基本ロシア語文法 発音と文字(2)

参照している参考書:「基本ロシア語文法」著:佐藤純一氏、発行:東京・昇龍堂出版株式会社

(この記事ではロシア語単語のアクセントはシンプルにアクセントを置く部分のすぐ後ろに「’」を置いています。)

母音でアクセントが無い時の発音

母音に該当する下記の文字にアクセントがないとき、発音が変わるので要注意。

“о”の場合:

молоко’ (マラコー、意味:牛乳)普通、母音のоは「オ」となりますが、この単語のように複数のоが使われていると、アクセントがないоは、短い「ア」に近い響きに。他方、ウクライナ語では、まったく同じ綴りでロシア語と同じ意味を持っているこの単語の発音は、モロコー、とすべてのоは「オ」の発音になるからこれまた面白い。

次に”я”。

例えば、язы’к(意味:言葉、舌)やяпо’нский(意味:日本の)。ちょっぴりロシア語に触れた方に言われることがあります、「英語のRを反対にした文字があるよね」、と。昔初めてロシア語を見たときに、なんだかカッコよいな、と思った文字の一つでした。通常は「ヤー」と読む”я”ですが、この単語ではяにアクセントが無い。そんな時には短い「イ」の発音に。язы’к(イズィク), япо’нский(インスキィ)こんな響き。

終わりに“е”

なんとなくですが、本来の音である「エ」が消えて、「イ」になる感じ。Какая беда!(カヤ ビダー!、意味:なんてこった!)

子音の同化

б, д, к, в, з, жは、単語の語末にあるときと、無声子音のすぐ前にある時には音が無くなる、という現象。

пе’рвый эта’ж(エターシュ、意味:1階) 、За’пад(ザーパトゥ、意味:西)ザーパ”ドゥ”ではなくてザーパ”トゥ”。

из ко’мнаты(イス コームナティ、意味:部屋の中から) これは意識していなかった。改めて考えてみると、深く考えずに発音してしまっていたなぁと。逆に音の有声化になることもある。т, к, с、この3つは有声子音の直前にあるときには有声子音として発音する。例えば、

я поеду’ к бра’ту в воскресе’нье.(ヤー パエドゥ グ ブラートゥ ヴ ヴァスクレセーニィエ、意味:私は日曜日に兄弟のところへ行きます)こんな時には「ク」 ブラートゥではなくて「グ」になってしまう。

要するに、無声子音の前にくれば、無声化。有声子音の前にくれば有声化の影響を受けるということだろう、と。もしかすると、理論よりも聞いて発音していればきっと口が勝手に覚えてくれるに違いない。無理な論理でそうなっているのではなく、人間が発音しやすいような形に発音がなされ、それを規則として言語化しただけなのだろうから。どうしても感覚に頼ってしまう私の個人的な見解ですが、規則を覚えることも大切な一方で、音の響きをたくさん聞き実際に発声することは同じくらい、いやそれ以上に大切なんだと思います。好きな音楽をたくさん聴いて自然と覚えてゆくのと同じように、その言語が奏でる音楽を耳から取り入れて体で覚えてゆく、そんなプロセスが上達に役立つのだろうな、と感じています。

最後に、例外的な綴りとその発音について

特殊なのは例外なのだから特殊であって、というからにはあまり数も多くないはず。と思えば、その時その時、その単語に出会ったときに覚える、ということでよろしいのだろう、きっと。сегодня(セヴォードゥニャ意味:今日 英語の”g”に相当する”г”が「ヴォ」と発音する例外)、Как научи’ться бы’стро счи’тать в уме’?(下線部分のсчは、「スチ」ではなくて「シ」という響きに。意味:頭の中で素早く計算できるようになるにはどうすればよい?)коне’чно!(カネェシナ!意味:もちろん!) сче’т, пожа’луйста(シショートゥ パジャールスタ、意味:お勘定お願いします)といった言葉は頻繁に使うので、覚えていて損はない、嫌でも覚えてしまうので大丈夫そうです。

外国語を学習するにあたり、自分の好きなテーマについて学習している国の言葉で聞くことはきっと役に立つのかな、と思います。例えば、インテリアが好きな人はインテリアを説明するロシア語のYoutube番組。プログラミングを勉強している人はロシア語で説明されているプログラミングのYoutubeを、といった風に。細かい部分は分からないとしても、画像を見ているとなんとなく繰り返される言葉やフレーズのイメージが頭に入ってきますし、海外ではどんな嗜好なのかを知る機会ともなります。そして、大抵の場合、自分の好きなテーマはそれなりに知識を持ち合わせているので、あっ、これはもしかしてこのことを言っているのかな?と推測することも容易かもしれません。また、素敵な響きを持つフレーズを覚えることで、その文章の中に存在するロシア語文法の規則も併せて学んでしまうとか。

例えばこんなフレーズ。なんだか情景も思い浮かんできます。

Большое окно выходило на горы, в него лился тёплый солнечный свет. (大きな窓からは山々が一望できて、窓には暖かい日差しが降り注いでいました。)Диана Уинн Джонс, Дом с характером, 2008

時間が限られている中、いかにして自分の学習していること同士を繋げて効果的に勉強することができるか…とても重要な関心事です。

その他、役に立った有益な情報について
  • ロシア語にアクセント記号を表示する方法について役立つ情報が記載されていました。

https://expressrussian.com/russian-letters-with-accents/

  • アクセントを置く部分に「’」マークを挿入する。それが一番シンプルなのかもしれません。今回の記事でも採用した方法です。

https://russiangram.com/