ウクライナ語とロシア語 / Українська мова and Русский язык

ここ最近、外国語学習アプリのDuolingoを利用してウクライナ語をちょっぴりかじっています。住んでいる街のウェブサイトを見ると、ここにもウクライナから避難してきている人たちがいるのだとか。何かできることはないかと、秋くらいだったか、ロシア語通訳のボランティアとして登録をしました。昨年末には、一度お電話をいただき、お役所の事務手続き関係の通訳が可能かどうか?とのことでした。その後、具体的なボランティアの話は現在までにありませんが、自分のロシア語のレベルがどれくらいなのか?この点を客観的に明確に説明できる何かがあったら良いなあ、と感じました。「通訳ができるかできないかは、まずは呼んでいただき、こりゃあ使い物にならないと思ったらそこで首にしていただくなんてどうですか?」なんてちょっぴり冗談ありの柔らかい雰囲気でご担当の方と会話した後、結局お話をいただけていないので、すでにあの電話の時には首になってしまったのかもしれませんが。

とある報道を見た記憶では、ロシアがウクライナに侵攻してからはロシア語を話したがらないウクライナ人が増えているのだとか。その気持ちも分からないでもないです。実際、2022年9月からは、キエフではロシア語を学校で教えるのをストップしたということです(以下のYoutube動画より)。もしかして将来にウクライナの人と話す時に、少しでもウクライナ語が分かったらいいな、という気持ちから最低限でもDuolingoを開いているところです。

9月からキエフの学校ではロシア語を勉強しなくなることについて、「それは良いと思う。」と答える女性が大変流暢なロシア語で会話を続けていることを見ると、ロシア語とウクライナ語を簡単に切り離せるものではないことを感じさせられます。

先週、ウクライナ西部に住む友人とオンラインで会話した際、実際に現地ではどうなのかを尋ねてみました。ウクライナの人たちはロシア語を話すことに否定的になっているのか?そんな人たちが増えているのか?と。これは一人の個人的な意見なので、これが大多数の見解であると決めつけることはできません。彼が言うには、— 確かにロシア語を話すことに否定的な人もいるのは確か。そうはいっても、今は東部から西部に人が流れてきている。彼らの多くはロシア語を話す人たち。西部の人もロシア語が分かる。会話をするとなるとロシア語にならざるをえない、別にそれがどうした?必要があるからロシア語を話す、それだけだ。— ということでした。

今思い返せば、約何十年か前。ロシアでのおよそ8か月の語学留学を終えてからバックパッカーの旅を始めたばかりの事。多少はロシア語が上達したと思って訪れたウクライナ西部の中心都市リヴィウでのことでした。路面電車に乗り、車内で切符を購入しようとしたもののそのタイミングを逃した途端に(販売していた女性が反対方向に行ってしまったので、戻ってきて目が合った時に声をかければよいかと思ったのですが)、私のすぐ隣に立っていた男性に強い調子で何かを言われ、次の停車駅だったかで路面電車が停車したところで強制的に降ろされたことを思い出します。ロシア語で話しても相手はウクライナ語でまくしたて来て何を言っているのかさっぱり分からない…それでも罰金10ドルほど支払う必要があることだけは分かり、支払って解放されたことがありました。果たしてあのお金はあるべき場所に収められたのか、単に彼の懐に入っただけなのかは…私には分かりません。あの時、ウクライナの西部ではこれほどまでにウクライナ語が浸透しているのか…という印象を持ったことを今でも覚えています。というのも、キエフでは普通にロシア語が聞こえてきたものですから…。

ウクライナ語を学ぶといっても、「あなたは誰?」「私は学生です。」といった初歩的な表現です。「誰?」はウクライナ語では”Хто”(フトー), ロシア語では”Кто”(クトー)。「話す」は、どちらの言語も”говорю”。読みはというと、ウクライナ語では”ホヴォリュー”、ロシア語では”ガヴァリュー”。面白い、似ている。でも頭が混乱してくる…。今自分はロシア語を話しているんだ、いやウクライナ語だ、などどうやって頭の中で彼らは区別できているのでしょうか…?

そう言えば、以前にモスクワで交友があったウクライナ出身の男性は、会話していて「ヤー ハバリュー」といつも発音していました。ガヴァリューじゃないんだ?いや単なる聞き間違えかな?なんて当時は思ったこともありましたが、今思えば、きっと母国語であるウクライナ語の発音と混ざってしまい、ガとハの違いが自然と会話にも出ていたのだろうな、と。きっとそうに違いないです。

他にも、ロシア語とウクライナ語を比較してみると、「家」は、ロシア語では”дом”(ドーム)、ウクライナ語では “будинок”(ブディーノク。ロシア語の”будильник”(ブヂーリニク、目覚まし時計の意味)にそっくり?)。

「牛乳」は両者共に同じスペルで、”молоко”。でも読みはというと、ロシア語は”マラコー”。ウクライナ語では”モロコ”(何だか、2022年のサッカーワールドカップで大躍進した国、「モロッコ」の響きに似ているような響き)。

ロシアで、相づちのような場面でよく使われる”Так”(ターク)。ウクライナ語ではYesの意味だとか。実質同じような意味ですね。

言葉って面白い。