いつも同じ席で競馬の新聞を読んでいる人。店員に「久しぶりね~、元気にしてた?」と嬉しそうに語るおばあちゃん。そこは街の中にあるファミリーレストラン。お互いに生活で辛いことや苦しいことがあったとしても、こうしてコミュニケーションをとることで笑顔になれる。お互いに元気に生きていることを確かめ合える。重要な場所だと思います。きっと、朝早くからから働いているお店の女性たちだって、職場を離れれば、きっと大変な問題を抱えながらも笑顔を振る舞っているのではないでしょうか。
つい最近訪れたとき、すぐ隣の席では、「(ご近所でのことか)朝から元気におはよう、と挨拶してくれる人がいるけれど、私にはそんなことはできない…」ととつとつとした女性二人の会話が聞こえてくる。それぞれの近況を語り合っているのでしょうか、すぐ近くに私がいることも気にせず、どんどん話が進み声もいくばくか大きくなっている様子。店員の女性はとても元気で、かつバランスが取れていて決してうるさくない接客で素晴らしい。こちらも元気をいただけました。浮浪者?!とは言わないけれど、ボロボロの服、ボサボサの髪の男性がいたり。とにかく色んな人が同じ空間に同居していました。
何もかもが電子化、オンライン化することで、会話する機会がどんどん無くなっているからこそ、機会がある時には人と会話することの大切さを感じます。だからこそ、デジタル化が進む世の中において、「すみません、どうしてもあと1円が見つからないんです(汗)」なんて言いながら現金を渡す時、そこに会話が生まれる現金での精算は貴重な価値を生み出すのではなかろうか、と思えてくることも。(といっても、現金だから会話が生まれるということもないのかな…。QR決済の世界をリードするPaypayの導入費用もゼロ円のようですし、デジタル時代の良さを取り入れて決済方法の多様化を整備することはお店側の使命でしょうか。)
興味深い記事が日経の記事に掲載されていました。これからは、デジタル化に乗り遅れてしまった人々をサポートできる体制であったり、人と人との繋がりを感じることができる人間関係が重要になってくるということだろうと思っています。
下記はこの記事で取り上げられていた企業のウェブサイト。
We all need a pal sometimes. That’s why Papa’s here.
Papa helps health plans and employers connect members and their families to real people for help with companionship, everyday tasks, transportation, and more. It’s vital human connection, right to the front door.
“papa”のウェブサイトにあるトップページのメッセージより
そういえば、最近、住んでいる建物内のロビーにいたところ、同じ建物に住む全く知らないご年配の女性から「あのね、ちょっと聞いていい~?」と声をかけられ。何かと思ったら、iphoneのロックの解除方法が分からないから教えてほしい、とのことでした。新しいiphoneを手にしていて、かかってきたLINEの電話にかけ直したいだが、画面がロックされているので電話もかけられず、今からタクシーで知人のところにでかけようと思っていたのだという。娘さんが来てくれた時にしっかりと携帯の設定を行い、メモを残していってくれだけど結局訳が分からなくなってしまったそうです。こういった問題は決して珍しいことではなく、これからもどこでも起こってゆく課題だと思われます。電話ケースの内ポケットを探っていると、娘さんが書き残していったというパスコードらしきものがあり、それを使って無事に解除。「きっとこれかもしれません。でも、個人情報なので他の人に知らせない方がよいのでは…。」と言ったものの「いいの、いいの。気にしないで進めて。」ということで操作して無事に解除。まったくの知らない人間を信頼していただいたことにも感謝ですが、最新技術から取り残されている人たちがいる(いや、むしろ日常で不必要な技術が多すぎる)。また、便利になったからこそ、違う不便を生み出している事実も目の当たりにすることになりました。
究極的には、人は食べ物があれば何とかゆくのであって、自然と食料調達ができるのであればお金は不要。「これ、うちの畑で取れたの。ぜひ食べてみて。」といって友人が差し入れてくれる野菜。人間って、もとはと言えば土のちりから作られた、ということであれば、どんなにIT技術が発展し、デジタルの世界に没入するとしてもそれを使っているユーザー(人間)は自然からできているモノ。結局自然に帰ってゆく。ウクライナの友人から連日届く動画やメッセージを見ていると、どれだけ友人同士がお互いの必要をケアして、その必要を助け合うことが大切なことか。それを身に染みて感じることができています。インフラが破壊されてしまったために厳しい冬となったウクライナ。その寒さを乗り切れるように、部屋で履けるフェルトでできた履物とそれに添えたちょっとしたメッセージカード。あるいはチョコレートやクッキー。そんなちょっとしたプレゼントがどれだけ人の身体を暖かくするだけでなくて、その人の心を温めてくれることか。生活の中で出会うちょっとした場面で一言でも二言でも、「ありがとう」「すごい」「よくやっているね」…そんな風に、相手を元気づけられるような言葉をかけられる人間でいれたら…と思います。