1つの事実に対する全く違う見方ー長時間労働 / long working hours – different viewpoint

休日である今日、土曜日、日本時間の月曜日朝必着のレポート作成が昨日までに終わらなかったのを気にしてか、Chief Accountantと経理スタッフの2人が自主的に出勤してきてレポートに取り組んでくれました。あとはこちらでやるので問題ない、と昨日言っておいたのだけど、昨晩メールがきて「明日出社して完成させるからまかせて」と。貴重な週末の時間、かつオフィスまで遠いにも関わらず時間をかけてわざわざ来てくれるのを見ると心が温かくなる。でも…あとできっちり休日出勤の手当を請求されるのだろうか…と心配にもなってきた。

(写真)今朝、マイナス十数度の中寒そうにじっとしている鳩(голубь)の一群。写真を撮ろうと立ち止まると、エサをもらえると思ってかすごい勢いでこちらに走りこんできました。


異なる文化において、一つの事実を全く異なる見方で評価をされることを実体験できること。これは海外で勤務することで得られる収穫の一つだと感じています。

例えば、“長時間勤務は良いことか、悪いことか。”

これは労働内容で判断すべきことなのでこの文章だけを見ても判断はできませんが、日本では長時間働いているほどプラスに見られる傾向があるように思われます。

日本で勤務していた時には、その日の仕事が終わっても周りの先輩、上司がもくもくと仕事をしているのを見て退社するのを気兼ねしていたことをよく覚えています。今日やらなくてもよいのにそれを始めてみたり、ある程度時間が経つのを待ってみたり。今思い出すと笑ってしまいますが、当時はそれが普通になっていました。どうしても同調意識が無意識にでも働いてしまうからなのでしょうか。

朝早くから出社していたので、そうすると遅く残るほどに退社時間が遅くなり、残業対象時間も増えます。しかしながらその通りに残業時間を申請することもなく、申請する退社時間は実際の退社時間よりもだいぶ早くし、残業時間もつけずにいました。遊んでいたわけではないものの、かといって残業時間をつけるには抵抗がある、そんなことが標準となっていた気がします。今となっては自分のポリシーに沿って日々の退社時間をコントロールできるようになりました。それでも、周りに配慮をする、というのは日本で生まれ育ち、身についた美徳だと認識しています。これは大切にしたい点です。

さて、ロシア人スタッフに言わせると、長時間労働=能力が低い人、という認識があるようです。私たちの会社のロシア人スタッフは我々日本人を慕ってくれていて、逆に憐れんでくれていますが…。長時間の会議、細かい資料作り、やたらと多い資料の数、レポートの数、それらの多くが理解できないようです。そしてそれらが長時間労働の元凶とも言えるでしょうか。率直に言わせてもらいますと、長いことロシアで働く中で私にも理解できません。レポートの数を増やし、情報収集をすることが目的化していないでしょうか。大切なのは不確実な状況での意思判断、決断力、行動ではないでしょうか。

長時間労働を改善するにあたっては、自ら改善できることと、自分の力が及ばない2つに分けられますが、後者についてはどうしようもありません。定期的に自分の意見を本社にフィードバックしていますが、それを変えられないことについて考え込んでも意味の無いことであり、前者に集中するのみです。

 

長時間労働解決の第一歩

自分自身の心の中にオフィスを少しでも早く離れるべき理由を持つこと。この動機づけを持つことが長時間労働の第一歩。それが私の結論です。なぜ愛する家族が自分を待っているのにいつまでも仕事をしなくてはいけないのか、自分の趣味にかける時間が欲しいのになぜいつまでも職場に留まっているのか、美味しい晩御飯を食べたいのになぜ2122時までこうして菓子パンをかじって延々と作業を続けなければいけないのか…まず、自分の中に動機づけを持つこと。これがなければ長時間労働という問題提起自体が問題ではなくなり、長時間労働自体が正しいこととなるのではないでしょうか。仕事を効率的にこなす方法、業務内容の見直しなどのテクニカルな部分はその次です。まずは一番大切なのはなぜ長時間働く(オフィスに留まる)ことを改善すべきなのか、ということをよく理解することからなんだと考えています。

仕事が趣味、生きがい、という方の気持ちも分かるつもりです。仕事で得られる達成感、成功、周りから得られる評価に代わるものはなかなかありません。問題を解決してゆく過程をとてもエンジョイしています。それはある意味中毒になります。自分自身、かつては仕事が絶対。そう思っていましたが、ロシアに来てから考え方が変わりました。

仕事は決してオフィスに座っている時にしかできないことではなく、むしろ、違うことをしているとき、例えば友人との会話から、ただ無駄に思えるような時間を街や綺麗な公園を散歩したり、モスクワ川を眺めたりしているとき、ジムで出会う常連の仲間との会話などから得られるヒントが現状を打開するきっかけになることが何度もありました。

マネジャーという役割は目の前のことだけではなく、将来に向けた布石を打つこと。そのために視野を広げてゆくことが大切です。オフィスに座って作業に集中するのは部下の仕事。自分は彼らのことをケアする責任がある中で、会社の先を見て行動することへの責任も担っている。それを考えると、毎日家と職場の行き来を繰り返しているだけの人がマネジャーなのかというと疑問です。

ノウハウ本でも言われていることですが、仕事以外の教養を持つことの大切さ。人間として成長してゆくためには、仕事の成功だけでは不十分だ、ということを実感させられています。今のロシアで流行っていること、世界の動き、街の人々の様子、ホットなトピック…、職場に座っているだけではなかなか手に入りません。スタッフとの雑談、週末にロシア人の友人との団欒、そういった時間がとても貴重になっています。

そう考えると、これらのことはロシアであろうと他国、日本であろうと真実であって、つまりどの国で働いていようと大きな違いはないのだ、原理原則は同じなんですね。この点をすっと理解できた時、肩の荷が軽くなった気がしたのを覚えています。ロシアは複雑、理解が難しい、という点は正しくもあり間違いでもあるような気がします。一つずつかみ砕いてゆくと決して日本のそれと大きな違いはありません。

残念ながら諸事情により定期的に週末もオフィスで残務を行う必要もあるのですが、長時間労働自体はやはり悪だという信条を持っています。慢性的に長時間労働を行う必要がある場合には、仮にその人自身に能力があるとしても、仕事の任せ方が悪かったり、ロシア人スタッフを信じていないがゆえに自分で全てをみないと気が済まない、職務を部下に任せることが下手である自らの責任なのかもしれません。また、そういった人材が育っていないがゆえに駐在員が長時間勤務せざるをえないのかもしれません。いずれにしても何らかの問題があるのは確かです。

長時間労働の理由が自分自身の能力の問題である場合、それは自分なりに努力するしか方法がないでしょうね…。このように書いている自分自身、今でも毎日溜息をつきながら努力中です…。上記の強い動機があるからこそ、努力すべきテクニカルな部分に注目するようになります。メールの短縮入力機能(日本語・英語共に)、タスク管理手法の改善(例えば、エクセルのマクロ機能を勉強して、それを活用して時間短縮、効率性アップを試みる)、部下とのコミュニケーション方法の改善(One on one meetingは絶対に欠かせません、日頃から感謝を示すことも大切です。)、IT関係の情報を入手すること(今の世の中ITの知識無しにビジネス界を生きることは不可能だと知るようになりました)、資料作成の際には今後も使用できる形で整備し、会社制度の中に組み込んでゆくことを意識することで今の作業が2にも3にもなるように意識すること。などなど、難しいことも事実あるのですが、多くの失敗を通じ、今も繰り返す失敗を通じて学んでいるところです。

年をとればとるほどに学習にかける時間が一層多くなっているかもしれません…。でもそんな人生が楽しいです。

Author: Author

ロシアのモスクワにある日系企業の管理部門に7年間勤務した後、現在は日本で働く会社員です。モスクワでロシア人と一緒に日々仕事をする中で、私たち日本人が経験するアドミ業務についての情報、課題、考えなどを少しでも多くの方々と共有したい、アドバイスをいただければ、と思いブログをはじめました。 経理、労働法や人事制度の仕組み作り、ITスキルを応用した仕事スキル向上、EAC認証などの幅広い管理課題に取り組んでいます。 とりわけチームビルディング、部下とのコミュニケーション、モチベーションアップ、という課題は世界共通だと認識しています。そんな話題も中心テーマの一つです。

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