きっと、管理の責任者としてロシアにやってくると、ロシア人スタッフに会計の基礎の基礎を教える必要を感じる場面に遭遇するはずです。
プロフィットアンドロス?バランスシートって?キャッシュフロー…?なにそれ?なんでこの3つの財務諸表を理解していなければならないの?自らの部門の数値に責任を持つためには、支払った前払金はなぜいまだに費用化されないのか、何をもって費用化されるのか?なぜ輸入する商品はお金の源なのか?なぜ黒字倒産というものが起こり得るのか(だからこそいくら売上を立てても売掛金の回収がされなければならない)? - このような基礎的な会計知識を共有していくことが大切だなぁ、とつくづく感じました。
残念ながら、ロシアの書店にでかけても何とまぁ、堅苦しい会計の教科書しか置いていないこと。こんな状況ではそりゃあ多くの人が会計の勉強を敬遠するのも分かります。翻ってみると、いかに日本では分かりやすく紐解いた会計のビジネス書がありふれていることの有難さ。今では少しずつですが、会計知識がゼロの人に向けた本も並ぶようになってきた印象はあります。しかし、会計の基礎的な内容を分かりやすく伝えているロシア語の本に出会ったことはまだありません。
そんな時にであった本”The Accounting Game Basic Accounting” - 男の子が夏休みにお手製のレモネードを作ってビジネスをする — この本をとても気に入っています。分かりやすい表現と可愛らしい図をもって、男の子のビジネスが徐々に成功し、それにつれてPLとBS、Cash Flowが発展してゆく様子をミニテストを交えながら教えてくれます。Profit and LossはMovieのよう。Balance sheetはカメラでその局面を切り取るスナップショットのようなもの - 的確な表現ですよね。
もう2年前くらいになるでしょうか、マネジャー向けにこの本をベースに6回のコースで始業時間前から勉強会を開いたことがありました。私自身、自らExcelでPL、BS、CFが連動するファイルを作成したことは、自分自身でもこの3つの財務諸表が連動して機能することのすばらしさを改めて実感する機会ともなりました。この作成したファイルを出席者に埋めてもらう。必要に応じて経理スタッフにロシア語で翻訳してもらう — 日本語で勉強するにしても難しい題材ですから、会計用語を英語で説明しそれをロシア人スタッフに理解してもらうことの難しさ — なかなか取っつきにくいテーマでありながらも一生懸命に、最後まで出席してくればロシア人スタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。まだ浅い会社の歴史を利用して、過去の経済危機のときの会社の状況も踏まえながらオリジナルのテストを作成して、皆でその問題を解いて勉強会を終了しました。
残念ながら、私なりに本のオリジナルの内容に貪欲に補足的なことを追加してしまい、もっとシンプルにすべきであった、基礎の基礎を理解するためには補足的なことは不要であった、と反省しました。今は、第二弾として — 目標はシンプル、シンプル、そしてシンプルに — 子供用の積み木ブロックを購入したので、これをもってPL、BS、CFの関係性を目で見える形で参加者と一緒に作り上げてゆく形のAccounting academyコースをただいま準備中です。
私は、この本をインターネット上で発見し、日本に一時帰国した際に購入しました。その後、この本のタイトルを検索してゆくと、PDFファイルで無料で提供しているサイトもありました。果たして著作権に引っかからないのでしょうか…。