レフ・トルストイが長編「Anna Karenina」で書いたように「幸福な家族は、どの家族も似通っている、他方、不幸せな家族というのはその不幸さはそれぞれで異なっている」。
ロシアの貧困の克服も一筋縄ではいかない。有効な改革が必要であることは明白でプーチン大統領が2020年の連邦会議にて表明したように、貧困層を2024年までに現在の半分にするという野心的な課題がある。
広大なロシアでは、貧困のデータは都市と村落とではとりわけ異なる。貧困層はモスクワやペテルブルクでは8%足らずの一方でカルムキアでは20%に達し、(南シベリアの)トゥーヴァでは40%にも至る。
経済成長が貧困層の減少に重要であることは重々承知であるが、2000~2011年には貧困層が30%から11%未満に減少したものの、2017年にはそれが13,2%にまで再び上がってしまった。ロシア統計に基づく世界銀行の見込みによれば、2024年までは貧困層は9,7%まで削減される見通しで、ロシア政府のデータによれば6,6%となっている。
どのような改革がロシアの経済成長を促進するのだろうか?投資と製造メーカーの増加だ。とりわけ中小企業(малый и средный бизнес)が不可欠だ。現在、ロシアのGDPに占める中小企業の割合は22%であり、OECDのそれ(50~60%)には大きく後れを取っている。
子供を持つ貧困層の家族にとっては社会保障が不可欠だ。また、そのような家族は職を見つけることが困難で、必要な知識もないことが問題となる。あるいは医療のために必要な金銭面での不足や、子供にかけるための支出が制限されてしまうことも問題だ。
ロシアの政策面に責任を担っている人々に期待されていることは何か?それはとくに仕事を見つけることが難しい地域により注意を向けることだ。若い人から年老いた世代にも一定のレベルの教育と専門的な準備を備えることが大切で、それによって子供に必要な医療や必要な支出を賄うことができることにもつながる。
ロシアは今、必要な改革に向けた財源、制度も用意ができている。あとは、すべての国民の生活に寄与する 包括的なアプローチをとってゆくことが必要だ。
出典:Vedomosti 19.02.2020
後記:誰もが分かっている、誰もが語れる内容を伝えたところでどうなのだろう…もっと大切なことは、このような当たり前のことがなぜ実現しないのか?そこにあるのは政治家をはじめとした”持っている”人々自身が各個人の利益を優先する実態、この国の将来に希望を抱いていない国民が多い(自分と家族がよければよし、それ以外のことは知らない、という態度)など、さらに根深い問題がかかわっているに違いない。きっとこれはロシアだけではなくて日本でもどこにでも程度の差はあれども共通して存在する事実なんだと改めて思いました。