず発音ができない。そんなギャップを解消するために日常的に声に出すこと。それを心がけています。

仕事を忙しくしているのは自分ではないかという疑い / Suspicion that you are the one who keeps you busy

仕事は忙しい。でもその中身が健全なものか、不毛な忙しさか、自分で冷静になって熟考することが重要だなぁ、と感じています。

見ていると、仕事の多くが不毛な忙しさで大半の気がします。そういえば何年も前ですが、東証一部の立派な大企業の経営企画に勤めていた友人は「社長向けの報告用に作成するプレゼンテーションが更新される度に回ってくるんだけど、なんと、その更新回数がXX回だった。それもグラフの位置を変えたり、言葉遣いを変えるためだけに。社内向けの資料にそれだけの時間をかけているっていったい…」と言っていました。(回数の記憶が曖昧となってしまったのですが、それは多すぎるなぁ、という印象だったことだけは覚えています)

私がロシアに来たばかりで右も左も分からない昔の話ですが、本社に提出する分量も多くない業績報告書の最終確認のために全駐在員が揃って会議室にこもり、気が付けば4時間近くが経過していました。今もよく覚えています。4時間近く座って、時には沈黙も続きながらのてにをは直し。現地のスタッフを育成し、業務を現地化してゆこう、と言っても実態は日本人で固まる。これは安心感がありますが、長期的に見ると会社とロシア人スタッフにとっては弊害でしかないでしょう。会議がようやく終わって外にでたところ、とあるロシア人スタッフから「いったいそれだけ会議室にこもってどんな会議なんでしょうか…Unbelievable」と言われました。私も同感です。その後、改善提案をしてそんな会議の方法もようやく過去のものとなりましたが…

何事も、今自分が行っている業務はどれほどの重要な意味を持つのだろうか?自分の勝手な思い込みで業務に重みを与えているだけではないか?そのように自己吟味することの大切さを噛みしめています。(以前に読んだ、”High Output Management” by Andrew S. Grove(昔のインテル社CEOの著書で経営書の中では大変有名な本のようです)では、”レポートは情報を伝える方法というよりは、”自己規律訓練”の”手段”なのである。レポートを”書くこと”は重要だが、読むことは重要でないことが多い”という興味深い指摘がありました。確かにその通りだなぁ、と思います。時間をかけるべきレポートの取捨選択は必要ではあるのでしょうが…)

というのは、自身の抱える仕事に取り掛かるにあたって、その仕事の重要さの位置づけと時間の掛け方について考えずに進めてしまうケースが多いように感じられるからです。

さて、不毛というのは自分の不注意、自分で生み出してしまった忙しさのことも意味しています。今回主に書きたいテーマです。後から降りかかってくる、「なんで当初お願いした内容と違う仕事をしているの?欲しい数字はこれじゃないんだけど…」スタッフが持ってくる報告にそう言いたくなることがあります。その元を辿っていくと「仕事を頼んだあのとき、このポイントで気が歪んでいたな、ここできっちりと自分の欲しい具体的な数値を説明せずに曖昧にお願いしてしまっていたな」といったケースが見つかります。そして、さらに、それが繰り返されることも。後で振り返ると、あ、やっぱり自分だ。またやってしまった、と。忙しさのせいにしてはいけませんし、こちらのお願いする意図をわかってくれよぉ、と部下のせいにしてもいけない。(でも人間なのでそんな気持ちもあります)

Emailでも口頭での説明でも、とにもかくにも具体的に、誰が?何を?いつまでに?どうして?具体的に書いてロシア人スタッフに渡す。このことの大切さを何度も何度も強く訴えたいです。

自分自身が考えていることは相手にまず100%のレベルでは伝わりません。ロシアで働く場合には言葉の問題もあります。同じ日本語で仕事をしていても誤解が発生しますし、ロシアで勤務していても、見ているとやっぱりロシア人スタッフ同士でも勘違いが生じているのを見ると面白いです。どこの国でもなんら変わりはありませんでした。

また、給与変更やポジションに関する人事関係のニュースなど、少々相手の意にそぐわない内容を伝える場では、気兼ねして言葉遣いも弱まり、一層相手との会話の理解に誤解が生まれるリスクがあります。きっちりと文書にして相手との面談に臨むべきでしょう。例えば、こちらはグロス金額で伝えたはずが、相手はそれを手取り金額と理解しており、あとで契約書を更新する段階になって「いや、これは自分の聞いていた金額と違う」なんてこともあり得ます。そこからまた不毛なネガティブな話し合いのための”不毛な仕事”が発生します。

自分自身の抱える仕事をいかに時間をかけずに処理できるか、空いた時間でいかに将来のための投資の仕事時間に費やせるか。これが重要だと思ってます。必要のないところは手を抜く。例えば、増える一方の報告書。それでいて依頼者はレポートを読み込まないことが多い。一体そんなレポートの完成度を高めたところでどれほどの意味があるのか?その完成度を高めるために熱意を燃やして周りに強要するならば、それは、その人の自己中心的なエゴでしかないのだろうと。そのレポートに要求される完成度のレベルをまず把握することが大切です。

仕事を一生懸命に時間をかけて、残業してでも行うから素晴らしい、という価値観はありえません。これは、限られた私の経験からしか判断できませんが、労働時間が長い=一生懸命に努力していて素晴らしい、という風潮を事実見てきています。

周りからの評価が自身のKPIではなく、自身の持つ固有の時間を大切にすることであるならば、いかに自分の時間をかけずに課題をクリアできるかが優先順位となってきます。例えば資料作り。見やすい、きれいな色付け、線の種類を揃える。そういった類のことは社内向けであれば妥協すべきだと思います。コメントも過去資料に似たものがあれば流用できます。フォント、サイズを揃える、印刷の際には画面内に収まるだろうかと、Page previewでチェックする(相手が印刷をするかもしれないので)そのような最低限のことを守ればあとはとりわけ過度な注意を払うことは不要であろうと。そう思います。

社内メールであれば、句読点もそんなに重要でしょうか?そんなことも思います。自宅勤務が続くモスクワ。メールを音声入力で作成することが増えた現在 — 音声入力だと、句読点が入らない(方法を知りません) — そんなことを考えたりしています。

今の時代、結果的に仕事の反応も早くなり、結果的に評価される可能性が高まるかもしれませんね。自分の時間を最優先に考えて行動する。それが結果として会社と自身の両者にとって益がある、面白いです。

自分が上手くいっているときもそうでないときも / When your things are good or not good as you expected

自分が上手くいっているときもそうでないとき

とりわけ上手くいっていないとき

これがその人の人間性を表すのではないでしょうか

人がうまくいっていることを妬んでしまう傾向が誰にもあります。気を付けているつもりでも私もやっぱりあります

そして自分が何だかうまくいっている時には周りのどんなことも気にしなくなっていますヒトというのは面白い生き物だと思います

我々はみな完全ではないので、その時どんなに相手が悪いとしてもそこまで相手を落としこむこと、決してすべきではないです

しかしながら、周りを見渡してみると相手を批判する人、けっこういるのではないでしょうか?

自分だって同じ失敗をしかねません、いつの日にか。そうであれば、自然と人の失敗についても寛容になる要素があるはずです

ロシア人のスタッフでもイコンを机に置いていたり、机のパーティションに飾っているスタッフを見て思いました

ロシア正教会に属しているスタッフで聖書を学んでいると唱える人でも、その行状を見ればその人が必ずしも「人を許すように」という有名な教えを実行できていないのだな、と

知識で知っていることと、知恵となって心に沁み込んでいることとは違うのですね

「相手がわたしに対する態度を変えない限り、私もその人に対する態度を変えない!」そう主張したスタッフがいました。— こんなヒトに幸せな将来はやってこないでしょう

もう10年前くらいでしょうか、日本でタクシーに乗ったときに言っていた運転手の言葉を今でも忘れられません

「人は自分が上手くいっているときには他人に対しても優しくできて親切を示せるけれど、自分が苦しい状況に陥った時に周りにどう振舞えるか、その時にその人の真の人間性が試される」(正確なフレーズは覚えていないのですがこんなことを言っていました)— 深いことばだなぁ、と

とりわけ人の評価を担当するマネジャーの持っているべきスキルを語るとすれば、過去に自らが逆境で苦しんだ経験、そこでもがき苦しみ、解決方法を模索した日々、その問題を解決できたときの喜び — こんな実体験に基づく他人の心を理解する力です

部下との会話をする中で、「あー、これね、うん分かるよ、この課題はそう、難しい場面に直面してどうにもいかなかったよね」— そう言ってくれる上司がいるだけで、どれだけ部下の心は救われるでしょうか

ロシアで”スーパージェネラリスト”に向かって進む日々 / Going to be a “Super generalist” in Russia

ロシアで日々業務に携わっていて感じていることは、企業で働く中での専門性、というのはその業務に関する知識の深さではない。その分野で業務を進めてゆくプロジェクトの導入過程で生まれる他の部門とのトラブル、実際の法律と会社の事情のギャップを把握したベストの解決策を提供できるか、予想していない二次的な災害が起こる可能性への対処、そういった、その場その場で求められる目に見えない経験値によるノウハウをどれだけ持っているか。これがいわゆる”専門性”と言われるものなんだろうか、と思うところです。

人事、経理、物流、IT、法務という営業活動とは直接関与しない管理要素のある業務を管轄していますが、”専門性”が果たして何を意味するのか? — 考えてしまいます。知識ならば、いくらでも専門書を読めばよいだけです。インターネットでもそれなりの専門的な知識を得ることができます。

ロシア人の従業員でよく出会ったのですが、知識を持っていることを専門性と思っている人がいます。「ロシアのLabor Codeにはこう書いてあります。だから会社のルールはこうあるべきです。」

確かに法令ではこう書いてある、だからそうしなければならない。それは分かっています。一方で、マネジメントからすると色々な事情もあり完全にそのルールに沿って行うことができない事情もあるかもしれません。ロシア人スタッフもそれを分かっている。であれば、マネジメントと法令の間に立って、現時点でのベストの回答を考えだす。それができることこそ真の専門性なのではないかと思うわけです。

今の世の中、ますます物事が複雑となっています。知識だけで言うならば、外部の会社に委託して情報収集やアドバイスを得ることがより適切となってきています。一方で、彼らはあくまで情報を持ってきてくれるのであって、私たちの会社が抱える内部の課題に関して理解を持っていません。それができるのはまさに”専門性”を持った社内の従業員だけです。その”専門性”は、単に自分の仕事の分野に留まって勉強していればよいものではなく、営業も含めた社内のありとあらゆる分野の事情について情報を持っていること。それぞれの部門が抱えている問題を大なり小なり知っておくこと。一見すると「そんなこと、私の仕事ではありません」と言いたくもなるようなことをどれだけ知っているか。そこから自分の持っている知識と組み合わせて会社にとって必要とされる解決策を提案できるか。まさに今の私たち — 管理業務に携わる人 — にとってますます重要とされるスキルだと考えています。

ロシアに来るまでは、経理業務に専門的に携わっており、会計士になりたいと思い、仕事に出かける前の朝、終わった後の晩、仕事中の休憩時間、週末は図書館で勉強漬け、そんな時を過ごした時期もありました。でもダメでした。目指す過程で日商簿記1級は取得できましたが、会計士の試験に1度チャレンジしたものの、到底自分のレベルが及ばないことを実感した試験体験でした。友人には、日商簿記1級の試験に2回目でパスした人がいます、それも、勉強のほとんどは通勤時間の電車で参考書をめくっただけだという。私は何度落ちたことか…そういった事実を踏まえても、友人の話を聞いたときには自分自身の才能の無さを感じた体験でした。

今となっては経理というベースを越えて、雑多なものに携わる中で特定の分野に従事している人には気づかないアイデアをポッと提案してみたり、ITという全体に関係のある知識を用いて他の部署に話を持って行ったり。自分自身の専門性が一体なんなのか、答えに窮しますが、そんな曖昧さ一杯の”スーパージェネラリスト”という一つの専門性を構築しているロシアでの仕事の日々です。

ロシア人スタッフの訓練の場は、日々の自分の仕事の姿勢 / The training for Russian staff is just what I do and show on daily work.

安全な買い物のための4つのルール;人との距離を1,5m開けること、無料の消毒を利用すること、支払いはカードでお願いします、可能であればマスクをしてください。とのことです。レジ周りの床にはテープが貼っており、それにそってお客さんがレジの順番待ちをしています。マスクをしていない人を見るほうが珍しいくらいに。大きく、ここモスクワの様子も変化しています。

いつも考えてしまいます。なぜこれだけ人材トレーニングを提供する会社が星の数だけあるのか、そしてこうもその結果が表れないのか? つまり、効果がないにも関わらず会社がトレーニングを計画するので、それだけの人材訓練の会社ビジネスが成り立つわけですが…トレーニングをして育てたい人材というのは会社に頼らず自ら動いて自ら自己研鑽に励んでいるのではないか、と言いたいところです。会社として、訓練の場を設けることの必然性について問われれば私は懐疑的です。

最近嬉しいことがありました。寡黙に作業を黙々とするスタッフ。あまり目立たないキャラクターです。でも仕事はきっちりとこなしてくれる物流担当のスタッフです。

メールで質問をしていて、それに対して彼からの返信メール。昔と随分と違います。発展途上ではありますが、ロジカルで短い文章で事実を書いてくれて、Conclusion、として要点をまとめてくれていました。以前のの彼のメールはそんなことはなく。冗長なメールが続き何を言いたいのか、要点を把握するのにも時間がかかる。そんなころと比べると、あれっ、いつの間にこんな書き方になっているんだろう、いつの間に成長したのだろう、とパッとメールを見た時に感じました。

会社のメンバーのメールやり取りを見ていると、下線を付ける、文字を太くする、段落をずらすなどしてメールで読み手に分かりやすい方法を考えていることが見て取れます。それが私の成果だとはとても言いませんが、日頃からそのようなメールを書くことを自ら実践してスタッフにもお願いする。そんな毎日の地道な繰り返しと自らの行動の実践が少しは伝わっている証拠だろうか…なんて都合のよいように解釈をしてしまいました。

自分の訴えたいことを自ら行動して示してゆく。それがいつ実を結ぶのか分かりませんが、実践を継続し続けること。相手に行動で示し続けること。そして相手にその大切さを口で訴えるのは時を選んで。その言動が一致するときに真に伝わる人もいる ― 全員に伝わることはない ― そんな地道な積み重ねこそが本当に大切な人材育成であると思うところです。