おすすめのロシア語辞書 / Russian dictionary which I would recommend

今のロシアは、そしてこれからも、現在の政権が存在し続ける限りロシアビジネスの将来は無いのだろうか…一体今後どうなってしまうのだろう…という暗く、どんよりとしたロシアの景色しか浮かんでこないこの頃。ロシア語の需要は果たして今後も存在するのでしょうか。モスクワで通訳をすることで生計を立てていたロシア人にとって欧米や日系企業のロシアビジネスからの撤退や事業停止はとてつもなく大きな衝撃に違いありません…。

最近は、ウクライナ情勢を巡ってウクライナにいる友人と連絡を取ることが多くなりました。定期的に届く現地の悲惨な状況と、それを遠くの世界で起こっていることのように伝える平和な日本。そのギャップに戸惑いを感じつつ、限られている中で自分にできることを細々と行う日々です。

ロシア語でやり取りをする機会も増え、自分のロシア語の未熟度を知る機会ともなっています。以前ですが、ロシアに手紙を出したい、という日本の友人からの手紙をロシア語に翻訳したところ、その文章を見て「意味は伝わるけれどもロシア人だったらそんな表現はしない」と笑われてしまったこともあります。「いや、あえて外人が頑張って書いたロシア語にこそ価値があるんだ!」と言い訳をしましたが、やっぱりロシア語の美しさが伝わるような表現ができるようになりたい、と思います。どんなに辞書で調べて単語を習得したとしてもネイティブのような表現方法をするには到底及ばない。難しいです…。

大学時代に習ったロシア語。文法でぶつかる壁と言えば格変化。学生時代には、シュセイヨタイゾウゼン(主格、生格、与格、対格、造格、前置格)と機械的に覚えましたが、今でも単数形、複数形の場合、男性形と女性形の場合とでどっちだったっけ…?と悩みます。

モスクワで勤務していた際、ロシア人スタッフが頻繁に利用していたオンライン辞書は以下のものでした。不思議と、一人だけでなく、別のスタッフと会話していても同じサイトを開いていたので、きっとこのサイトの使い勝手が一番高いのだろうか、なんて思ったことを覚えています。

https://www.multitran.com/

インターネットでオンラインロシア語辞書のおすすめをパッと探したところ、以下のサイトでいくつかのオンライン辞書が勧められていました。(先ほど記載の辞書もその一つとして挙がっています)

私のおすすめの辞書

自分自身の勝手な好みで判断していますが、いろいろな辞書を探す中、現時点では以下の辞書が一番のお気に入りです。

https://kartaslov.ru/

先ほどの格変化の例で言えば、以下のページを開き、調べたい単語を入力すると全ての格変化の形がパッと表示されます。

https://kartaslov.ru/просклонять-существительное/лес

ウェブサイトの構成も分かりやすく、類義語や他の単語との組み合わせパターン、その単語の使用例をロシア文学の中や有名な人の発言からの引用といった有益な情報も載っています。

単にロシア語を浴びるように聞いていても上達しないけれども、かといって教科書を開いて文法の勉強だけをしていてもやっぱり上達しない。それは義務教育で学んだ英語学習で証明済み。駐在員時代に面白かったのは、学生時代にロシア語を専攻していてモスクワに派遣されて仕事をしている人たちの中には、必ずしも一生懸命に勉強を学生時代にした人ばかりではないこと、そしてそのような人が流暢にロシア語を操るようになっている、ということです。

私には何が最も適切な学習方法なのかは分からないのですが、いろいろな方法を試しながら、それをしばらく続けてみて自分に合っているのか合っていないのかを検証してみる。そして自分に相応しいと思う学習方法を身に付ける。外国語学習はその作業の繰り返しでしかないのでは、と。定期的にロシア語に触れて、声に出して読むこと。これを毎日続けること。短い文章でも大丈夫。これが私にとって今のところベストかなと思っています。たった5分、といっても、毎日5分続けること自体がかなりのチャレンジであることを実感しています。そして声に出すことで、その言語を話すときの筋肉の使い方を覚える。頭の中で黙読して読み進めることと声に出すことには、とてつもなく大きな大きな違いがあると思っています。

さて、お気に入りのオンライン辞書で”россия(ロシア)”という単語を入力して検索したところ、以下の引用句がヒットしました。

Иногда кажется, что Россия предназначена только к тому, чтобы показать всему миру, как не надо жить и чего не надо делать.

Пётр Яковлевич Чаадаев (1794–1856) — русский философ

(時々思うのだが、ロシアは世界中に対して、どのように生活すべきではないのか、そして何をすべきではないのかを示すためだけの運命にあるように思われる。)

100年以上も前に語られた言葉ですが、現在のロシアに照らし合わせてみたとき、どのように皆さんは感じられるでしょうか…。

どんな大変な時でもちょっとした喜びや美しさに気が付く心を持つことの大切さ / The importance of having a heart to notice a little joy and beauty in any difficult time

キエフを逃れてウクライナ西部に避難している友人から届いた動画からの一場面。あちらでも春がもうすぐそこまでやってきているようです。カメラのピントが合っていればもっと良かったのですが…

今週の月曜日。長らく連絡を取っていなかった友人からボイスメールが入っていました。モスクワにいたときには、いつも陽気な姿しか見たことがなかったウクライナ人の彼の声は疲れていて、暗い声で「先週、キエフから何とか電車で脱出してウクライナ西部の町にやってきたところだ。キエフはロシア軍に包囲されたと聞いていて、現時点では今のところキエフを脱出するのが困難なようだ。キエフの若者たちは最後まで戦って街を守る用意が出来ている。事態は非常に深刻だ…もし武器を持たない一般市民がこのまま脱出できないとなると多くの市民が犠牲になってしまう…。」とのこと。その後…久しぶりに直接会話をすることができましたが、逃れた町はキエフに比べればずっといいけれども、ここでも爆撃があり、空襲警報が鳴る度に地下に避難してはまた地上に戻る…その繰り返しだ、と。

その後、受け取った動画には、「こんな非常事態だからこそ、喜びや、美しさに気が付く心を持つことがとっても重要だ、ほら見てごらん」と言って、今にも咲きそうなつぼみを付けた花の様子を送ってきました。

今はまだ平和な日本に住んでいて、日頃抱える問題がありますが、自分の住まいを突如として捨てて逃げなければならない、これほどまでに大変な状況の中でも逞しく、逆にこちらを明るく、励ましてくれています。同じ事象をどのように捉えるかで物事の見方はポジティブにもネガティブにも大きく変わるもの。今見えている目の前の一つ一つのことを前向きに見るだけで景色がすっかり変わるかもしれません。彼とのやり取りからまた一つ学びました。

「どんなものでもよいので、気持ちが明るくなる写真とか動画を送ってくれ!」という彼の言葉に応えようと、自分自身も仕事の合間に身の回りの自然の美しさや動物たちに目を留める機会になりました。在宅勤務の休み時間には家の近くを自転車で走ってみると、梅も花をつけています。風も暖かく感じられます。冬には聞こえてこなかった鳥のさえずりも。春もすぐそこに。