Detailへのこだわりー一長一短 / Stick to detail – pros and cons

この週末は青空が広がるとてもすてきな日中の陽気となりました。もちろんまだコートは必要ですが、風が優しかったです。地下から一時的にモスクワ川の上を走る地下鉄の上から眺めるロシア連邦政府庁舎のWhite house(белый дом)を眺めて。印象深いエリツィン大統領が命じてこの建物に戦車での砲撃をしたのが1993年10月。数えてみるとすでに25年以上が経っているのですね…。今でもこの建物近くには当時を物語る新聞記事が貼られたボードや、犠牲者と思われる方々への記念碑が立っています。

取引先のロシア企業のロシア人マネジャーと日本の話題になった。その方が言うには、日本はDetailへのこだわりが素晴らしい、ということ。以前に日本で生産された日本車とロシアで生産された日本メーカーの車とではDetailが異なる、とか。「自分でも確認したんだが、日本で製造された車は部品パーツを取り外すと、中に埋もれていた、外すまで見えなかった部分にまで色が塗ってある(手が施されている?)。ところがロシアで生産された日本メーカーの車となると、そうはいかなかった。」(ロシア語での会話を完全に理解できなかったため意訳になっています)

生産場所がロシアと日本とでは、コストや長年培われてきた職人技、経験なども異なるであろうし、その土地によって製造過程が異なることはあるでしょう、ここでこの方が言いたかったのは、「(自分の国民を若干自嘲的に見て)日本人はそこまで細かいところまで徹底してこだわる素晴らしい国民だ」ということ。

このDetailにこだわるレベルは、まさにロシア人スタッフと日本人会社員とで大きな差となって表れる部分だと思われます。数値資料のわずかな小数点以下の誤差、エクセル資料の罫線がが抜けていたり、ロシア語と日本語併記の資料段落がずれていたり、資料を綴じる際にファイリング用の穴を開ける位置がずれていて資料があまり見栄えよろしくなく閉じられていたり。作成資料を相手に送る際には、状況にもよりますが印刷プレビューで印刷範囲にきちんと収まることを確認してから送付すること、職場を後にするときの机の上の汚さなど…。どれもひとつずつ注意してゆかなければなかなか改善されない人もいます。決してロシア人全員がこうだ、とは言いません。中には素晴らしいロシア人女性スタッフもいて、整理整頓、他人への思いやりなどに富んだ彼女曰く、「親の教育の問題だ」とのことですがいかに?

Detailへのこだわり度合がロシア人と日本人とで異なる…と言ってもここに挙げたものはどれも当たり前のことと考えていますがいかがでしょうか、日本でも同様の状況に遭うことはあり、決して国民の違いに依るものではなく個人の問題?ただ、もちろん個人とは言い切れないものがあると思います。

例えば資料作成の際に体裁のこだわる姿勢。これも相手を想う気持ちがあってのことではないでしょうか、誰かがこの資料を見る時に見やすいようにしよう、相手が印刷したいときに時間と紙を無駄にしないようにあらかじめ印刷レンジを確認しておこう、など。一歩先を読んだ行動をしようと心がける。日本人として育ってきて、このような感覚を育む環境で生活してきたことは大きな宝物です。相手を想う自然な気持ちからの配慮。それが過度にルールとして厳格に適用されるときにもてなす側が疲弊する、そんな人に義務的に想われても逆に嫌な気分になる被害者。そんな状況が今日本でおもてなしの精神の危機として叫ばれているのかもしれません。

さて、来年度の予算計画を作成の際、ロシア人スタッフから「これだけ時間をかけて厳密に作成しても、それがどれだけ意味があるのか分からない…」言われてしまいました。彼女の言わんとしていることはよく分かります。毎年のように増える、求められる報告事項も増えるレポート達。どんなに業務改善をしても一向に出口が見えない…自分は成長しているはずなんだが、なぜこうも忙しいのだろう、誰しもがそんなことを思うこと、あるはずです。ただレポートを作成すると、準備の過程で数値の背景や自分の考えを精査するよい機会となり納得感が高まります。私はレポート作成に費やす時間を決して好きとは言えませんが、今でも重ねる失敗を経て、レポート作成にきちんとこだわることの重要さを噛みしめています。Detailを詰めることで自分の把握力が高まること、今後の毎月の業績レポートの中で計画との差異説明を要求されるときに答えやすくなる、さらにExcelスキルを高めるチャンスと思っていれば、総合的にみると無駄なことはないと感じています。

突発的に起こる大きな課題もあります、そんなときに資料のDetailにこだわっている、なんてことはできませんし、必ずしもすべてのレポートに全力投球ともゆきません。各々の場面で重要性・緊急性のPriorityを正しく付ける能力と的確に処理できる能力を鍛えることの大切さをロシア人スタッフから学んでいるところです。ソヴィエト連邦崩壊、1998年・2014年のロシア危機、そんな状況を経験してきたロシアの人々。金銭的にも自然環境も厳しい生活環境、低い給与レベルの中でもたくましく生きるロシアの人々。力強いです。

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ロシアのモスクワにある日系企業の管理部門にて長く勤務した後、現在は日本で働く会社員です。モスクワでロシア人と一緒に激動の日々を過ごした中で当時悩み、もがいていた管理業務の情報、体験談を少しでも多くの方々と共有したい、との思いがきっかけとなりブログを始めました。今はロシア、ウクライナの友人たちと連絡を取りながらロシア語の勉強を続け、ただただ平和な世界が来ることを願う日々です。

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