ウクライナ語とロシア語 / Українська мова and Русский язык

ここ最近、外国語学習アプリのDuolingoを利用してウクライナ語をちょっぴりかじっています。住んでいる街のウェブサイトを見ると、ここにもウクライナから避難してきている人たちがいるのだとか。何かできることはないかと、秋くらいだったか、ロシア語通訳のボランティアとして登録をしました。昨年末には、一度お電話をいただき、お役所の事務手続き関係の通訳が可能かどうか?とのことでした。その後、具体的なボランティアの話は現在までにありませんが、自分のロシア語のレベルがどれくらいなのか?この点を客観的に明確に説明できる何かがあったら良いなあ、と感じました。「通訳ができるかできないかは、まずは呼んでいただき、こりゃあ使い物にならないと思ったらそこで首にしていただくなんてどうですか?」なんてちょっぴり冗談ありの柔らかい雰囲気でご担当の方と会話した後、結局お話をいただけていないので、すでにあの電話の時には首になってしまったのかもしれませんが。

とある報道を見た記憶では、ロシアがウクライナに侵攻してからはロシア語を話したがらないウクライナ人が増えているのだとか。その気持ちも分からないでもないです。実際、2022年9月からは、キエフではロシア語を学校で教えるのをストップしたということです(以下のYoutube動画より)。もしかして将来にウクライナの人と話す時に、少しでもウクライナ語が分かったらいいな、という気持ちから最低限でもDuolingoを開いているところです。

9月からキエフの学校ではロシア語を勉強しなくなることについて、「それは良いと思う。」と答える女性が大変流暢なロシア語で会話を続けていることを見ると、ロシア語とウクライナ語を簡単に切り離せるものではないことを感じさせられます。

先週、ウクライナ西部に住む友人とオンラインで会話した際、実際に現地ではどうなのかを尋ねてみました。ウクライナの人たちはロシア語を話すことに否定的になっているのか?そんな人たちが増えているのか?と。これは一人の個人的な意見なので、これが大多数の見解であると決めつけることはできません。彼が言うには、— 確かにロシア語を話すことに否定的な人もいるのは確か。そうはいっても、今は東部から西部に人が流れてきている。彼らの多くはロシア語を話す人たち。西部の人もロシア語が分かる。会話をするとなるとロシア語にならざるをえない、別にそれがどうした?必要があるからロシア語を話す、それだけだ。— ということでした。

今思い返せば、約何十年か前。ロシアでのおよそ8か月の語学留学を終えてからバックパッカーの旅を始めたばかりの事。多少はロシア語が上達したと思って訪れたウクライナ西部の中心都市リヴィウでのことでした。路面電車に乗り、車内で切符を購入しようとしたもののそのタイミングを逃した途端に(販売していた女性が反対方向に行ってしまったので、戻ってきて目が合った時に声をかければよいかと思ったのですが)、私のすぐ隣に立っていた男性に強い調子で何かを言われ、次の停車駅だったかで路面電車が停車したところで強制的に降ろされたことを思い出します。ロシア語で話しても相手はウクライナ語でまくしたて来て何を言っているのかさっぱり分からない…それでも罰金10ドルほど支払う必要があることだけは分かり、支払って解放されたことがありました。果たしてあのお金はあるべき場所に収められたのか、単に彼の懐に入っただけなのかは…私には分かりません。あの時、ウクライナの西部ではこれほどまでにウクライナ語が浸透しているのか…という印象を持ったことを今でも覚えています。というのも、キエフでは普通にロシア語が聞こえてきたものですから…。

ウクライナ語を学ぶといっても、「あなたは誰?」「私は学生です。」といった初歩的な表現です。「誰?」はウクライナ語では”Хто”(フトー), ロシア語では”Кто”(クトー)。「話す」は、どちらの言語も”говорю”。読みはというと、ウクライナ語では”ホヴォリュー”、ロシア語では”ガヴァリュー”。面白い、似ている。でも頭が混乱してくる…。今自分はロシア語を話しているんだ、いやウクライナ語だ、などどうやって頭の中で彼らは区別できているのでしょうか…?

そう言えば、以前にモスクワで交友があったウクライナ出身の男性は、会話していて「ヤー ハバリュー」といつも発音していました。ガヴァリューじゃないんだ?いや単なる聞き間違えかな?なんて当時は思ったこともありましたが、今思えば、きっと母国語であるウクライナ語の発音と混ざってしまい、ガとハの違いが自然と会話にも出ていたのだろうな、と。きっとそうに違いないです。

他にも、ロシア語とウクライナ語を比較してみると、「家」は、ロシア語では”дом”(ドーム)、ウクライナ語では “будинок”(ブディーノク。ロシア語の”будильник”(ブヂーリニク、目覚まし時計の意味)にそっくり?)。

「牛乳」は両者共に同じスペルで、”молоко”。でも読みはというと、ロシア語は”マラコー”。ウクライナ語では”モロコ”(何だか、2022年のサッカーワールドカップで大躍進した国、「モロッコ」の響きに似ているような響き)。

ロシアで、相づちのような場面でよく使われる”Так”(ターク)。ウクライナ語ではYesの意味だとか。実質同じような意味ですね。

言葉って面白い。

ロシア語学習のすすめ ー DuolingoとNHKラジオ講座 / Recommendations for learning Russian language -using Dulingo and NHK Radio Course

5月に入ってから、10年ぶりだろうか、久しぶりにNHKロシア語ラジオ講座の教科書を購入してみました。近所の書店に入り、店頭に並ぶ各言語の教科書の数を見ていると、ロシア語だけが残り少なくなっている。もしかしてロシアによるウクライナ侵攻が引き金となってロシアが注目されることにもなり — 幾つかの書店を回るといずれもロシア特集コーナーが設けられていました — ロシア語を学んでみようと思う人が増えたのだろうか?と思ったり。たまたま入った書店で、たまたま見かけた光景だけで判断はできないのですが、ちょこっとだけでも言葉に触れてみようかな、と思う人たちが増えても不思議ではないのかもしれません。

Duolingo

NHKのラジオ講座の話をしているにも関わらず最初に書くのはDuolingo。只今はまっています。以前から気になっていた中国語を少しずつ勉強すべくDuolingoの無料版で毎日少しだけ学習を初めてみました。せっかくならロシア語も、と思い始め続けて約2か月。毎日の連続学習記録を絶やさずに間もなく連続60日を突破しようとしているところ。すっかりDuolingoの良さに魅了されている現状です。

Duolingoは、詳しくはインターネット上で検索するとYou tubeなどでも詳しく紹介されていましたが、可愛らしいキャラクターや、一度もレッスンせずに一日を終えようとするとリマインドメッセージが届いたり、他の登録者とのランキング競争で自分の順位が降格圏内に入ってしまうと警告メッセージが表示されたり。毎日レッスンすることをモチベートしてくれる工夫がそこかしこにされています。

ロシア語レッスンは日本語ユーザー向けのコースがなく、English speaker向けを選択せざるを得ません。そんなわけで、ロシア語文章を英語に翻訳する際に形容詞をどこに持ってくるか悩んだり、単語の並びが入れ違いになってしまって間違いを重ねたり。日本語で学習できる中国語よりも英語でロシア語を学習する分だけハードルが高いです。一つ一つの課題は短いものですが、曖昧な理解に留まっていた単語の格変化を正しく理解しなおすこともできますし、レッスンの中で間違えた箇所が必ずもう一度最後に出てきて、正解するまではレッスンを完了できない。お手本の音声に従ってフレーズを声に出して、正しく発音できていないとクリアできない音読の課題もあります。短い中にも工夫満載だと思います。時にロシア語を話す友人とZoomで会話する時には、思ったよりも口が動くことから、きっとDuolingoのおかげなのかも?なんて考えることもあります。

ちょっとした隙間時間で勉強できるのはDuolingoの大きな強みの一つではないでしょうか。毎日たったの5分としてもそれを毎日継続すればきっと目に見える成長を感じる日がくるのだろうか、と思いながら…。なお、Duolingoを長いこと利用していてDuolingoを勧めているYoutuberのチャンネルを見たところ、「Duolingoの学習に毎日15分は費やすようにしている。ある程度の進歩のためにはそれぐらいの時間は最低必要だと考えている。」という発言がありました。なるほど…。この15分は短いようで長い。続かないこともあります。成長するためには毎日の継続の大切さが語学に関わらずあらゆる分野にも共通して言えること。しかし、たとえすぐに話せるチャンスも必要性もないとしても、たとえ一緒に学ぶ友人がいないとしても、いつか話せるようになるために先の見えない新しい言語の勉強を継続するのだ。…そんなモチベーションが持続しない場合もあるかもしれません。わずか15分のNHKの語学講座でもだんだんと15分も無理。となってしまうことも十分起こりえます。そんな時には無理することなくDuolingoで毎日5分もかけずに語学の勉強。そして、仕事の休憩時間を利用して少しずつレッスンをクリアすれば、1日の終わりには合計15分以上の勉強をしていることもよくあります。そして毎日継続できていることで達成感も感じられます。お勧めです。

NHKラジオ講座テキスト

私の場合は、包み隠さずに言えば、NHKのテキストを手に取るのは用を足す時の読み物として利用することが多いかもしれません。NHKの語学講座は、文法の説明も丁寧にされていて、大学1年生の頃に習ったロシア語講義の内容を復習しているかのようです。今読み返すと、やっぱりロシア語は難しい…そう思います。

高いモチベーションを持っていないと一人で毎回のラジオ講座15分を継続することは大変ではないだろうか…と。そんな中、ロシア語5月号で面白かったのは、テキストの後半にある応用編。テーマは”ゴンチャロフが見た日本“。「1853年にロシア艦隊4隻が長崎に入港して、その後1年半に及ぶ日ロ交渉が始まり…旗艦パルラーダ号に乗っていたのが、作家のイワン・ゴンチャロフ…。長崎での交渉が終わると、ゴンチャロフは任務を解かれて1855年2月にペテルブルクに戻ります。…彼はすぐに旅行記を雑誌に連載しはじめ、「日本におけるロシア人」と題された章は、特に評判になりました。…ゴンチャロフは初めて出会った日本人の様子を、時には辛辣に、時にはユーモラスに、見事に描き出しています。」(参照:NHKテキスト まいにちロシア語5月号85ページ)この5月号に紹介されている文章は、この章からの引用のようです。単にロシア語の勉強というよりも、昔の日本を紹介する当時のロシア語文献から当時の様子を知ることができる。これを読むだけでもロシアと日本の結びつきや歴史を知るきっかけになり楽しく読んでいました。大学時代にはNHKのラジオ講座テキストを購入してもほとんど開かずに積みあがっていくことが多かったのですが、年を取ってからは自らの意思で率先して開くNHKロシア語テキスト。それは、貴重な知識の宝庫で、こんな軽くて薄い本の中にこれだけの面白い内容が詰まっていることに感動を覚え、やっぱり言語を学ぶのって楽しいな、と認識しています。

おすすめのロシア語辞書 / Russian dictionary which I would recommend

今のロシアは、そしてこれからも、現在の政権が存在し続ける限りロシアビジネスの将来は無いのだろうか…一体今後どうなってしまうのだろう…という暗く、どんよりとしたロシアの景色しか浮かんでこないこの頃。ロシア語の需要は果たして今後も存在するのでしょうか。モスクワで通訳をすることで生計を立てていたロシア人にとって欧米や日系企業のロシアビジネスからの撤退や事業停止はとてつもなく大きな衝撃に違いありません…。

最近は、ウクライナ情勢を巡ってウクライナにいる友人と連絡を取ることが多くなりました。定期的に届く現地の悲惨な状況と、それを遠くの世界で起こっていることのように伝える平和な日本。そのギャップに戸惑いを感じつつ、限られている中で自分にできることを細々と行う日々です。

ロシア語でやり取りをする機会も増え、自分のロシア語の未熟度を知る機会ともなっています。以前ですが、ロシアに手紙を出したい、という日本の友人からの手紙をロシア語に翻訳したところ、その文章を見て「意味は伝わるけれどもロシア人だったらそんな表現はしない」と笑われてしまったこともあります。「いや、あえて外人が頑張って書いたロシア語にこそ価値があるんだ!」と言い訳をしましたが、やっぱりロシア語の美しさが伝わるような表現ができるようになりたい、と思います。どんなに辞書で調べて単語を習得したとしてもネイティブのような表現方法をするには到底及ばない。難しいです…。

大学時代に習ったロシア語。文法でぶつかる壁と言えば格変化。学生時代には、シュセイヨタイゾウゼン(主格、生格、与格、対格、造格、前置格)と機械的に覚えましたが、今でも単数形、複数形の場合、男性形と女性形の場合とでどっちだったっけ…?と悩みます。

モスクワで勤務していた際、ロシア人スタッフが頻繁に利用していたオンライン辞書は以下のものでした。不思議と、一人だけでなく、別のスタッフと会話していても同じサイトを開いていたので、きっとこのサイトの使い勝手が一番高いのだろうか、なんて思ったことを覚えています。

https://www.multitran.com/

インターネットでオンラインロシア語辞書のおすすめをパッと探したところ、以下のサイトでいくつかのオンライン辞書が勧められていました。(先ほど記載の辞書もその一つとして挙がっています)

私のおすすめの辞書

自分自身の勝手な好みで判断していますが、いろいろな辞書を探す中、現時点では以下の辞書が一番のお気に入りです。

https://kartaslov.ru/

先ほどの格変化の例で言えば、以下のページを開き、調べたい単語を入力すると全ての格変化の形がパッと表示されます。

https://kartaslov.ru/просклонять-существительное/лес

ウェブサイトの構成も分かりやすく、類義語や他の単語との組み合わせパターン、その単語の使用例をロシア文学の中や有名な人の発言からの引用といった有益な情報も載っています。

単にロシア語を浴びるように聞いていても上達しないけれども、かといって教科書を開いて文法の勉強だけをしていてもやっぱり上達しない。それは義務教育で学んだ英語学習で証明済み。駐在員時代に面白かったのは、学生時代にロシア語を専攻していてモスクワに派遣されて仕事をしている人たちの中には、必ずしも一生懸命に勉強を学生時代にした人ばかりではないこと、そしてそのような人が流暢にロシア語を操るようになっている、ということです。

私には何が最も適切な学習方法なのかは分からないのですが、いろいろな方法を試しながら、それをしばらく続けてみて自分に合っているのか合っていないのかを検証してみる。そして自分に相応しいと思う学習方法を身に付ける。外国語学習はその作業の繰り返しでしかないのでは、と。定期的にロシア語に触れて、声に出して読むこと。これを毎日続けること。短い文章でも大丈夫。これが私にとって今のところベストかなと思っています。たった5分、といっても、毎日5分続けること自体がかなりのチャレンジであることを実感しています。そして声に出すことで、その言語を話すときの筋肉の使い方を覚える。頭の中で黙読して読み進めることと声に出すことには、とてつもなく大きな大きな違いがあると思っています。

さて、お気に入りのオンライン辞書で”россия(ロシア)”という単語を入力して検索したところ、以下の引用句がヒットしました。

Иногда кажется, что Россия предназначена только к тому, чтобы показать всему миру, как не надо жить и чего не надо делать.

Пётр Яковлевич Чаадаев (1794–1856) — русский философ

(時々思うのだが、ロシアは世界中に対して、どのように生活すべきではないのか、そして何をすべきではないのかを示すためだけの運命にあるように思われる。)

100年以上も前に語られた言葉ですが、現在のロシアに照らし合わせてみたとき、どのように皆さんは感じられるでしょうか…。

外国語を習得するときの大切な要素ーその言語が持つリズムを掴むこと / The important factor in learning a foreign language-grasping the rhythm of that language

先日、オフィスで勤務していると、おそらくインドの子会社スタッフとの電話会議の会話の様子が会議室から漏れてきました。耳にしていると、日本人は日本式のイントネーションで、インド人はあのインド独特の口調です。そして早い。お互いにリズムもスピードも違う。日本式というと、ゆったりと流れるように話す、アクセントがあまり文章の中に表れない、そんなイメージがあります。その会議での日本人の英語をよく聞いていると、英語を話しているのだけれど、「そうですねー、あのー、えーっと…だからそのー…」というフレーズがあたかも聞こえてくるような。一方のインド人の英語はというと、一定のリズムで早口で休止もなくまくしたてるように続く — 何に例えることができるか考えてみました。それは小学生の頃に学校で一生懸命に覚えたスリランカの首都名称スリジャヤワルダナプラコッテ。これを休止なくひたすら早口でリズミカルに言い続けている。あるいは、日本語で例えるならば、言葉が汚いのですが、「おいおまえらなにしとんねんいいかげんにしやがれこらおとといきやがれ」これをテンポよく早口で繰り返している ー そんな風に全く異なる双方の英語の会話が続いていました。同じ言語を利用していてもこれだけ話者によって異なるとは大変面白いものがありますね。

語彙の数を増やすことや文法を学ぶこととは別に — これは恐らく英語に限らず、どの外国語を習得するにあたっても言えることと思うのですが — 話すときのリズムやイントネーションが大切だ、と感じている点が、まさにYoutubeの中で専門家の方によって理路整然と説明されていました。

この動画の中で、ネイティブスピーカーが話す英語に秘められた3つのポイントが紹介されている中、その一つとして”English is stress-based language”である、と。英語は重要な単語の正しい箇所にストレスを置いて発音すること。これを行えるだけであなたの英語はネイティブに伝わります、ということです。多くの言語は一つ一つの音が重要な意味を持つ”Sound-based language”である、とも。Sound-based languageの場合、1つでも音が失われたり正しく発音しなかったりすると言葉の意味そのものが失われてしまう。でも英語の場合は音は決して重要ではない、と。強調すべき音節に、ただしい強調をつけること。そうすれば発音が悪くてもネイティブスピーカーは理解してくれるでしょう。だから文法の間違いも気にしないで。…そうはいっても、このポイントを習得するだけではとても英語を話せるようになるわけではないはずです。恐らく、指摘せずとも英語学習に置いて語彙数を増やすこと、文法を習得することに重きが置かれているために、それだけではだめですよ、他に相手との会話の上で大切なことを忘れないでくださいね、と伝えたいのだと思いました。

現代において、英語は全世界で利用されている国際語であるため、今の時代は言語発祥の地で話されるものが絶対的に正しいですとはいえないのかもしれません。しかしながら、英語を第二言語として勉強する人は、アメリカや英国の英語を正解として勉強しているはずで、そうであれば、第二言語として勉強する私たちは、やっぱり各言語が持つ特性を意識し、その言語が持つリズムやイントネーションを習得しようと意識することが大切ではないのかな、と思っています。日本語を話すときは棒読みでもよいけれど、英語を話すときには英語の持つ強弱を意識して付ける、といったように。そうすることで自然と強く発言した部分が強調され、長く発音され、リズムも生まれてくるであろう、そう思っています。ロシア語も然り。

具体的な有益な情報は上記のYoutubeが字幕付きで説明してくれています。なお、オリジナルのビデオを発見(以下Link)。こちらは字幕がないのですが、プレゼン資料もついていて、このビデオを見るほうが分かりやすい部分があるかもしれません。

「本当に言葉ができる人っていうのは、自分が話す相手に応じて、相手が分かりやすいように話すことができる人のことだ。」/ “A person who really knows to speak a language is a person who can imagine the person who he/she speaks to”

「本当に言葉(外国語)ができる人っていうのは、自分が話す相手に応じて、相手が分かりやすいように話すことができる人のことだ。」

そのように友人から聞いたことがあります。これを聞いた時、とても深いなぁと思ったことを覚えています。ロシアで勤務しているとき、日本からやってくる出張者の中には大変流暢で発音も素晴らしい方々がいました。本社の方針やトレーニングのために準備してきた内容を英語で説明しています。ロシアの会社では英語ができるスタッフを原則採用するようにしているので、スタッフも問題なくコミュニケーションを取ることができますし、会社で働くスタッフは日本人よりもずっと上手に英語を話す人が多い印象がありました。そんな中でも英語を苦手とするスタッフも中にはいます。きっと速いスピードで話される英語の内容についてゆくのは容易ではないでしょう。それでも話し手はとめどなく流れるように英語の塊を次から次へと生み出していました。もしかすると、人によっては、英語を話していること自体に話し手自身が満足しているかのように思えたかもしれません。

言葉を話す上で大切なのは、学習を重ねれば重ねるほど、その人の人間性がより重要になってくるのかもしれません。どれだけネイティブスピーカーのような”綺麗な”発音ができるようになるのか、どれだけ正確に文法を正しく用いるか、どれだけ語彙力があるか、テクニカルな部分は重要ですが、きっと、話し手が仮に外国語のスキルが弱いとしても、その人に備わった素晴らしいものがあれば、聞き手はその重さを察してくれるのだと思います。テクニカルな部分が弱ければ、熱い議論や瞬発力を要するような場面では全く歯が立ちませんが、じっくりと話を交わす場面や、発言力が弱くても文章にすることで”発言する”ことだってできるはずです。語学学習をする上で、どうしても語彙力、文法、発言といった部分に焦点が当てられますが、そのテクニカルな部分中心の言語学習から早く抜け出したいものです。

日常の仕事の場面では、― とりわけ駐在員として会社で働く上では ― 言葉の瞬発力や言語力の高さを要求されるケースが多くあるのは事実ですが、テクニカルな部分をある程度固めたのであれば、それ以上に単に外国語の勉強に時間を費やすよりは自らの人間性を深めるようなことに時間を費やすことが総合的な言葉力を高めることに繋がるのだろうなぁと思ったり。

人間性が高くなると、人は聞き手のことを考えることも出来て、ただ自分が発言をしたい、という気持ちだけではなく、相手は私の発言を分かってくれているのだろうか?どうしたら相手の心に言いたいことが伝わるだろうか?と考える。それが相手の身になった上での発言となり、本当の意味で言葉の使い方に長けた人になるのだろうなぁ…そんなことを考えると、冒頭に挙げた友人の言葉とても意味が深いです。

言語学習に役立つおすすめのこと / Recommendations for learning foreign languages

人によって考えはそれぞれですが、一企業人として働くにあたって、仕事は英語で行う。これがあるべき姿だと考えています。たとえ流暢にロシア語で仕事ができるとしても、何年か経てば後任がやってくる。その後任者はロシア語は全く無知。となると仕事のやり方も大きく変わります。後任が決まったタイミングで言葉を変えてゆけばいいではないか、との声もあるかもしれません。しかし、通常業務をロシア語で回す前提で仕事が組まれている場合、なかなか英語を標準語とした仕事の回し方に整備してゆくことは骨の折れることだと感じています。ロシア人スタッフにも意識して英語を使う機会を与えること、私たち日本人自身も英語へのハードルを下げるためにも日頃から英語を生活の一部としておくことが大切に違いありません。

おすすめのYouTubeの英語学習ページ

世の中には英語学習のノウハウを説明している記事があらゆるところにありますので、ここではそのようなものに対抗しようということは決してありません。あくまで私が語学学習の中で発見した気づきや言語学習そのもにに関して感じた点を書き連ねてみました。

English with Lucy – British English

https://www.youtube.com/channel/UCz4tgANd4yy8Oe0iXCdSWfA

Subscriptionの数が本日時点で3.88M。非常に多くの数の購読者がいるページ。講師の方が綺麗、という理由も大きいかもしれませんが、この方のプログラムの中身が分かりやすく、学習に適度なスピードとイギリス英語。自分自身は今は自宅隔離のためできませんが、通勤時間に聞いたりと移動中に定期的に聞いています。私は英語の学習のためにBBCの英語学習アプリやBBCニュースを利用することが自然と増えてきて、なぜだかイギリス英語の響きが好きになりました。そういえば、ずっと昔に通っていた英語個人塾の先生はいつも「イギリス英語のあの発音が好きなの」と言っていました。イギリス英語には人を魅了する何かがあるのかもしれませんね。

Oxford Learner’s dictionaries- Collocations

https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/collocations/

英語の文章を書くときに、その言葉の次に~ingがくる?それともto do?といった文法の悩みは尽きません。私は文法が苦手ですし嫌いですし、正確な英語を何としても書こうとも思いません。間違った英語でもいいから大切なことはとにかく相手に伝わること、悩まずに早く書いて相手に送ること。社内のビジネス英語はそれでよいのではないかと。ただし、外部に書く英語では慎重になります。そんなわけで~ing?いやto do?だろうか?と考えてしまいます。そんな時、Collocationsの辞書は持っていて損はそないなあ、と感じてます。「語と語のつながり」を教えてくれる辞書。仕事中に常に眺めている余裕はありませんが、たとえ文法に関心が無いとはいえ避けて通れない道。矛盾して聞こえますが、長期的には正確な英語を身に着けることは大切であって、そのためにも自分自身で定期的に辞書を見て言葉の並びを学習しています。もしかすると、一番ベストなのは翻訳する文章をGoogle Translateでパッと処理することなのかもしれませんが…

会社がOffice365を法人契約しているのであれば、パソコンにダウンロードしているOutlookではなく、ブラウザ上のOutlookを利用すると、ワンクリックでどんな言語も英語に翻訳できる、これはなかなかよいなあ、と感じました。翻訳精度は不明ですが、ロシア語でやり取りしているメールもクリック一つで英語に転換でき、全体の概要をサッと理解するためには役立つ。おすすめです。

さて、言語学習について面白いなぁ、というTEDでのプレゼンを見つけました。

この方はこの動画投稿時点で8カ国語を操るようです。この中で納得したのは、言語の学習方法は人によって異なる(多くの人とコミュニケーションを取りながら学習する人もいれば文法学習に集中する人もいたり)、共通しているのは各人が学習が長続きするためのモチベーション維持の方法を持っていることだ(学習成果をグラフにする、学習に使う文房具にこだわるなど)、ということです。面白いですね。

私は言語を一つの音楽だと思っているので、通常の音楽を聴くように、心地よい人の声、かつ内容が関心のあるものであれば長く聞いていたいな、と思います。音楽のリズムから曲を掴むように、まずはリズムを感じ取ることが大切だと感じています。また、学生時代とは異なって時間がない社会人。そんなわけで、机に腰を落ち着けて黙々と勉強していた学生の頃のスタイルとは異なり、少ない時間の中で楽しみながら学べる。歩きながら学習する、そんな風に言語学習を別のことと結び合わせて効率的に行うことの大切さも感じるところです。例えば、ミニマリストの生活に興味を持ったので、英語圏のミニマリストのYoutubeをのぞいてみる、コンピュータが好きなので、最新機種の紹介をしている英語圏の人の動画説明を見てみる、そんな風に自分の好きなことと言葉学習を繋げてしまうと自然と障壁も高く感じずに学習が進んでゆくものであろうと思う日々です。

そして最近も改めて認識させられることがあったのですが、日頃から声に出すことの大切さ。外国語は聴いているだけでは、たとえ頭で理解したつもりでも、いざ話すとなると違いますね。思ったように声にならず声が小さくなってしまう。頭で考えていたように舌が動かず発音ができない。そんなギャップを解消するために日常的に声に出すこと。それを心がけています。

外国語習得のための秘訣(ロシア語に限らず) / Tips for learning a foreign language(Not only Russian language)

私は英語とロシア語を例にとってしか語れませんが、外国語を習得するにあたって大切なことはなんだろうか?と考えてみると、いくつかの要素があると考えています。

先日、出張者を連れて赤の広場のすぐ近くにあるお土産屋さんに入ったところ、女性のアジア風の顔をした女性がすぐに近づいてきて、私たちが中国人ではないと悟ったのか、大変流暢な英語で「何をお探しですか?」と話しかけてきました。後でその場にいた複数の女性店員に聞いてみると、ウズベキスタンやキルギス出身の方々で4,5か国語を操る、とのこと。中国語を含む大変多くの中国人観光客がいるために、お土産屋さんも中国語を話すスタッフを常駐させているようです。対応も親切で、彼らにチップを払うべきなのか…いやでもロシアでは不要なはず?…初めてこのようなお土産屋さんに入ったこともあり、分からなくなってしまいました、結果として、お礼を丁寧に伝えてからその場を後にしてきました。

正直に認めざるをえませんが、私自身には彼女たちのように幾つもの言語を操る能力はありません。いや、能力は誰しもが持っていると考えていますが、絶対的に複数の言語と接する時間を日常生活で小さい頃より持っていたであろう彼女と比べて、通常の日本の環境で育った日本人であるならば、私たちにはそのような絶対的な時間数で劣っているわけです。そして、今は言語学習に費やせる時間も限られています。

言葉に対する拒否反応をどれだけ下げることができるか

その言語を見た時に、「うわっ、見たくない。」— この気持ちをどれだけ低くできるかが重要だと考えています。英語でさえ、英語のWebsiteを見たり、ロシア人スタッフとの英語でのメールやり取りを読むだけでも「うわっ、見たくない。」、そう皆さんは思うことがないでしょうか?正直なところ、私はあります。やはり慣れ親しんだ母国語が一番楽ですし、その言葉の裏にあるニュアンスも感じ取ることができます。そうはいっても英語は避けて通れません。私は、毎日その言語に触れることでしか自分自身の拒絶度合を緩和することはできないと思います。

ituneを見ると、いくらでも無料でBBC、CNN、NYTimesといったニュースリソースを入手して聴くことができますし、ウェブサイトでも記事を読むことができます。

ロシア語について言えば、私はロシアのビジネスニュース紙であるRBK、Vedomostiを購読していますが、全ての内容を分からないにしても、毎日目を通すことでロシア語に対する拒否反応を確実に下げることができます。定期的に目にする単語を調べることでロシア語の語彙力も上がることはもちろんのこと、今のロシアでどのような話題が熱いのか、日本で報道されているロシア関連のニュースとの温度差を感じることができますし、日本のメディアのロシアに関するニュースについて 客観的な視点で 観察することができます。

長年、学生時代から英語を学習してきたにも関わらずなぜこうも英語の上達が遅いのか — 結局のところ、目的が無い中、かつ日常的に英語を使用する環境にいない日本で言語の勉強をしても、よっぽどの強い意志力が無ければ上達する可能性が低い、と考えていますが — 疑問に思う点でもあります。ロシアで勤務する中で感じるのは、やはり日本人というのは外国語が得意ではない人が多い、これだけ英語を学習してきたにも関わらず話せる人は決して多くないのだなぁ、という印象を持ちます。そんな中で、英語やロシア語で直接情報を取ることができる能力を持つことができるのであれば、それは非常に高いスキルであることは間違いありません。ロシア語で書かれているロシアの情報がどれだけ多いことか…。英語と比較してもそれは比べものになりません。間違いなく、ロシアにいると英語やロシア語を学ぶ動機づけが高くなります。

ひたする真似る

街行く人の会話を耳にしてそのままボソボソと自分で真似して話してみる。地下鉄の中で聞こえる会話を自分で真似してみる。そのリズムとアクセント、身振りも含めて真似してみる。「あ~なるほど、この表現はこんな時に使うんだな。よくこのフレーズを会社のロシア人スタッフが使っていたなぁ、きっとこんな状況でも使えるのか、この言葉はきっと汚い言葉なんだろうなぁ。」など、街を歩いているだけでもその場がロシア語の訓練場所です。

街の広告をよく見てみよう

街を歩く中で見かける広告も大変重要な語学学習教材です。短いフレーズでキャッチフレーズを並べている街の広告。考えぬかれた言葉が用いられています。それを利用しない手はありません。ロシア語には語尾が6つに変化する格変化、かつ男性形・女性形・中性形のパターンも存在し、複雑な気がしますし、日本人にとってはきっと完璧に理解することは難しいに違いありません。それでも、街で見かける広告を見て、その格変化を眺めるだけでも文法の学習に役立つと感じています。韻を踏んだ言葉遊びの愉快さも学び取れます。

(外国語を習得したければ、その国の彼女、彼氏を作るのが一番早い - よく聞く話です。これは真実だと思いますが、ポイントは相手のことをもっとよく知りたい、会話したい、という言語を学習する動機が高まるがゆえにそれだけ多く勉強して(Input)会話する(Output)サイクルが活発になるからだと思います。彼女、彼氏を作る以外にも言語学習への高い意欲とそれを利用する機会があるのであれば同じように高い効果が見込めるはずでしょうか)

仕事もコミュニケーションもシンプルに(日本語の使い方について思うこと)/ Make job and communication simple (thinking about the way of communication in Japanese)

日曜日の朝、マクドナルドで休憩中の路上の清掃スタッフ。背中からほっと一息ついている様子がうかがえて微笑ましくなりました。

日本を長いこと離れて、ロシアに住み、客観的に日本語を観察し、ロシア人とも会話する中で日本語表現について考えることが多くなりました。

~したいと思います。
よく見ることが多いYoutubeのチャンネルにしても、日本人の会議の場面でも、何度も、どこでも「~したいと思います」というフレーズをよく耳にします。「思う」、とは、~である、と発言者本人が断定はしないけれども、そう考えていますよ。ということであって、100%それを実行するか分かっていない場合ではないだろうか、と”思っている”のですが、どうでしょうか?
今、一般的に使用されている「~したいと思います。」というのは、それを100%実行する前のの場面です。この場合は、シンプルに「~をしてゆきます。」とはっきり述べるのが正しいのではないだろうか、と私は”思います。”

ちょっと、
ねえ、ちょっとちょっと、の声をかけるときのちょっとではなくて、少し何か違うんだよね、とか何か納得できないんだよな・・・、このちょっとねぇ…、でもありません。あまり意味もなく、言葉の間と間の沈黙を埋めるために使われるときのちょっと。そんな風に利用される機会が増えているのではないだろう。この”ちょっと”の意味が分からないです。

~だと……

言葉の語尾が曖昧になる傾向があるのではないか、と感じます。最後まではっきり言い切ることを避ける人が多い気がしています。その分相手の言いたいこと、その人の言いたいことの確信度合を慮る必要が生じます。

日本語について考える中で、こう感じています — 言葉を少しでも多く表現することで丁寧の度合が増すのだろうか、と。そして断定を極力避ける。だから比較的日本語のメールは長くなるのかなあ、かつ何を言いたいのか分かりづらいのだ、とも。

日本の慣習ならではの、相手の気持ちを考えるが故の”考えすぎ”

ビジネスメールでは、「了解です。」で済むのに、これだと冷たく聞こえるから、
「了解です。ご苦労さまです。」だったり「かしこまりました。ありがとうございます。」

しまいには、「了解です、ご連絡に感謝いたします。またよろしくお願いいたします。」であったり、「かしこまりました。ご回答いたありがとうございました。次回も何卒よろしくお願いいたします。」徐々に長くなってゆく。そして、ありがとうございました、なのか、感謝いたします、がよいのか…考え出してしまう…

ロシア人スタッフのメールやり取りを見ていると、”Thank you”に”Thank you!” とExclamation markをつける。この”!”マークが多いなぁ、という印象です。これで受信者が少しは好意的に受け止めてくれるのであれば”!”をつけるのもありかもしれませんね。ただ、”!”に惑わされて、実際に本人のロシア人スタッフのところに行くと、面倒な顔で対応されることがあります。!が付いているといって騙されてはいけません。

メールという無機質な媒体でコミュニケーションをとるが故の人間の苦労。面倒なものが作り出されてしまいました。人間は科学の力で世界をどんどん便利にしていっているはずなのに、世の中をどんどん複雑にしていっているように感じてなりません。それに加えて、仕事を複雑化することが好きな社員がいるからたまったものではありません。仕事もコミュニケーションもシンプルに。

ВыとТы / “You” and “You”

色取り取りの野菜、フルーツが並ぶ市場。(注:昨年5月に撮影した写真です。時期によって市場に並ぶ野菜、フルーツ類は異なります)

ロシアに来てから、いまだにВы(遠い関係、敬意のこもった”あなた”)とТы(君、お前、親しい間柄での”あなた”)の正しい使用方法が分からずどうしてよいものか悩んでいます。

市場にでかけたとき、Что ты хочешь?(お真似は何が欲しいんだ?)と乱暴に言われると、きっと下に見られているのだな、と感じます。一方で、Здравтвуйте, что вы хотите?(こんにちは、何を入用ですか?)と丁寧に尋ねられると、あっこの人の教養レベルは高いなぁ、と思ったり。

現在の職場に来て本当に間もない頃、会社のドライバーと会話をしていて「これからあなたのことをТыで読んでもいいですか?」と尋ねた瞬間、これまで勢いよく楽しく会話していたドライバーの顔が一気に硬直して少しの間固まっていたことを思い出します。あれは完全に失敗してしまった。親しい間柄だから、という気持ちからの発言だったのだが、どうもそうは取られなかったのかもしれない。

ロシア人の友人にこのВыとТыの使い分けが自分にとって難しいことを伝えると、彼女も「私もそれは分かる。私もお年寄りの方を呼ぶときに親しいのでТыを使っても良いのか、それでも相手を敬うためにВыを使うべきか、悩むことがある」と言っていました。ロシア人でさえもこうなのだから外国人の自分にとってはもっと難しいに決まっている。

さて、今日、ジムのサウナに入っていたら、よくある会話で「(熱した石に)水をかけてもいいか?」と一人が尋ねると、もう一人が「おぉ、いいね、賛成だ(Да, я за.)А ты?(ところで、お前は?)」とこちらに尋ねてきました。ときに、人によってはその質問がВы?になることもあるので人によって違うのですね。

会社で部下に対してТыを使用して会話したときのこと。頻繁にコミュニケーションを取っているスタッフで決して遠い間柄ではないと思うのですが、「職場ではВыではなしてください」と言われてしまいました。相手にはそんな近い関係とは思われていなかったのだろうか…。あるいは上司と部下の線引きを明確にしておく意図があったのかもしれません。かつていた経理責任者(Главный бухгалтер、英語Chief Accountant)は年齢も60歳に近く他のスタッフと年齢も離れていたが皆とТыでコミュニケーションを取っていました。一方、今の経理責任者は年齢も部下からそこまで離れていないもののお互いにВыで会話している様子です。大変皆仲良くやっているけれど、Выで呼び合うところに一定の距離とお互いに対する敬意が感じられます。

また、業務上の取引先の方にメールを書くときには、文中であってもвыではなく、ВыとВを大文字にして書くことがよい、とロシア人スタッフから習いました。相手への敬意を表すことになるようです。また、通常はТыで呼んでいたのに、Выに変えると二人の間に何かあったのでは、ということもあるようです。こんなちょっとした短い言葉、ВыとТыであっても大変深い意味がある。こんな部分からもロシア語の奥深さを学んでいます。 ロシア語の教科書では紋切型のВыとТыの使用方法が書かれているように感じられるのですが、実際に使用する場面では、相手に応じてその人のキャラクターや雰囲気を感じる会話能力、対人関係の感覚能力をもって相応しい選択肢を掴んでゆく力が大切と考えています。教科書で学んだこととは違うことが世の中多く、それを実践中です。

Kids向けテレビ番組でロシア語学習 / Learning Russian by watching TV for kids

モスクワの地下鉄車両内にて。最近は車内が明かるい新しいモデルの車両が増えていますが、この古いタイプではライトも弱く、乗客の黒基調の色合いも手伝ってより暗い雰囲気を醸し出しています。

ロシア語やロシアカルチャーの勉強にテレビが役立つと感じています。日本でもロシアでもテレビを全く見ない生活をずっと続けていましたが、テレビは今の社会のトレンドを表しているというのはどこの国でも同じでしょうか。テレビを観ると、その言語が持つリズム、音程などの音楽性を感じ取ることができること。さらにどのように感情表現をするのかといった人間性も学べるのがよいですね。

またKids用の番組は健全な内容ですし、言葉も多少は分かりやすく(Nativeではない我々にとってはいずれにしても難しいですが…)、子供向けに世の中のことを教えてくれる内容になっているように思えます。たとえば、今日見ていた番組では、ヘリコプターがなぜ地上から浮かぶのか、その理屈を番組内で説明していました。

参考Link:http://viks.tv/tv_detskie_kanaly

今の子供たちは、自分の子供の頃とは全く異なります。知り合いの家族の子供も誰もかまってくれなくてわめきだすと、親が「カーチャ、これを観ていなさい」と言って親がスマートフォンで子供向けのムービーを再生します。するとカーチャも静かになって、映像を観て一人で楽しんでいる-本当に時代が変わりました。日本のアニメもとても人気です。問題は、ゆっくりとテレビを観ている時間が無く、仕事に追われてしまう毎日ですが、貴重なロシアでの生活なので少しでも素のロシアに触れる機会を増やしてゆけるように毎日の業務改善に励んでいるところです。

ところで、いつも言葉と人の脳の造りについて不思議に思う点があります。「言葉を認識する方法(脳の仕組み)は各言語で異なるのだろうか?ということです。たとえば、Kids向けに”карусель(カルセーリ)”(Merry-go-round)という番組があるのですが、このカルセーリ(ロシア語のアクセントは後半)、独特な響きですのでアクセントの位置が間違っていてもこの言葉を何とか言えれば伝わるでしょう、と思いきや“カールセリ”とロシア人に何度言っても伝わりませんでした。ようやく「あ~カルセーリ!」と最後には分かってもらえたのですが、言葉を認識する脳のプロセスがどうなっているのか?面白いですね。各人の能力にも依るのかもしれませんが…。

日本語で言えば、例えば、柿(хурума)なのか牡蠣(устрица)なのか、辰(дракон)なのか立つ(стоять)なのか、言葉で書けばすぐ分かるのにイントネーションの違いで異なる意味になる、それが間違いなのかは会話の場合は文脈から把握する必要があるような場合と同様の現象なのかもしれません。

また、好き好んで利用しているNetflix。このKids用の番組メニューも多種多様です。ロシア版Netflixではロシア語でセリフを聞くことができます。素晴らしいのはセリフを常に英語・ロシア語字幕で出せること。ロシア語を聞いて英語で確認する、その逆もOK。Netflixもただ鑑賞するだけでなく語学学習に大いに役立っています。