カザフスタンの給与計算ロジック / Salary calculation of Kazakhstan

カザフスタンの給与計算ロジックは複雑で分かりづらいものがあります。私自身の経験と以下のWebsiteを参考にして計算方法を記載しました。

注)Месячный расчетный показатель(МРП)と呼ばれる(カザフスタンの法律で毎年決定される社会保険や罰金の計算基準となる基礎数値を言うようです)数値があり、2,525 tenge*25=63,125 tengeを下回る場合には、違う計算ロジックが加わりますが、ここではこの基準以上の給与支払いがある場合のケースを想定しています。63,125 tengeというと、この記事を書いている現時点のロシアのRUBで言えば約10,000 RUBと相当低い水準であり、このレベルを下回る仕事はどのようなものがあるのでしょうか…カザフスタンのことは詳しくないために想像ができませんが、私の業務上の経験ではこの基準より高い給与を提示していることがほとんどと思われます)

(参考 Источник): https://pro1c.kz/articles/prochee/minimalnyy-raschetnyy-pokazatel-mrp/

仮に、給与額面を200,000 tengeとします。

1)年金基金への納付額は額面の10%です。200,000 tenge*10% = 20,000 tenge

2)最低保証賃金(月給)は42,500 tenge (2019年) * 50 = 2,125,000 tenge とのルールがあり、この金額と1)の計算結果を比較します。として2,125,000 tengeよりも低ければ1)の計算金額が年金基金への納付額となります。それにしても、2,125,000 tenge (執筆時点のロシアルーブル換算でおよそ350,000 RUB。このような膨大な額を基準とした理由はなぜなのでしょうか、気になるところです。)

3)次に個人の所得税を計算します。カザフスタンの所得税額は10%です。この計算式にひと手間加わっています。計算式:(給与額面ー1)の計算結果ー最低保証賃金42,500 tenge)* 10% = 13,750 tenge となります。つまり額面から年金基金への納付額を差引き、さらに最低保証賃金も控除したあとの残額に10%を掛け合わせた結果が所得税です。

4)従業員の手取り額は、200,000 – 20,000 – 13,750 = 166,250 tenge となります。

ロシアでは個人の源泉所得税は一律13%。年金基金への納付額の計算率は22%、そして、これは雇用主に納付義務があります。カザフスタンのスタッフと仕事をする時に、個人の源泉所得税を確認したところ「10%」です、との答え。へー、そうなんだ、ロシアよりもさらに低いんだな、と感じたものですが、よくよく調べてみると、年金の納付額が個人の所得から徴収されるとのこと。これは全く知りませんでした。私は税務の専門家ではありませんし、税務は率直に語るとあまり得意でもありません。それにしても、各国で年金、社会保険料(今回の記事ではカザフスタンの社会保険料計算については取り上げていません)の考え方に異なったアプローチがあること、徴収先を個人からとするのか雇用主からとするのか。非常に面白いです。その背景を調べれば、何かしらその国の社会保険のあり方のスタンスが分かるはず。そこまで調べることはできていませんが、カザフスタンの給与計算ロジックを調べる中でとてもよい勉強をすることができました。

なお、この記事の内容に誤りがあることが分かった場合には訂正いたします。また、この記事を元に読者が判断をし、その結果何らかの被害を及ぼした場合であっても、著者は責任を持てませんので、その点はご理解いただけますようよろしくお願いいたします。

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ロシアのモスクワにある日系企業の管理部門にて長く勤務した後、現在は日本で働く会社員です。モスクワでロシア人と一緒に激動の日々を過ごした中で当時悩み、もがいていた管理業務の情報、体験談を少しでも多くの方々と共有したい、との思いがきっかけとなりブログを始めました。今はロシア、ウクライナの友人たちと連絡を取りながらロシア語の勉強を続け、ただただ平和な世界が来ることを願う日々です。

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