聖書から学ぶロシア人スタッフのマネジメント / Learning from Bible how to manage Russian colleagues

ロシアで美術館の絵画を理解するためには、聖書を知る必要がある、と聞いたことがあります。絵画の題材に聖書の中の話が多いからです。実際に勉強のために聖書を読んでみると、仕事に役立つことが多くあるなぁ、と考えさせられる点が多くあります。

何度でも人を許すこと

ペテロ「主よ、兄弟が私に対して罪をおかした場合、何度まで許すべきか?七回まででしょうか?」

イエス「七回までとは言いません。七十七回までです」

どれだけスタッフが失敗をしても、何度でも許してあげることの大切さを学べます。しかし、どんなにこちらが何度教えてあげても同じ間違いを繰り返すスタッフ、どんなに本人が頑張る意思を持って本人なりに努力しても要求基準に達しない場合…対応方法にいつも苦しみます。自分自身としては温かく許したい、と思っても、毎日の業務にほころびが生じ、日々自らがカバーに入り、周りへの迷惑を感じながら過ごすこと。会社全体への悪影響を考えると、こういったスタッフについては必要な対策を講じざるを得ないと考えています。スタッフに首を言い渡すのは全く嫌なことですが、時期を逃すことなく、決断を長引かせることない行動が必要です。不要で無意味な優しさは会社、自分自身、首になる本人にとっても誰にとっても不幸です。いずれにせよ、自分自身も数多くの失敗をおかしてきた人間ですので、スタッフが不慣れな仕事で失敗をしてしまうとしても、何度も許す心の大きさを持ち、何とか本人の強みを見つけてそれを有効活用できる努力を失いたくない、そう願っています。

自ら相手の立場になって物事を考えて行動すること

何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ。

これはとても有名な言葉で、ロシア人スタッフも誰もが知っているはずです。なぜ人はこの言葉を知っていながらにして、「相手が改善しない限り、私も変わらない」「私は悪くなくて相手が悪い」― こうも自己中心的な人が多いのか…知識として知っていることと実際に行動に表すことの難しさを痛感しています。多くの人は、週末に教会で立派な話を聞いて、その通りにしよう、と思いつつもいざ教会を離れて日常生活に戻ると何事もなかったかのようにすべてを忘れ去ってしまうしまうのでしょうか…。この原則を実行できる人は、仕事でもプライベートでも重宝されること間違いありません。でも、この当たり前のことがいかに難しいことか、よく実感しています。

部下のことをよく考えているがゆえに、部下に正しいフィードバックを日頃から与えること

わたしが悪人に向かって、悪人よ、あなたは必ず死ぬと言う時、あなたが悪人を戒めて、その道から離れさせるように語らなかったら、悪人は自分の罪によって死ぬ。しかしわたしはその血を、あなたの手に求める。
しかしあなたが悪人に、その道を離れるように戒めても、その悪人がその道を離れないなら、彼は自分の罪によって死ぬ。しかしあなたの命は救われる。

このフレーズを見つけたとき、これはとても深いな…と素直に感じました。人事評価の際、1年間の部下の業績についてほとんど適切なフィードバックを期中にしてくることなしに、期末時に「あなたのXXが足りなかったですね、この点には不満があります。そのため評価はとてもAをつけられません。」と上司に言われたらどうでしょうか?「いや、私はそんな風に思っていなかったし、なぜ上司はそう感じていたのだろう?なぜ期中に言ってくれなかったのだろう?」と思っても自然ではないでしょうか。マネジャーには定期的なフィードバックを年間を通して行うように、少なくとも1か月に1度は1-on-1 meetingを部下と行うように、と言っていますが実際に出来ている人は残念ながらほとんどいません。フィードバックは部下にもっと成長してもらいたい、もっとこうしたらパフォーマンスが上がるのでは、という愛の感情から行うもの。言うべきことを知っているのに行わないとすると、それは結果的に我々マネジャー自身の責任であり、その罪は重いのだな、とこれを読んで納得しました。

多くのスタッフが自分はキリスト教徒だと答えたとしても、きっちりと聖書の教えに沿って生きている人は少ないと思っていますが、少なくとも教養はあるはず。そんな彼らに聖書のフレーズを使って仕事に励んでもらえるきっかけにできないのだろうか、そんな風に考えています。

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ロシアのモスクワにある日系企業の管理部門にて長く勤務した後、現在は日本で働く会社員です。モスクワでロシア人と一緒に激動の日々を過ごした中で当時悩み、もがいていた管理業務の情報、体験談を少しでも多くの方々と共有したい、との思いがきっかけとなりブログを始めました。今はロシア、ウクライナの友人たちと連絡を取りながらロシア語の勉強を続け、ただただ平和な世界が来ることを願う日々です。

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