この冬のシーズン、ie business schoolというスペイン発のビジネススクールモスクワ校が主催する無料のセミナー“IE Insider Day – Moscow”があったので出かけてきました。購読しているロシアビジネス紙の広告メールを見て、おっ、こんなのがあるんだ、面白そう、行ってみようと思い立ち申し込みを完了。ieがInternet Explorerのことと完全に間違った認識でもって訪れたのは赤の広場のすぐ横にあるビルオフィスの一角。一体m2単価どれだけの金額を払っているのだろう…というのが最初に頭に思い浮かんだ言葉。
後で知ったのは、このセミナーは実質学校の生徒集めのための広報活動が主な目的であることと、この学校は世界でもTop10にランキングするような大変著名なビジネススクールであること。(参考URL https://www.ie.edu/business-school/)
集まっていたのは50人くらいだっただろうか、中には小学生の女の子から中学・高校生くらいの男の子までも親と一緒に。開始前から軽食と飲み物が用意されていてそれまで時間を過ごした後、部屋に案内されてセミナーが始まった。
講師の方はアメリカから来ていたGoogleに勤務する、このビジネススクール卒業生。講師がアメリカ人ということもあってか、質疑応答も含めてすべて英語で行われた。
今回参加したテーマは“Harnessing the power of Big Data”
自分の書いたメモの字があまりにも汚すぎて判読不能なのが残念なのだが、
・今Online上にあるデータの90%はここ2年の間に作られたデータ
・Big dataの80%ほどは体系立ててきちんと分析されていない
(この情報の正確性への責任は負いかねますのでご了承ください)といった導入から始まり、なぜこれからの世の中Big dataが重要であるのか、それをどのように活用してゆけるのか、具体的に彼女が学生時代に作ったというオンライン上で利用できるシステムのモデルを見せていただいた。内容自体はとても引き込まれるもので参加してよかったと素直に思う。
一番面白かったのはここからで、「さて、それではなぜ私たちのビジネススクールに留学するのが良いことかぜひ説明させてください、さあ、卒業生の皆さん前に来てください!」と司会の女性が元気に後ろに陣取っていたスクールを卒業してロシアのビジネス界で活躍されている元生徒たちを紹介。
ここから第二部が始まり。
ロシア第一位のSberbankでマーケティング部門で活躍しているという方、その他の方は具体的な会社名を聞かなかったがいずれもIT関連の専門を生かして活躍されているようだ。留学は10か月ほどスペインに行き勉強するようで、皆さんはどれだけ学校の環境がよいか滔々と語っていた。学校の紹介Movieを観たけれど実際に本当に素晴らしい環境。時間がふんだんにあった学生時代にもっと勉強しておけばよかった…と何度思ったことか、そして今は勉強する意欲が非常に高いのに、どっぷりと毎日を勉強につかるための時間がないというギャップ。人によってロシアに戻る人、どこか別の土地で仕事を見つけてその土地に残る人もいるらしい。ただ想像するに、外国企業は外国人(この場合はロシア人)を雇うために自国の人間ではなく、VISA、雇用許可などの手間をかけてでもロシア人を雇うわけで、そこまでしてでも自分を雇う価値を企業に認めてもらうことは困難な道であるのは確かだろう。
この部屋を出ると、セミナー前に滞在していた空間に戻り懇親会の開始。再び軽食とコーヒーなどをいただきながら卒業生やスクールスタッフとの交流が始まった。一人の参加者は、もう何度か参加しているようであった。少し経緯を聞いてみると、元IT業界にシステムエンジニアとして勤務。環境を変えたかったのだろうか、会社を辞めてしばらく海外旅行に出たようだ。仕事はまた見つかるものと考えていたら、どうにも見つからず数年無職という。「この学校のセミナーテーマは面白いので何度も来ているんだ」と言って食事や飲み物をがっつりといただいている様子。見ていると周りとのコミュニケーションもなく、う~ん、タダメシを食べに来ているだけなのでは、と思ってしまった。ほぼ当たりでしょう。このビジネススクールは毎週のようにこういったセミナーを開いているらしく、ロシアにとどまらずグルジアやアゼルバイジャン、カザフスタンといった旧CIS国家でも。そのすべては生徒集めのための広報宣伝活動。そしてその中にはこういった人も混じっているんだろうな…。
別の参加者は、なんと同じビジネスセンターに入っている別の企業に勤めるスタッフでこれは驚いた。「いつもコーヒー飲むところにお昼の時間帯にはいるだろうから、またビジネスセンターで会おうや」なんて言われて笑顔で別れた。
留学するには金銭的にそれなりに余裕のある家庭しか許されないのだろうか、身なりだけでは全く判断ができないので、金銭的なゆとりについては分からないが、少なくとも教育熱心な親の方の様子や若い子たちが自らの将来を考えてスタッフの方にあらゆる質問を浴びせている熱心な様子、週末にそんな世界をのぞくことができて、有意義な朝の時間を過ごすことができました。