スタッフとの距離感。その測り具合の難しさ / Appropriate distance from Russian colleagues

モスクワ中心部のMetro stationでのライブ演奏。周りのみんなもパフォーマーと一緒に笑顔になって少し足元が踊っていました。夏は路上でのライブ演奏をよく見かけますがさすがに冬は誰もいません。公式に認められたパフォーマー達がこうして所定の場所で演奏をしているようです。


管理業務の責任を担う中で、ロシア人スタッフとの距離感の取り方の難しさをどうしても感じることがあります。管理として全体を束ねて働く以上、人に関する情報はいち早く入ってきます。残念だけどXXをクビにするしかない、そんな話も進行し裏で準備も必要です。残念ながらいつスタッフとの関係がどんな状況になるのかも分かりません。一方で、スタッフとの良好な関係を築きたい、あえて踏み込んでいえば、人間ですので相手から好かれていたい、という気持ちはあります。良好な関係を維持するために日頃できる努力を怠らない一方、いつでもどんな状況になっても冷静な判断を下せるように自分と相手との間にふさわしい距離を保っておくこと。日本人としてロシア人と働く管理業務スタッフは、このバランスにいつも配慮する必要があるだろう、と考えています。

すっかりロシア人スタッフに入れ込んでしまって(恋愛感情ではなくあくまで業務上の関係です)、日本人駐在員としての仕事上の遂行に影響を与えかねない影響がでてしまった他社のケースを聞いたことがあります。どんなに部下に好かれたいと思っても、どんなに可愛らしいロシア人スタッフに丸め込まれそうになっても、やはりいつでも正しい判断を下せるように自分の立場を意識しておくこと、そのためにスタッフとの距離感をいつも計測することは欠かせないでしょう。

部下の誕生日

スタッフの誕生日※1はロシアでも重要なイベントです。

※1 ロシア会社の多くが同様の慣習を持つと思いますが、誕生日のスタッフへの周りからのお祝いと祝ってもらったスタッフ自身からみんなへの感謝としてケーキやピザなどを振舞います。スタッフ当人にとっては重要な日です。

同じ部署の親しい間柄の同僚や上司からお祝いの言葉と共にプレゼントを渡します。「私たちのとっても情熱的で、可愛くて、仕事もできて、私たちの太陽のような…(すごい形容の言葉がすらすらと出てくる出てくる)XXX(名前)、あなたと一緒に働けて、毎日あなたの顔が見れてうれしい!誕生日おめでとう!」のようなイメージでお祝いをスタッフがしています。自分の部下のスタッフの誕生日になると、XXXさん、ぜひ一言お願いします、そしてプレゼントを渡してください、と言われることもあります。私はそのような場は一切避けています。スタッフへの感謝の気持ちは山ほどありますが、それを全員の前で言う必要があるのかな、と。後で「XXXさんはあの時そんな言葉を発していたけれど、その数か月後には彼女をクビにした、なんて奴なんだ」なんて言われる可能性があるかもしれません。また、「XXXさんは何でこの人の時にはお祝いのコメントをしていて、別のスタッフの時には会議にこもってお祝いをしないのだ、不公平ではないか」なんて見た事象だけで背景を考えずに勝手な判断を下すスタッフもいるかもしれません。

それであれば自分なりに線引きをして、自分としてすべきこと、しないことをルール化することは大切なんだと考えています。また、人への感謝の伝え方は千差万別。そのスタッフにその都度心から伝えること、旅行に行った時にはスタッフを意識して喜んでもらえそうなお土産をかってみたり、時に仕事中にお菓子を振舞ってあげることなど、そんな場面ごとの気持ちで伝える言葉のほうがずっと大切なのでは、という信条です。

でも考えすぎかもしれませんね。何が正解か分かりません。少なくともこれが自分なりに見出したスタッフとの距離感を保つ方法の一例となっています。

誕生日にまつわる一生忘れない印象的な出来事

誕生日といえば一生忘れることがないであろう経験を時に思い出します。試用期間中※2であったとある女性がいました。

※2 ロシアでは新しい社員を雇う場合には試用期間は3か月(会社責任者、チーフアカウンタントと呼ばれる経理・税務責任者は6か月)となっています。

試用期間の最終日より前に決断をくだし、彼女の採用を見送ることに決定しました。人事スタッフにもその情報を伝えて書類手続きの準備を進めるように指示していたのですが、彼女に試用の終了と結果を伝えるまさにその日が彼女の誕生日でした。

みんなから祝福され、当人もケーキを買ってきて、「みんなありがとう!一緒に働けて嬉しいです、これからもよろしく!ケーキを取ってください」とオフィスのみんなに連絡しているところです。そんな様子を見た時にそれを何でもないかのように眺めている人事スタッフをみて思わず「彼女の試用結果を知っていて彼女が今していることが彼女にとって悲惨なことではないと思わないのか?なんで配慮できなかったの?」と問いただしました。

人事としてすでに彼女の評価結果を知っていて、かつ会社の慣習を知っていれば、この彼女の行動がいかに本人にとって辛いことになるか想像ができて当然ではないだろうか、なぜそこまで配慮できなかったのだろうと悔しくて仕方がなかった、その気持ちは忘れることができません。当時の私はそこまで配慮できるキャパシティもなく、自分自身にも責めるべきところがあったのは認めざるをえません。彼女に残念な結果を伝えたときの悲しい様子、後日彼女に必要な書類を渡す必要があり彼女がオフィスを訪れたときの “XXX sanWhy you didn’t take me ? My work had no mistake, it should be ok. I don’t understand your decision. Now I don’t have job and very hard to live in Moscow with my mother. Why?”という言葉、これも鮮明に覚えています。(会社は慈善団体ではないため能力が我々の要求に適わないスタッフを養えるほどの余裕はなく、その点は仕方のないことですが、自分の試用期間中の彼女へのフィードバックの方法に不足があったことは事実です。この点は別のテーマで書きたいと考えています)

人事として働くのであれば、先を読み、相手のことを配慮して行動してあげるべきではないでしょうか…。私の問いにも「仕方のないことだ」という返答をしてきた、そんな人事スタッフに対する残念さとその人間性の虚しさがその日から自分の心に積もりだしました。

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ロシアのモスクワにある日系企業の管理部門に7年間勤務した後、現在は日本で働く会社員です。モスクワでロシア人と一緒に日々仕事をする中で、私たち日本人が経験するアドミ業務についての情報、課題、考えなどを少しでも多くの方々と共有したい、アドバイスをいただければ、と思いブログをはじめました。 経理、労働法や人事制度の仕組み作り、ITスキルを応用した仕事スキル向上、EAC認証などの幅広い管理課題に取り組んでいます。 とりわけチームビルディング、部下とのコミュニケーション、モチベーションアップ、という課題は世界共通だと認識しています。そんな話題も中心テーマの一つです。

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