1つの事実に対する全く違う見方ー長時間労働 / long working hours – different viewpoint

休日である今日、土曜日、日本時間の月曜日朝必着のレポート作成が昨日までに終わらなかったのを気にしてか、Chief Accountantと経理スタッフの2人が自主的に出勤してきてレポートに取り組んでくれました。あとはこちらでやるので問題ない、と昨日言っておいたのだけど、昨晩メールがきて「明日出社して完成させるからまかせて」と。貴重な週末の時間、かつオフィスまで遠いにも関わらず時間をかけてわざわざ来てくれるのを見ると心が温かくなる。でも…あとできっちり休日出勤の手当を請求されるのだろうか…と心配にもなってきた。

(写真)今朝、マイナス十数度の中寒そうにじっとしている鳩(голубь)の一群。写真を撮ろうと立ち止まると、エサをもらえると思ってかすごい勢いでこちらに走りこんできました。


異なる文化において、一つの事実を全く異なる見方で評価をされることを実体験できること。これは海外で勤務することで得られる収穫の一つだと感じています。

例えば、“長時間勤務は良いことか、悪いことか。”

これは労働内容で判断すべきことなのでこの文章だけを見ても判断はできませんが、日本では長時間働いているほどプラスに見られる傾向があるように思われます。

日本で勤務していた時には、その日の仕事が終わっても周りの先輩、上司がもくもくと仕事をしているのを見て退社するのを気兼ねしていたことをよく覚えています。今日やらなくてもよいのにそれを始めてみたり、ある程度時間が経つのを待ってみたり。今思い出すと笑ってしまいますが、当時はそれが普通になっていました。どうしても同調意識が無意識にでも働いてしまうからなのでしょうか。

朝早くから出社していたので、そうすると遅く残るほどに退社時間が遅くなり、残業対象時間も増えます。しかしながらその通りに残業時間を申請することもなく、申請する退社時間は実際の退社時間よりもだいぶ早くし、残業時間もつけずにいました。遊んでいたわけではないものの、かといって残業時間をつけるには抵抗がある、そんなことが標準となっていた気がします。今となっては自分のポリシーに沿って日々の退社時間をコントロールできるようになりました。それでも、周りに配慮をする、というのは日本で生まれ育ち、身についた美徳だと認識しています。これは大切にしたい点です。

さて、ロシア人スタッフに言わせると、長時間労働=能力が低い人、という認識があるようです。私たちの会社のロシア人スタッフは我々日本人を慕ってくれていて、逆に憐れんでくれていますが…。長時間の会議、細かい資料作り、やたらと多い資料の数、レポートの数、それらの多くが理解できないようです。そしてそれらが長時間労働の元凶とも言えるでしょうか。率直に言わせてもらいますと、長いことロシアで働く中で私にも理解できません。レポートの数を増やし、情報収集をすることが目的化していないでしょうか。大切なのは不確実な状況での意思判断、決断力、行動ではないでしょうか。

長時間労働を改善するにあたっては、自ら改善できることと、自分の力が及ばない2つに分けられますが、後者についてはどうしようもありません。定期的に自分の意見を本社にフィードバックしていますが、それを変えられないことについて考え込んでも意味の無いことであり、前者に集中するのみです。

 

長時間労働解決の第一歩

自分自身の心の中にオフィスを少しでも早く離れるべき理由を持つこと。この動機づけを持つことが長時間労働の第一歩。それが私の結論です。なぜ愛する家族が自分を待っているのにいつまでも仕事をしなくてはいけないのか、自分の趣味にかける時間が欲しいのになぜいつまでも職場に留まっているのか、美味しい晩御飯を食べたいのになぜ2122時までこうして菓子パンをかじって延々と作業を続けなければいけないのか…まず、自分の中に動機づけを持つこと。これがなければ長時間労働という問題提起自体が問題ではなくなり、長時間労働自体が正しいこととなるのではないでしょうか。仕事を効率的にこなす方法、業務内容の見直しなどのテクニカルな部分はその次です。まずは一番大切なのはなぜ長時間働く(オフィスに留まる)ことを改善すべきなのか、ということをよく理解することからなんだと考えています。

仕事が趣味、生きがい、という方の気持ちも分かるつもりです。仕事で得られる達成感、成功、周りから得られる評価に代わるものはなかなかありません。問題を解決してゆく過程をとてもエンジョイしています。それはある意味中毒になります。自分自身、かつては仕事が絶対。そう思っていましたが、ロシアに来てから考え方が変わりました。

仕事は決してオフィスに座っている時にしかできないことではなく、むしろ、違うことをしているとき、例えば友人との会話から、ただ無駄に思えるような時間を街や綺麗な公園を散歩したり、モスクワ川を眺めたりしているとき、ジムで出会う常連の仲間との会話などから得られるヒントが現状を打開するきっかけになることが何度もありました。

マネジャーという役割は目の前のことだけではなく、将来に向けた布石を打つこと。そのために視野を広げてゆくことが大切です。オフィスに座って作業に集中するのは部下の仕事。自分は彼らのことをケアする責任がある中で、会社の先を見て行動することへの責任も担っている。それを考えると、毎日家と職場の行き来を繰り返しているだけの人がマネジャーなのかというと疑問です。

ノウハウ本でも言われていることですが、仕事以外の教養を持つことの大切さ。人間として成長してゆくためには、仕事の成功だけでは不十分だ、ということを実感させられています。今のロシアで流行っていること、世界の動き、街の人々の様子、ホットなトピック…、職場に座っているだけではなかなか手に入りません。スタッフとの雑談、週末にロシア人の友人との団欒、そういった時間がとても貴重になっています。

そう考えると、これらのことはロシアであろうと他国、日本であろうと真実であって、つまりどの国で働いていようと大きな違いはないのだ、原理原則は同じなんですね。この点をすっと理解できた時、肩の荷が軽くなった気がしたのを覚えています。ロシアは複雑、理解が難しい、という点は正しくもあり間違いでもあるような気がします。一つずつかみ砕いてゆくと決して日本のそれと大きな違いはありません。

残念ながら諸事情により定期的に週末もオフィスで残務を行う必要もあるのですが、長時間労働自体はやはり悪だという信条を持っています。慢性的に長時間労働を行う必要がある場合には、仮にその人自身に能力があるとしても、仕事の任せ方が悪かったり、ロシア人スタッフを信じていないがゆえに自分で全てをみないと気が済まない、職務を部下に任せることが下手である自らの責任なのかもしれません。また、そういった人材が育っていないがゆえに駐在員が長時間勤務せざるをえないのかもしれません。いずれにしても何らかの問題があるのは確かです。

長時間労働の理由が自分自身の能力の問題である場合、それは自分なりに努力するしか方法がないでしょうね…。このように書いている自分自身、今でも毎日溜息をつきながら努力中です…。上記の強い動機があるからこそ、努力すべきテクニカルな部分に注目するようになります。メールの短縮入力機能(日本語・英語共に)、タスク管理手法の改善(例えば、エクセルのマクロ機能を勉強して、それを活用して時間短縮、効率性アップを試みる)、部下とのコミュニケーション方法の改善(One on one meetingは絶対に欠かせません、日頃から感謝を示すことも大切です。)、IT関係の情報を入手すること(今の世の中ITの知識無しにビジネス界を生きることは不可能だと知るようになりました)、資料作成の際には今後も使用できる形で整備し、会社制度の中に組み込んでゆくことを意識することで今の作業が2にも3にもなるように意識すること。などなど、難しいことも事実あるのですが、多くの失敗を通じ、今も繰り返す失敗を通じて学んでいるところです。

年をとればとるほどに学習にかける時間が一層多くなっているかもしれません…。でもそんな人生が楽しいです。

駐在員の役割、マネジャーの役割 /The role of Stationed staff in Russia, the role of Manager

昨年11月に赤の広場で撮影したSnapshot。この天気とこの独特な輝き。圧倒的な存在感を見せつけています。


ロシアに赴任して、小さい会社ながら初めて部下を持って失敗を重ねながらここまで働いてきた中で言えることは、”信頼ができて、仕事をきちんと回してくれる現地スタッフマネジャーを持つことがどれだけ重要か”、ということです。

当たり前と言われてしまえばそうなのですが、実際に毎日の業務に従事する中で自分の常識観念を覆されてきた中でこのことの大切さを肌感覚で、ずっしりと受け止めています。

人によって考えるマネジャーという仕事への捉え方は人により随分と異なるようです。

複雑に思えるロシアの給与計算ロジックを把握していないローカルスタッフ(細かい計算はアウトソース会社に依頼しているのだから、正しく計算した結果を提出するのが彼らの仕事で自分たちの仕事ではない、らしい)。部下は大人なのだから、彼らがやると言ったことは彼らが提出するのを待つべきだ(部下がやるといったことがすべてその通りに出てきたらマネジャーは要らないでしょう…なぜ定期的なOneon -One meetingが重要なのか分かってください)。問題があれば部下はいつでも私のところに来ればよい、いつでも何かあれば聞いてね、と言っているのだから(いやいや、待っていても部下全員がすべて起こっている問題をオープンにあなたのところにオープンに話にきてくれると思っていますか?悪い知らせほど上にあがってくるのに時間がかかかることは事実でしょう)。

上記のようなコメントを聞くと、正直がっかりしてしまいます、本当に悲しいです。そんな中、結論として私がたどり着いた解決方法は二つのみです。良い給与を出してでもそれだけの能力がある人を採用すること。あるいは、現在の仲間への不満を感じつつも彼らの(出来る範囲での)成長にかけること。極論としてこれ以外にはないのではないでしょうか?

どちらを選択するか?現実的にどうかというと、大概の企業は後者を選択するしかないのではないでしょうか。何よりも自分と一緒に働いてくれているロシア人スタッフに悪い人がいないこと、彼らは彼らなりに今の自分としてできることをやってくれている。それを見ると、どのようにして彼らにもっと成長できるチャンスがあるのか、どうやったらよりよく彼らの部下の仕事を管理してゆけるのか、気付きを与えてあげることが駐在員として働く我々の責務かもしれません。つまるところ、自分自身がモデルとなり、先頭に立って行動で示してゆくことが求められているのだと。

自分自身が先頭に立ってモデルとなること。それだけマネジャーという役割の重要さを身に染みて感じています。

この年始の休み中に、2年間ビジネススクールで勉強してMBAを取得し、世界でもトップクラスのOil companyに就職した方と会話する機会がありました。「今の世の中優秀なマネジャーが求められている。Specialistは見つかる。けれども、それらの人を束ねられる優秀なマネジャーが必要なんだ、MBAというのはマネジメントという目に見えないソフトスキルを持っていることを証明するもの。それを学ぶのがMBAなんだ。MBAホルダーはマネジメントのSpecialist。」というお話は興味深かったです。それを考えると、今経験していることはビジネススクールではないもののOJTスクールなるものでひたすらお尻をひっぱたかれつつ心身で学ぶ学習の場となっているのかもしれません。

当初は、自分自身の役割はロシアと本社の間の橋渡し役であり、実際に現地の細かいルールまで把握することは困難のため、スタッフに教えてもらいつつ要所を抑えていればよい、との考えでした。しかしながら、ロシア人マネジャーがしっかりとDetailを把握するに至るまでは、そして、完全に業務を把握することが自分の責務だという認識を持つに至るまでには、自分自身もMindを変えてがっつりとロシアと組み合い、実務を勉強してロシア人スタッフと共に成長してゆくしかない、と考えるように至った今更です。正解のないマネジメントという業務の奥深さもひしひしと感じています。

自分がロシアを去るまでに、自分と同じ気持ちを共有してくれるロシア人スタッフを一人でも多く見出すこと、それが今の自分の目標となっています。

Gadget “Currency Meter” (Windows 7) – monitor RUB currency exchange rate

ロシアで管理業務を担うと、日々のルーブル為替の動きに注意が向かないことはありません。原油価格に連動して、またトランプ大統領の発言然り、アメリカの動向によって簡単に為替が下落することが日常茶飯事。

毎朝、お付き合いのある銀行から届く為替レポートを読み、為替の変動とその背後にあるニュースのサマリーを眺め、最後に記載のある編集後記のような小話を楽しみ仕事が始まります。いや、実際のところ、そんな余裕もなく朝からオフィス内を駆け回る日々なのが真の姿ですが…。

為替の動きはわずかな操作でスマートフォンのアプリでもWebでも簡単に入手できますが、常にデスクトップに表示されていればその動向を仕事をしながら目に入れることができて楽に違いありません。決して見やすいとは言えないのですが、おすすめのGadgetがありましたのでぜひ共有させてください。

Gadget  “Currency Meter”

(なお、私の使用しているPCは会社標準OSが英語版のため、英語版で出てくるメニュー名称をそのまま記載しています)

ディスプレイ上で右クリックをして出てくるメニューにある“Gadget”を選択すると、“Currency Meter”というGadgetがあります。これをクリックしてディスプレイ上に表示させます。Windows7では、残念ながらこのままでは自分の希望する為替情報が表れてくれません。

きっとWindows10を使用しれいればこんな苦労はないと想像するのですが(そもそももっと良い機能が用意されているのでしょうね)まだ企業の多くはWindows7を使用していらっしゃるのが大半ではないでしょうか?問題は、どうしたらこのGadgetを利用できるか…?

Google spreadsheetとのコンビネーション

以下のWebsiteの説明の通りに設定するとこのGadgetをご使用中のWindows7でも利用が可能となります。とても勉強になりました。

http://www.tomsguide.com/answers/id-3560123/gadget-currency-meter.html

(引用)――――――――――――――――――――――――

Hi there, I want to share my workaround for this issue.

First, when looking through the gadget code I noticed that it use 3rd-party service (Yahoo) to retrieve currency values. But unfortunately Yahoo has closed that service ( https://forums.yahoo.net/t5/Yahoo-Finance-help/http-dow… ).

I decided to use Google Spreadsheets where it is possible to use GoogleFinance() function and export the spreadsheet to CSV file. In my case, I’m going to track USD/RUB and EUR/RUB pairs. I think you could easily replace them with yours.

Step 1.
Create a new google spreadsheet. First column should contain your currency pairs divided by “/” symbol. Second column will have results of GoogleFinance() calculation.

Step 2.
Fill the table. For example, this is my table:

Currencies will update automatically.

Step 3.
Go to menu and select “File” -> “Publish to Web”. Next shoose CSV format and click “Publish”.
You will get a URL, something like https://docs.google.com/spreadsheets/…/pub?gid=0&sing… . Save it to a safe place.

Step 4.
Now we will need to change URL in the gadget’s code.
Go to folder C:\Users\[your user name]\AppData\Local\Microsoft\Windows Sidebar\Gadgets\Currency_Meter.gadget\

Find a file called “gadget.js” and open it with a text editor, e.g. Notepad.
You will see a lot of minified code, copy all the code and paste it to http://unminify.com/ . Click “Unminify”.
Next, replace all minified code with unminified one. Save the gadget.js file.

Step 5.
In the gadget.js file find definition of function getData() (line #1393 for me). Replace all the code inside the curly brackets with this code:

1.  getDataURL(‘YOUR URL FROM STEP 3’);

Where you should paste URL from the Step 3 inside the brackets.

In my case:

Next, save the file.

Step 6.
Now you will need to disable the Currency Meter gadget and then enable it again. If everything goes well, you will see it is working again!
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私は、USDとRUB、EURとRUB、RUBとJPYの為替情報が見たいので、この3つをGooglespread sheetに入力設定しました。設定がうまくいった時には思わずスタッフにばれないように小さなガッツポーズをしてしまいました。

 

 

 

 

 

分かりにくかったのはStep.4のこの部分でした。何度かトライしてみてようやくクリアできましたがITはこのプロセスに負けないことが大切ですね、それにしてもITの大変でありながらもその面白さには驚きと感動を与えてもらう一方です。

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Find a file called “gadget.js” and open it with a text editor, e.g. Notepad.
You will see a lot of minified code, copy all the code and paste it to http://unminify.com/ . Click “Unminify”.
Next, replace all minified code with unminified one. Save the gadget.js file.

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これは、まずNotepadを開き、”gadget.js” を指定してNotepad上に展開します。このようになります。

Notepadを開き、このファイルを指定。

 

 

展開すると以下のようにコードが表示されます。

 

 

 

 

 

あとは、以下のサイトにNotepad上のすべてのコードを貼付し、Unminifyした後にSaveをすれば完了です。ぜひお試しください。http://unminify.com/

 

“本物の自分”と“メールの自分”が同じでいること / Be myself when you write e-mail

ロシアの店頭で販売されているタバコ達。ここまでグロテスクな写真を見ていても何とも思わないのだろうか…禁煙を勧めても「私から私の楽しみを奪わないで、あなたには関係のないことよ」と言う人も。


大抵何かしらの想定外のことが起こる、安寧とした日々からほど遠い毎日を過ごす中、最終的に大切なことはロシア人スタッフとの信頼関係だと考えています。本社とローカルスタッフの間に立ち、どちらの意向も理解した上での微妙なバランスを取る神経戦を闘う中、どうしても問題は生じます。

「(給与が低いとの不満から)あなたたちはいいSalaryをもらって、会社の近くに住んで立派なアパートに暮らしている、それに比べて私たちのSalaryを少し上げることは決して大きな影響がないはずでしょう?どれだけ遠くから通う大変さ、物価の上昇で生活が大変になるか、何も分からないのですか?」

「(言語が違うことからどうしても生じうる誤解から)何を指示されているのかわかりません、もっと英語を分かりやすく書いてもらえませんか?文法に間違いが多くて理解するのが難しいです。」

など、日常的に素直な意見をぶつけられることがあります。もちろん、こちらにも言い分はあります。いかに多くの業務量と責任を背負って仕事をしているかを説明することもできますが、そのような返答はきっと相手に何も伝わらないでしょう。むしろ、意見をよく聞いて、率直な意見をくれることに感謝していることを伝えるのが最善ではないでしょうか(相手が女性スタッフの場合は特にそうです)。また、このような意見を受けた時にどれだけ自分が苛立ちを隠せないか、自分の心拍数がどれだけ高まっているかを感じることで自分のその時点での“人間力パラメータ”を計測するチャンスかもしれません。以前には同じ状況で言い返していたのに、今では多少笑顔で受け止められている自分がいる時には、ちょっぴり嬉しくなる瞬間に違いありませんね。

このような会話ができること自体、相手もこちらには正直に言ってもよい、と思ってくれている証拠と解釈しています。常に言われると決して気持ち良いものではありませんが、お互いに思っていることを相手のためを考え、言葉を選び相手を敬った仕方で言うのであればそれは正しいことでしょう。

それで、信頼関係を築くにあたり、きっと些細でちょっとしたことですが、“本物の自分”と“メールの自分”との間に温度差がないことが大切ではないか、と感じています。日頃自分が決して感情をあらわにする人柄ではなく、「ありがとう」の言い方も「ありがとう!」ではなくて「(ゆったりとした、でも何とか心を込めた)ありがとう。」であるにも関わらず、メールでは頻繁に「ありがとう!You are great!」と言ってたら「この人は一体どんな性格なのだろう?」と訝しげに思われても仕方ないかもしれません。そんな風に感じているので、自分の書く言葉が自分自身を体現しているだろうか、と客観的に見直すよう努力中です。

それにしてもロシア人スタッフはよくメールに!マークを付けてきます。XXX san!!Good morning!!といった風に。そのようにしたほうが見栄えもよいかもしれません。しかしながら、その使用が常態化するときに!マークを使う意味合いが薄れてしまうのではないかな、と感じながら自らのコミュニケーションスキルを日々勉強しているところです。皆さんはどう考えていらっしゃいますか?

 

声のトーンを一定に―信頼を得る一歩 / Keep tone of voice – the step to win the trust from Russian colleagues


今晩のモスクワは明日の朝にかけてマイナス20度まで冷え込む見込み。雄大なモスクワ川も今晩は身を引き締めてすっかり凍えています。


ロシア人スタッフとの会話の際の声のトーンと、母国語である日本語で会話する時の電話や日本人の上司との会話のトーンが大きく異なる人がどの会社でもいるのではないでしょうか。大概日本語で話す会話のほうが高くなるものと思われます。無意識のうちに、自分の声を意識せずにいると、ロシア人スタッフから「どこからそんな声が出てくるの?」「なんでこうもこの人は声が変わるんだ!?」と驚きの目で見つめられることが想像されます。

自分自身が表裏の無い人間であることをロシア人スタッフに示すためにも、声のトーンを一定に保つことは信頼を得る上で大切なポイントだと考えています。(必要な怒りを表す時には違うトーンになったほうが良い場合もあるはずですが、それには触れません)

常に一定の声トーンを保って会話することは大切なことでしょう。安心度、信頼を得やすい声のトーンは低めであり、できる限り低いトーンで話すほうがよい、というノウハウを聞いたことがあります。しかし、生まれながらに持った声を無理やり変えること自体が本来の自分を失うことになりかねません。むしろ敢えてその声を高くすることなく、自分なりの自然に話すトーンを一定に保ったほうがより自然だと考えられます。

社内で人と会話するとき、電話をするとき、仮に周りに誰もいないように感じても、いつでも自分の会話する声のトーンを周りに聞かれているのだ、常に見られているのだと意識することの重要性を感じています。そしてそういった要素も考慮されて自分自身への評価が彼らの中で形成されている。このことを日々意識することが外国人としてロシア人スタッフの中で働く日本人にとって重要なことではないでしょうか。

名前の大切さ / Name – How important it is

冬になると、モスクワの街中のいたるところでIlluminationが咲き乱れます。ここではロシアのシンボルでもある聖ヴァシリー聖堂が煌々と行き交う人々を照らしています。


ロシア人の名前には名前、性に加えて父親の名前から作成される「父性」が存在する。名前に父性を付けて呼びかける時は、より目上の人や距離がある人に対して使う言葉。通常、仕事では社内の言葉は英語のため、Anna, Sergey,といった風に名前で呼び合う。(より親しい間柄の場合には、AnnaAnnyaSergeySeryozha、のように砕けた表現があるけれども今回のテーマからは対象外)ただ、時としてお互いの意見がぶつかったり、理解し合えず埒が明かないこと、いい加減にしてくれよ全く、なんて言いたくなる時がある。そんな時、かしこまった言い方でAnna Alexandrovna Sergey Ivanovich!といったように名前+父性で相手に呼びかけることも一つ効果的ではないでしょうか。

仕事では名前+性をセットで使うことが多く、各人の父性まで覚えきれていないのですが、ここぞという時に、「ねえ、ちょっとお願いだから聞いてください、Anna Alexandrovna。」と言われたらロシア人スタッフはきっとあなたのことを「おおっ、この人はロシアを分かっている。」といって態度が変わるかもしれないですね。

ロシア人とビジネス上の関係で、かつお互いに距離がある場合には、ビジネスメールは名前+父性はセットで書き出したほうがこちらのリスペクトが伝わり相手への印象も良いでしょう。

また、子供が何度言われても親の言うことを聞かない時、親は一言「Anna Ivanovna!!」と。いつもは「Anochka」といった優しい言葉で呼びかけていたのに、そんな風にかしこまって呼びかけることがある。

見知らぬ人とでも、会話を初めてすぐに、「あなたの名前は何というのですか?(Как вас зовут?」と尋ねられて、そこから名前を相手に呼び掛けて会話が続くことも多い。

ロシアで仕事をしていると、我々が持っている名前というものの大切さを何だか感じさせられる機会が日本以上に感じられるのではないでしょうか。

お土産ばなし / Souvenir


つい二週間前まではモスクワはこんな綺麗な紅葉が広がっていたのだが…FIFAワールドカップの会場となったLuzhniki stadiumを向こうに見て。今は最低気温見込みにマイナスがみられるようになり、すっかり冬の様子に様変わり。どよんとした天気が続く、タフな季節がやってきた。


会社では、休暇や出張からスタッフが戻ってくると、「Dear colleagues, TurkeyからのSweetsを楽しんで!」、「ドイツからのチョコレートをどうぞ、早い者勝ち!」、「Japanからのお土産がみんなを待ってるよ!」といったメールが飛んでくる。そうすると、多くのスタッフが仕事の手をパタリと止めて、バタッと立ち上がり、ドタバタとお土産が置かれている方向へ向かってゆく。そして談笑が始まる。日頃うるさいことを言っている身でもあるゆえ、どんなお土産を買ってスタッフに喜んでもらえるか?これは自分自身にとって重要なテーマ。

社員向けのお土産
以前は日本に一時帰国の際には高級な和菓子とか、駅・デパートなどで販売されている有名なお菓子を購入していたけれど、今はそうではなく、自分の大好きなお菓子や一般のスーパーで売っているスナック菓子類を大量に買い込んでいる。日本のお菓子は安くていながら品質が高い。パッケージも可愛らしくて本当に素晴らしい。日本にいる時には好んで食べていたお菓子も多く懐かしい。スーツケースがかさばるのは難点だけれど、スタッフに喜んでもらえる顔を想像しながらわくわくしながらポイポイと買い物籠に放り込む。
どうしても距離が開いてしまう日本人とロシア人スタッフとの距離。ただ単に日本の美味しい食の文化を利用するだけではなく、そこに自分のStoryを織り込むことでよりスタッフとの距離感を縮めることに役立てると感じている。「いろいろと美味しいお菓子があるけれど、これは自分が子供の頃から特に好きで食べているもので、田舎のじいちゃん、ばあちゃんのところに出かけた時にはいつも買っていたんだ」「この駄菓子は子供のころ少ないお小遣いから出してよく学校帰りに帰っていて、何十年も日本で売られている有名なお菓子なんだよ」とか。以前は、何も言わずに酸っぱい梅干しを振舞ってみたところ、食堂からスタッフの悲鳴が聞こえてきた。この時には思わず「やった!」と心に中で叫んでいた。申し訳なかったけど、これもまた一つありかと。

”The noblest art is that of making others happy” ― Phineas Taylor Barnum

個人用のお土産
ロシア人スタッフがプライベートのお土産として日本から購入してくるものは人それぞれである中で、面白いなと思ったのはビニール傘。コンビニエンスストアで売っている540円(税込8%)ほどの傘を3本とかまとめて購入しているスタッフがいた。なぜ?と聞くと、ロシアではこれだけ品質の高い傘をこれだけ安く購入することはできないので、家族の分も含めて買ってゆくのだとか。日本では突発的な雨に降られてコンビニに駆け込み、ビニール傘を購入し、雨が止むと捨ててしまう人もいるけれど、そんな程度にしか価値を認められていないビニール傘がこれだけロシア人に認められているのかと知って新鮮な気持ちになった。
今度日本へ出張に出かけるスタッフの出張申請をチェックしたところ、同じ航空会社だが高いチケットを申請してきたので、なぜ?と。「日本に出張したら家族の分のお土産も購入しなければいけないので、スーツケースの持ち込みが多く許されるチケットが必要なんだ」だとか。
なんだかそんなことを素直に言ってくるスタッフの家族思いを知って、出張ルールをリマインドするどころか微笑んでしまった。

人事評価で一番大切なもの / The most important thing for Evaluation

仕事で出かけたモスクワ郊外の本日の様子。車窓から撮影した一光景。今日は仕事に戻るのが嫌になるくらいとても良い天気だった。


仕事に人事評価で一番大切なものは?と聞かれたらどんな答えが出てくるだろうか?しっかりとした人事評価システムの構築、評価制度の説明ガイダンスの設定、評価マニュアルの作成と対象者全員への配布、評価者研修による評価者のレベルアップ、スタッフとのコミュニケーション、信頼関係の構築などなど…いずれもが大切でどれかを一番、ということはできない。そもそも、ロシアでネットやアマゾンを眺めていても、今の世の中では評価制度自体の意義に疑いの目が向けられ、半年・年に一回の評価制度そのものを見直す、という動きが世界的に起こっていることを見ている。日本の大会社でガッツリと根付いた制度そのものを見直すことを考えると、その労力は想像を絶する。簡単ではない。今ある制度は決して悪いものではないのだから、それをいかに有意義にできるか?まずはそこから考えることが一番現実的で有効に違いない。

ロシアでの人事評価

ロシアに来てからの当初は毎回の評価でスタッフとお互いに理解し合えない終わり無き評価面談を繰り返してきた。それにしても、ロシアに来て早々に人事評価を担当。こんな30代で部下を持ったこと、人の評価すら人生で一度たりともしたことの無い人間によく評価をやらせるなぁ…と思った記憶がある。本社からすれば若手の訓練を積ませる実践の場。聞こえは良いけれど、日本人、ロシア人、同じ人間。彼らにだって大切な家族があり自分の将来を考えている。どんなに会社の規模が小さかろうと連結決算上の売上規模が0.1%であろうと、評価の重みはどこでも同じなはずで、自分の行う評価の重みをよくズシッと感じなければならないのだろう。日本での評価経験は課長でもその中でグループ長に就かなければ経験がつめないのだろうけれど、若くしてロシアでこの経験が積める機会があることにいつも感謝している。日本よりもロシア人スタッフの評価をするほうがずっとタフではないだろうか。おそらく、日本の大会社における人事制度はすでに大多数の人間が諦めているか、形式的にこなしている(?)ためか、それほど苦労もせずに淡々とこなすマネジャーが多いのでは…と失礼ながら想像している。こちらのロシアの会社では、「なんで私の評価がこれなんですか!?納得できません、ちゃんと説明してください!」「これはBだと思います、なぜCなんでしょうか、意味が分かりません。」、「どうしたら私のこときちんと評価してくれるんですか?どれだけ一生懸命やっているか分かっていますか?(そして泣き出す)」そんなやりとりがが繰り返されてきた。右も左も分からず、なんて申し訳ないことを当時してしまったのだろう…と今でも切なくなる記憶もある。時には意味のない長時間の話し合いがのらりくらりと続いたことも…10歳以上も上の相手に、お互い冷静だけど、皮肉たっぷりの笑顔と言葉で続いた冷戦。計3時間。相手になめられていたのだろう。今となれば良い勉強となった時間とプラス思考でいたい。

インターネットで見る多くの宣伝。「評価システムで困っていませんか?評価制度の解決なら私たちにお任せください!」という類の文句の裏には、御社にあった最善の評価システムを構築します、というものがほとんどと感じている。それも非常に大切で、自分自身も毎度日本に帰国する度にドサッと本を購入し、ロシアでもアマゾンKidleで本を購入し、色々と勉強してみるとあれま、これは役立つことばかり、と読みふけってしまう。…でも待てよ、と。最も大切な答えはもっと違うところにあり、ずっとシンプルなのではないか。それらの宣伝文句のポイントは的を外しているのでは、といつも感じている。

人事評価の成功=相互理解が日頃からどれだけ出来ているか

評価システムが基本的に最低限整備されているのであれば、何よりも大切なのは「相互理解」でしかない(自分の経験上、それ以外に答えが見当たらないのだ)。語弊を恐れずに言えば、評価システムはそんな重要ではない(むしろ立派なシステムを構築するよりもシンプルなほうがずっと良いのでは?)。相互理解のためにはやはりコミュニケーション(対話)。そのために自分自身はWeeklyでの1対1の面談が最も考えられる現実的な方法なのではないだろうか。今、1on1ミーティングの重要性が多くの媒体で推薦されており、それだけ日頃からコミュニケーションを取ることの重要性が叫ばれているのを見ると、だれしもがその真実を分かっているわけだ。

1対1の対話の大切さ

個人個人に目を配り、ケアをしてあげるのがマネジャーの仕事。自分の勤務する管理部門は経理、人事、法務、物流、ITとあり、各部門には多くても最大5名。各課にはロシア人マネジャーがおり彼らが部下の評価を見ており、十分に個人個人に気を配ることができるはず。この面談をマネジャーは欠かすべきではないと思う。Playing managerである管理職はどんなに努力したって月に一度の面談がやっと、というのが現実なのかもしれないけれど、それでも週に一度、個別に話す機会を必ずもつことが必要と経験を通して、自分の犯してきた失敗を通して自分は皆に伝えたい。評価で一番難しいところは、なぜ上司がCをつけ、部下はBを自己評価でつけるのか、そのお互いの認識の相違を埋めること。そのために上司は部下に対して自分の評価基準、期待していること、部下に現時点で不足している点などを日頃から定期的に伝えてゆくこと。これができるのは毎日の積み重ねでしか成しえない。だからこそ1対1の定期的な面談を継続してゆくしかないのではないだろうか。以前、日本にいた頃の評価で思い出すのは、年間を通して一切マネジャーと話す機会もなく、日常業務では仕事の相談のみ。上司はとても忙しそうに朝から晩までLaptopに悶々とうなっている。期末には1時間の面談が設定され、それが唯一上司と1対1で自らの業務について会話する機会。面談では「う~ん、そうですか、どうですか調子は?」など拍子抜け。評価結果のフィードバックもない形だけの評価面談。別の上司は毎回5分程度(!)「XXX君、特に何もないかな?よくやってるね、よし!」これも違うでしょう…。それでも、大会社で誰しもが制度に疑念を抱く気持ちはよく分かる。4-5次審査まであり、直属上司の評価は途中の段階で知らないところで調整がなされる。その説明は無く、上司からは「自分はXXX君に良い評点を付けたんだけど上で変えられてしまったようで…。」これでは制度を信じること自体難しい。少なくとも、自分たちでフルコントロールできるロシアの会社だけはそうあってはならない。

完璧な評価制度など無い

評価は人間が行うものである以上完璧なものはない。むしろ、評価制度に完璧を求めてくるスタッフがいると正直疲れるのも事実なわけで…。何度も読み返している本「戦略人事のビジョン」著:八木洋介氏、金井壽宏氏(光文社新書)の中で“人事評価は、組織のパフォーマンスについて最終的な責任を負う人が下すもの…ということは、最終責任者がどういう人かによって、評価される人材は変わってきます…ですから、上司と相性が悪く、そのため低い評価を受けてしまう部下がいたとしても、それはあながち不公平とは言えない…。言ってみれば「上司との相性も実力のうち」です。”とある。これに自分は賛成だ。上司は自分のパフォーマンス結果に責任を取り、それの一端を担うのが部下になるわけで、部下は上司の意思を理解し自分のパートを果たそうと努めることが要求されている。日々、すべてをきっちり整理したがるわが社のロシア人人事マネジャーとはなかなか理解し合えず毎回苦労している。どちらも正しいからこそお互いに見解の相違を埋めてゆくことに毎度時間がとられる。それでもそんな人間がいかに変わるのか、どうしたらもっとよく説明して理解してもらえるのだろうか、それを一生懸命に考え、実行し、それが目に見えてくる過程を時に恨めしく思いつつも面白がるしかない。

先日の人事スタッフとの会議では「日本人はエイリアンだ!」と断言された(笑)。何を考えているのかさっぱり分からないらしい。正直、自分も長くロシアにいて、たまに日本に帰るとそう思う。感情の表し方がどうも下手なのではないだろうか。周りに気を配る文化が行き過ぎると、周りの視線を気にしすぎて自らを抑制する結果となり、それが当たり前となる時に人間性が失われてゆくのだろうか?すべてがマニュアル化されており、それに逸脱した行為をする人間を敵とみなして攻撃態勢に入るのではと。日々ロシア人とバトルしつつ、自分の感情を自然に表現できるようになってゆきたい。

3 months calendar (excel)

Excelで、年と月を変更するだけで日付が自動更新される3か月分のカレンダーを作りました。ロシアでは12月に顧客向けにギフトカードとプレゼントを贈る習慣がありますが、その中でいただくカレンダーは3か月分のバージョンが多くあるように感じます。俯瞰的にスケジュールを見る上で3か月分のカレンダーは役立ち、自分自身好んでいます。(ただし、いただく3か月分のカレンダーは大概サイズが大きすぎて個人用としては使用していませんが…)

このExcelカレンダーの作成方法はネット上にたくさんあります。詳細はそちらを参照することで容易に作成ができます。

このファイルをダウンロードすることも可能です(以下Link)、ご関心があればぜひご利用ください。

Calendar-3months

グローバル人材=英語で堂々と喧嘩を / Global business person = can fight with anyone in English.

10月に入ってからめっきりと寒くなったモスクワ。名残惜しく夏のお気に入りの写真を一枚。犬が気持ちよさそうに飼い主の投げたボールめがけて池をスイスイと泳ぐ光景をパシャリ。

最近、約20か国の子会社のスタッフが日本に集まって開かれたかグローバル会議に出席して感じたこと。今の世の中、グローバル人事部、グローバル人材育成、グローバル人事制度…といった言葉を聞くようになり、世の中が我々はグローバルにならなければ、という風潮にあるようだ。けれども、そもそもグローバルな人材って何なのだろう。そんなことを考える機会となった。一言で表現すると“英語で外国人と喧嘩できるようこと”―そんな気がする。リベラルアーツを身に着けるなど、他にも大切なことはあるけれど、まずは喧嘩をしよう。

これはいろいろな意味を含んでいて決してシンプルではない。ずっと日本の文化に育ってきた自分にとってもとても難しいと日々感じる。失敗を繰り返し、学びながらまた一歩前へ。

英語力。
英語は世界の共通言語であり、国際ビジネスにおいて絶対に必須。喧嘩をする場合、自分の感情がそのまま表れる。母語で自分の怒り、思いの丈を表す際、何も考えず自然と言葉が続くように、英語で喧嘩となるとそれなりに言葉が自然と出てこなければならない。英語で話すこと、これ自体が一つのハードル。母語で言いたいことをまとめるのも大変なのに、英語で相手に物事を伝えるにはより頭が疲れる。あらかじめ準備をした原稿を頭に入れて流暢に話すのとは違う。その場で相手の出方に合わせて発言してゆかなくてはならない。

喧嘩ができること。
これが何よりも一番重要な気がしている。喧嘩することって簡単なことではない。自分をさらけ出す必要もある。自然とそうなってしまうことだってある。どんな人種、国籍の相手であろうと、相手に自分の意見をはっきりと伝えることができること、時には正当な怒りの感情も含めて。伝えたいときにすぐに行動できる瞬発力。これこそがグローバルな人材になる道なのかもしれない。小さい頃はあんなに喧嘩して泣いて悔しい思いをしたのに、振り返れば年を取るつれて“大人な”自分を自然と演じていた。人とぶつからることを避け、事なかれ主義を信奉し、自分の思いを内心に押しとどめ、仕舞いにはそれが無意識に当たり前になっていた数年前。

会議では、決して英語が得意ではないスタッフもいたけれど、たどたどしい言葉でもしっかりと自分の言葉を発言していた。「このプログラムでは内容が不十分ではないだろうか、せっかくみんながここに集まったのだからぜひこの機会を活用してXXXの情報も共有してくれませんか」と。時には聞いているこちらがこの方の上層部からの評価が心配になるような発言もあったのだけれど…。後で発言の要旨を聞くと「だってせっかくの貴重な機会なのだから海外から来てくれているスタッフのことを考えるたら情報を共有してもらうことは大切でしょう、そう思わない?」と。このように他人を思う人がこの会社にいてくれること、そして行動で模範を示してくれることを思うと自分もそうありたいと改めて動機づけられる。ところで、私が本当に嫌いなのは、議論が進んでゆくといきなり笑い出す人。最後は苦しくなれば笑いで濁せばよい、と思っているのだろうか、全く理解ができない。そして、少なからずこういう人を多くの日本人に見かけるような気がするのだけれど…議論の相手に失礼だ、と内心怒ってしまう。

さて、ロシアで仕事をすることは素の自分を出してスタッフとぶつかり合う機会が多い。それを自分で逃さずにいれば、がっつり組んで立ち向かってゆけば、きっと成長できる場となるはず。ロシアで日頃からスタッフと言葉の取っ組み合いの喧嘩を繰り返す毎日を送る中、自然と“喧嘩力”がつく訓練の場が与えられていることがありがたい。また別の機会に書き連ねたいのだけど、今日も人事評価制度の在り方について1時間半、人事スタッフと議論に議論を重ね、どっと疲れが…。でも、自分の反対意見を率直に語ってくれる相手に感謝。それだけ同僚のことを思ってくれている証拠なのだから。

そもそもグローバルな人材って?そもそもグローバルになる必要があるのだろうか?永遠のテーマ。最終的には周りに流されず、己の信じる道を貫くのみ、だろうか。