視点を広げて自分の問題の小ささを知る / Broaden your perspective and realize how small your problems are

今も戦争が続くウクライナ東部。ウクライナの友人からドネツク地方で救助ボランティア活動を行っている人のメッセージを受け取りました。

「私たちの目標は、避難を希望する意思を持つ人たち全員を避難させること。多くの人たちは公共交通機関を利用し、危険な地区から自分たちで避難するための時間があります。それでも、時には間近に爆発や銃撃の音が迫ってきた最後の最後に避難を決断する人たちもいます。そんな時には公共の交通機関はそんな危険な前線に行くことはなく、私たちが彼らのために出かけて行って避難させることにします。避難に必要となる費用は何とかなったとしても、予想外に発生するコストもあります。例えば急いで薬を購入しなきゃいけない、避難の途上で温かい食事を取ること、緊急でどうしても必要な物品を購入しなければならない…」

こんなメッセージを読んで考えること。それは仕事で何かに追われていて深夜まで取り組まなければいけない必要が生じるとしても、少なくとも家がある、寝るところがある、食事がある、命を取られることはない。人の置かれている状況と比べて自分の方が優れている、という考え方ではなくて、何というか、ウクライナで命を危険を冒して今もこの瞬間にも逃れている人たちのことをイメージすると、自分の置かれている“当たり前のように感じてしまう”状況がどれだけ恵まれているのか、ということ。

それを毎日考えてみると、仕事で抱える不満や思わず言いたくなること、そういったものが自然と収まっていく効果があることを感じています。

Duolingo 550日継続学習を振り返ってみて / Reviewing to learn Russian for 550 days on Duolingo.

先日、Duolingoの学習記録が550日を経過しました。年を重ねるにつれてマンネリ化してしまいそうになる日々の中で外国語の学習は続いている、ということ自体が外国語の学習が好きなんだろうなあ、と実感させてくれます。その一方で自己満足で終わってしまっていないのか?とも思います。現在継続的に学習しているのはロシア語、ウクライナ語、中国語。この時点で感じることを率直に振り返ってみることに。

中国語

このお盆の夏休みの間に家族で泊まった旅館で出会った中国人の若い男性。旅館のスタッフとして夕食時に給仕してくれました。「私はすこし中国語を話せます。」と中国語でワンフレーズだけ言ってみると、「すごーい!」と喜んでくれました。伝わった!その嬉しさは外国語を話していて得られる喜びの一つ。その一泊二日の小旅行からの帰りのこと、高速道路の休憩所にあるコンビニで出会った中国人旅行者と思われる10名くらいのグループ。中国語だけ話す彼ら vs 日本語と”OK, OK”だけで応対する店員の女性。それでも何とか意思疎通が成り立っているようでした。時々聞こえてくる数字は聞き取れても会話の内容はまったく理解できず。悲しい…。「旅行で来ているのですか?」というフレーズを中国語の文法を理解した上で組み立てる能力がありませんでした。携帯電話を取り出し、DeepLにフレーズを打ち込んで話しかけてみると、”Yes, yes”という返事。継続して学習していてもこれか…と。旅行、来ている、質問文の最後に付ける文字。きっとこうだろうな、と部分的に理解できていても自信を持ってフレーズを組み立てる力の無さ。Duolingoで単にレッスンをクリアしているだけでは身に付かない足りないものがこの場面に表れたのかな、と思っています。

それでも毎日継続していると何か意識の中に変化がありそうです。例えば、街中の案内板を見るとそこには併記されている中国語での説明。その字を見て自分がどれくらい発音できるかな、と文字の綴りをたどってみたり。ショッピングモールでアナウンスされる中国語での放送を聞くと何を言っているのかな?と推測したり。Duolingoで中国語を学習し始めたきっかけはほんのちょっとしたこと。出張で新幹線に乗っていたとき、電車の乗り換えに困っていた中国人男性と全く会話できずに残念な思いをしたこと。中国人の友人がいるわけでもないけれども、何だか続いている。ふと考えると、自分の生活圏にある中華料理店、餃子屋さん。そんなところにいくと中国人の方がいる。実は身近なところには会おうと思えば会える場所に中国人が。「この前買った餃子美味しかったよ!」そんな片言でも中国語で言えれば会話が楽しくなります。相手もきっと喜んでくれるに違いない。そんなちょっとした片言から始まる交流や楽しみは生活自体を楽しくしてくれる要素になっています。

ウクライナ語

ウクライナ語を勉強する動機と言えば、定期的に連絡を取っているウクライナに住む友人の存在が大きいです。彼とはロシア語でやり取りしていますが、その彼の友人たちの多くはウクライナ人で、彼らの話すロシア語は多少ウクライナ語化していたり、純粋なウクライナ語でビデオレターを送ってくれたり。ウクライナのことを純粋にもっと知りたいと思います。”ウクライナ”という国名の由来についてWikipediaが教えてくれています(Wikipedia -ウクライナ)。

そんなちょっとした知識を知るだけでも言葉って面白いなぁ…と。「ウクライナ語はロシア語と似ているし、ウクライナ人はロシア語も分かるのでウクライナ語を敢えて勉強する必要はないよ!」と友人に言われるけれど、確かにウクライナ語を学ぶメリットは(例えばもっと世界中で話されているスペイン語を学習するそれと比べて)それほど多くないのかもしれないけれど、でも自分の中でもっと知りたい、という気持ちがあるなら学ばない理由はない。Duolingoでレッスンをこなしてゆくと — 実際にロシア語と似ているので — それほど悩むことなく次のステップに進んでゆけます。しかし、動詞や名詞などの語尾が変化する規則は勉強しなければ分かりません。ただウクライナ語に慣れているだけ。それが今の状態です。体系的に学ばなければ次のレベルに進むことは困難。そんなレベルにいます。

ロシア語

最後にロシア語学習について。どうやら現時点でDuolingのロシア語コースを全てクリアしたようです。(参照リンク:Duolingodata

一番レベルが進んでいるこの学習をしていて最近気が付いたことがあります。(理解が正しければ)DuolingoのコースはSection3、Unit39まで。ここまで来ると、明らかにリスニングのスピードと質が共に上がっていて、より発音がネイティブに近い印象です。もっと上に行くとより本物志向が強くなるのだろうか?この先はどうなるのだろう?と楽しみにしていましたがDuolingoが提供しているレッスンがこれ以上ないのであれば残念です。Duolingo学習でこの段階までくると、次にNHKラジオ講座の応用編を積極的に利用することは一つの良い選択ではないかな、と。レベルの高いロシア語を学習するに留まらず、ネイティブの方が話す生きたロシア語のイントネーションを学ぶことができる。それが無料で提供されているという奇跡。活用しない理由は無さそうです。Почему нет?(パチェムーネェトゥ) = Why not?

やはり以前からの印象と変わらないのは、Duolingoだけでは正しい言葉使いにはなれないのだろうと。例:Duolingoでロシア語を学ぶ場合には(注:Duolingoのロシア語コースは英語版のみ)、You told (あなたは言った)をロシア語に変換する時、英語には存在しない”彼”あるいは”彼女” — Он сказал(彼は言った)、 Она сказала(彼女は言った)— の区別が出来ていないといけません。Duolingoのレッスンを進めるにあたってはただ単に正解、不正解だけのレッスンをクリアしてポイントをゲットするだけになってしまう危険がありそうです。(答え合わせをする時には、DuolingoはきちんとHe told / She toldと表示してくれます。ですので厳密に言えばDuolingoのレッスンを通してもHeなのかSheなのかの区別ができます。ここで伝えたいのはある程度の文法基礎学習を行い、頭で理解した上でDuolingoの課題をクリアしてゆくことの大切さです。そうでないと応用力がつかないのかな、と個人的に感じてます。)

その観点からすると、ロシア語の文法を一通り学習した人がDuolingoでロシア語学習をする効果は他の言語よりも大きいのかもしれません。