モスクワで仕事をしていて、限られた交流関係、見分の中ですが駐在員として成功する人、成功しない人、その違いは何だろう?と考えることがあります。
成功の定義は様々です。海外の現地法人に来て、数年の中で現地のロシア人スタッフとの関係は浅いままに終わり、ロシア人から見れば「そういえばこういった日本人がいたなぁ…」という程度の印象しか残らずとも、売上の実績を確実に上げて本社にとっての成功、ということもあります。ここでは現地ロシア人スタッフとの仕事上のやり取りに関して、ロシア人スタッフにとっても自分自身にとっても人間として共に成長できること、これを成功の定義としています。
そして、結局それはどこで、どんな仕事をしていようと要素は同じ、ということなんだと思います。
今日は一つだけですが、
言いたいことをすぐに言い返さないこと。まずは状況理解のために時間を取り冷静になること。そして、いかに自分の口、行動をぐっとこらえることができるか
これは重要な要素の一つだと経験から言えます。理不尽なことがたくさんあります。この前話しあって合意したはずなのに、数日経って会話したら全く真逆のことを言っているように思えることもあります。「そんなこと聞いていません。」と言われることもあります。
本当にイラっとします。頭に血が一気に上ることもあります。しかし、後で状況を整理すると、確かに自分の理解と相手の理解の仕方にずれがあってもおかしくない、そんな会話をしていたことが分かるケースが意外と多くあります。なるほど、確かに相手が「そんなこと聞いていません」ということも分かるな…と。
同じ日本人同士で会話していても誤解していることがありますし、何を言っているのか一度聞いただけでは理解できないこともありますよね。であれば、ロシア人と英語で会話していればなおさらお互いの理解の内容にずれが生じてしまうこと、それをよく理解できるようになりました。
何で約束した時間に会議室に来ないのか!と10分以上待って本人を少々苛立ちを感じつつ探しにゆくと、席にいて別の仕事をしています。会議招集をAcceptしていたのになぜこないのか?と問いただすと、「部下の女の子から会議の時間をずらした、と聞いていたのでてっきり会議は延期になったものだと思っていました」と。いや、そんなこと言っていないよ、と思いきや、確かに部下の女の子が「その会議の時間は別の要件があって難しい」と言っていたことを思い出します。その彼女と私が探していた部下が話をしているうちに、どうやら私の会議は延期になったようだ、という結論になってしまっていた…。
私も誰を怒ってよいのか分からず、思わず苦笑してしまいました。私自身が別の会議などで席を不在にすることも多く本人たちが会議室に来ることを待っていたのですが、会議の時間に彼らの席に向かい、一言声をかければよい話です。
こんなちょっとしたことですが、言いたいことを我慢すること。状況を整理するために冷静になること。怒りと共に発してしまった言葉とそのマイナスの印象、それをスタッフの心から拭い去ることはそう簡単ではありません。唇を制するためには、それだけ自制心がなければならない。自制心を持つためには人間として大きな器をもっていないといけない。 高校生の頃、修学旅行ででかけた沖縄旅行で、約束したルールを守れなかった我々生徒たちを臨時の集会に集められ、そこで熱く一人の教師が「お前らの器はこれっぽちなのか?そんなことないだろ?人間として大きな器を持てよな!」と言われたことを、こうして書いていて思い起こしました。