ロシアの車両保険 / Car insurance in Russia

高齢のおばあさんと犬の微笑ましい後ろ姿。本日の日中に散歩した公園にて。

ロシアでも日本同様、交通事故を起こしてしまった時・事故をもらってしまった時の保険は欠かせません。ただし、日本のように対人・対物賠償保険無制限、というのは聞いたことがありません。ロシアの保険に関する基本的な情報についてまとめてみました。 

ОСАГО (обязательное страхование автогражданской ответственности) 

オサゴ/Osago 日本でいうところの自賠責保険。車を運転する場合は、必ずこの保険加入が必須。この保険は自分自身ではなく、相手側の車両、相手ドライバーの被害を補償するもの。総額は500,000RUBで、相手方の車1台あたり最大120,000RUB、相手の健康被害については一人あたり最大160,000RUBと制限が課されているようです。 

この記事を書いている現時点で、Osago無しでの運転が発覚した場合の罰金は理由により500~800RUB(約800~1,300JPY)。ロシアのビジネス紙”Vedomosti“の記事によれば、Osagoを敢えて購入しないドライバーも存在すると。それはこの低い罰金が理由であり、罰則を厳しくする必要がある、と書かれていた。 

参考URL :

https://www.vedomosti.ru/finance/articles/2018/09/07/780253-osago

ДСАГО  ( Дополнительное страхование автогражданской ответственности водителя.  )

ディサゴ/Dsago この保険は上記のOsagoの保険適用上限を上回る部分をカバーするための任意保険。概ね1M RUB(約1.7M JPY)の保険をかけているのが一般的、と聞いています。周りのロシア人に尋ねると(尋ねた人数も少ないので信憑性は高くない)加入している人は決して多くない印象でした。「必須ではないこと、保険購入額が高いから」という。 

モスクワのようなメガロポリスで、ベンツ、BMW、レクサスといった高級車が日本とは比較にならないほど多く走っている場所では、修理にかかるコストを想像すればこの保険は必須ではなかろうかと思えてなりません。この保険はOsagoの保険加入期間と一致してなければなりません。複数の保険会社があらゆるプログラムを販売していますが、私の知る限り、Osagoとは別の保険会社でDsagoを後日購入しようとすると拒否されたことがありました。一つの会社で両保険加入が必要です。

КАСКО 

この保険は自らの車両にかける保険です。この単語自体が省略形ではないようでその言葉の通り、Cascoと呼びます。主に、事故による自分の車が被った損害と盗難(угон)、この2つが対象で、いずれかあるいは両者を選択するCascoを購入することになります。保険金額に制限はないようですが、保険加入時の対象車両の価値を考慮して決めることが一般的のようです。 

さて、街を歩いていると事故のケースを日本にいた頃よりも見かけます。先日は目の前で、路肩に止めていたTaxiが後方に止まっているTaxiを完全に見落としてか、しっかりと後ろ向きに突っ込んでいました。それぞれのTaxiから二人のカフカス系のドライバーが出てきて熱くなっていましたが、その後は知りません。ぶつけた側のドライバーがまるで「お前も悪い!」とでも言わんばかりの論調で言い返している、その感覚はなかなか理解できるものではありません。

業務効率化とリスペクトのはざまでもがく / Struggling between work efficiency and respect

深夜近い地下鉄駅「Парк победы(Victory park)」にて。空間の広がりの中に一人で立っていると不思議な感覚に。

ステレオタイプで申し訳ないのだが、ロシア人はやたらと立派なオーバーな言い回しで、そして少々冗長な言い回しをする人が多い気がする。といってもあくまで日頃接するロシア人スタッフとのコミュニケーションを通しての評価でしかないのですが。

それは恐らく、ロシアでは立派な詩や物語などを人前で朗々と、抑揚をいっぱいにつけて語る文化がある(ように思える)ことと関係があるのではなかろうか?きっと子供の頃からそのような場面が用意されているに違いない。テレビを観ていると、子供が聴衆の前で語る場面、それを大きな拍手でたたえる様子、(観光名所でお金目当ての目的もあるのだろうけれど)若者が大きな声で身振り手振りで立派に詩を語っている場面、先月に訪れたロシア人の友人の結婚披露宴では、新郎新婦に向けて新婦の姪にあたる小学生の女の子が立派な口調で素敵なお祝いの言葉を朗読していた。

上の立場になればなるほどに発する言葉の重要性、その言葉の持つ重さを十二分に感じる一方、日常ビジネスにおいてはむしろ逆で、“演説”や“物語”を書くのはもういいから…立派な言葉はいらないからとにかくシンプルなメールと会話を心がけてくれないか、といつも請願する日々。

また、時々かかってくるこんな電話。受話器をとって「Hello」と応えると、自動音声が流れ「あなたには、ロシア連邦第XXX条に定められている通り、(間が少しあった後に)無料の法律相談を受ける権利があります。」と。いちいち堅苦しい法律の文言を最初に持ってくるな、と言いたくなり自動音声にそんなこと言っても意味がないので仕方なくそのまま受話器を戻します。

Dear XXX

相手一人に対してメール送信の場合、誰にメールを書いているのか容易に分かるため、Dear XXXという書き出しはカットしてよいと考えています。社内ビジネスメールはいかに相手に早く的確にポイントを伝えることができるか?が重要で、メールだけ見ればドライな人に見えてしまっても、それは直接のコミュニケーションの温かさでカバーできると考えているのですが、世の中どうもそう上手くいかないようです。社内全員に向かって「これから私は一人に対してメールを出す場合、メールの書き出しに名前を入れるのを止めます、効率的に仕事をしたいからです。皆さんも私に対してメールを書く際にはXXXsan、は一切不要です。効率的に業務をしてゆきましょう。」とメールを書いたものの、受け入れられませんでした。今でも。名前を書いてメールを書くことはとても重要なことなんだ、と。人に対するリスペクトが足りない。あなたが私に名前無しでメールをしてきたら(つまりリスペクトをしていない証拠)、私も宛名無しで返事します。名前を入れてメールを書きだすことは大切です、とスタッフの一人に言われてしまいました。

業務効率化、これは正しいはずですが、そこから人への敬意を表すことを外すことはあってはならないのだ、と学習しました。今では相手の名前を入れてメールを書いています。といっても、次第にいつかはこちらの考えている意図も分かってくれるはず、日頃の態度で相手への敬意を示しつつ、それと共に徐々にメールの効率化に向けてじわじわと密かに努力中です。といっても相手の名前をカットすることは今後もないでしょう、今のところは。一つのことを全く異なって捉える、ほんとに人は深いです。

ロシア人スタッフとのコミュニケーション―具体性を / Communication with Russian colleagues – “Concreteness”


信号待ちの歩行者。救世主ハリストス大聖堂(Храм Христа Спасителя)を向こうにみて。ここ最近はプラスの気温も続き、長く積もっていた雪もだいぶ解けてきています。路上は今度は氷となってかわり、足元が非常に危険な日々です。

私自身は根本的に同じ人間であるという観点から、ロシア人であろうと日本人であろうとマネジメント方法に本質的な違いはない、と自らの実体験からこのように考えるようになっています。各自が育ってきた環境=文化が染み込んでいるため、その外面にある皮膚のようなものは変わることはありませんが、ケガをすれば同じ赤い血が流れるように、嬉しいこと悲しいこと、泣きたいとき声を張り上げて怒りたいとき、心の中は同じのはずです。

コミュニケーションのスタイル

ふと自らを振り返ってみると、自分がスタッフに話す内容は具体性に欠ける傾向にあると気が付きました。よく言われるように、日本ではハイコンテクスト文化が一般的であるがゆえ、それが染み込んでいるのだと思われます。むしろ、ロシアに来る前はそれが当たり前のことでしたので…。そして、具体性のある指示、会話がいかにビジネスとして基礎であり、大切なことであるかも学んでいます。

「倉庫業者との関係改善を図るように」

この指示は、仮に彼らが要望する価格アップを100%受け入れて相手に喜んでもらうこと?相手の会社のマネジメントと会食に出かけて交流を図ること?こちらの価格値下げを飲んでもらって、コストダウン達成により倉庫業者とのビジネス面で我々として価格改善を達成すること?一体何を図るように指示されているのか、分からなくなります。

一方で、この文言を受け取った側は、会社の置かれている状況や日頃からの上司、同僚との会話から何を要求されているのかを掴む努力が必要なはずです。むしろ、この文言で部下が動き、こちらの意思を遂行できるようにするのが一番の理想でしょう。これを目指すことは間違いないです。ただ、残念ながら今時点では私の周りにそんな部下はいません…。今日も、日本人駐在員に関するビザについて一つのシンプルなことを理解するのに30分以上もかかりました。ひたすら喋るロシア人スタッフの怒涛のような会話をせき止めるのに一苦労、会話よりも絵で会話することをがお勧めです。

過去に上記の指示をスタッフに出した時、考えられるいくつかの案を出され、あなたはどれを希望しているのか教えてくれないか?と言われた際には、今会社が置かれている状況を踏まえて自分で考えられる方法で必要な選択肢を取って行動することがお前の仕事だ!と怒りのこもったメールを書き連ねたことがありました。今考えると、こちらの言わんとしていることはわかりますが、指示を出す内容としては不十分で、非があることを認めざるをえません。

具体性のない指示=具体的なゴールを自らが描けていない

「円滑に業務引継ぎを行うこと」、「全社的に最善の形となるようにプロジェクトを進めること」、「お互いにとって最善となるような~」、こういったフレーズは綺麗なプレゼンテーションの文句となるでしょうが、実際の業務をマネジメントする時に連呼していたらその先には失敗があるような気がします。という自分が失敗をこうして重ねてきました…。

自らが聞こえのよい言葉を並べてロシア人スタッフに指示をしているとすれば、それは自らの中に具体的に目指すゴールのイメージが描けていない、ということに間違いありません。具体的なイメージを持った上で、自分はXXXのような形を描いているんだ、ここにもっていくために今抱えている問題を解決するために一つ一つ取り組んでいこう、そのためには~、と具体的な指示を与えることがマネジメントとして必要なことなんだと学んできました。

「なぜ私の業績評価がBではなくてCなんですか!?」

これも同じで、そもそも自分の中に明確に定義があるのか、厳密な定義づけは実際には難しいので、そうであれば自らが考えるBのイメージを定期的にスタッフに伝えてきただろうか、そう考えるとやはり自らがイメージをクリアに持っている必要がある、そう学習させられます。

さらには、課題に取り組む過程で出てくる想定外のアイディアを受け入れる準備ができていること。最終ゴールは、当初は自分のイメージしたゴールだったとしても、さらに別の人との協働により生まれるベターなアイディアを取り入れて行ける、考えていなかったサプライズを楽しめる、そんな人間としての大きさを持てるようになること、それが一生のテーマですね。先は見えませんがそんな風になってゆきたいです。今後も具体性を持った指示を出すためにも、スタッフへの指示には十分具体的か、Something like thatといった人によって異なったレベルの理解をしかねない言葉を避けること、業務の責任、Deadlineを明確にしているかなど、振り返ればいたって当たり前のことを身に沁みついてできるようになっているのか?毎回自らを客観的にみてゆくことにします。そして、分かっていても具体性をもったマネジメント実践のためには意識が必要であること、日頃から実践してゆくことの大切さを皆さんにもお伝えしたいです。

これらの点は国の違いは一切関係なく、世界共通のことなんですね。

日本と社会主義 / Japan and Socialistic state

本日18;30のモスクワ中心部から西側にあるFilyovskiy parkにて。モスクワ川が完全に凍っていました。いつも冬はここにきて市内の喧騒から離れ、遠くに車の行き交う音が聞こえるも静寂の中に身を置き、凍った川の上を歩くのを楽しんでいます。自然の偉大さを感じる瞬間です。

ロシア人の友人、タクシー運転手、ジムや仕事上で出会う方々との会話を通して彼らの持つ日本についての印象はなんだと思いますか。あくまで私の経験上ですが、主に以下の点です。

・原爆投下、そして、なぜ原爆を投下したアメリカとこうも仲良くやっているのか理解ができないという言葉(北方領土については、認識はありますし、日本に返却するなど論外、という思考は感じますが、こちらから訊かない限りほとんど会話にあがることがないように感じます)

・サムライ、Wabisabi(この名前のチェーン店をモスクワ市内を歩いていると見かけます)、天皇、ハラキリ、神道、日本食の美味しさとその健康への良さ、といった日本の伝統文化

・工業製品(車、電化製品)の品質の高さ(「ロシアは宇宙船、武器は作れても、一般市民に必要な車を作る能力がない」と自虐的な言葉も)。最近はSUMSUNG、LG、Hyundaiなどの韓国製品に圧倒されています。

・フクシマ(原子力発電所の爆発)とツナミ(ロシア語でもツナミ(Цунами)と同じ発音の言葉)

・規律を守る基準の高さ(日本に行ったことがあるロシア人の印象として、日本人が電車に乗るための列を必ず守ること、エスカレータやリフトに乗る場合も順番を守ることに驚きを隠しません。フクシマの際にも人が列を守って配給を待っていた、あの様子にも大変感銘を受けている様子をいつも感じます)

・街や公衆トイレの綺麗さ(これもロシア人の旅行者からよく聞きます、もちろんウォッシュレットも高い評価です)

・アニメ、ヤクザ、ムラカミハルキといった現代の日本固有の文化

といったところでしょうか。

今モスクワに住んでいて、今の日本とロシアを比べる時に「日本は世界でもとりわけ成功した社会主義国家だ」という論調に同感してしまうことがあります。日本人の“規律を守る”というのは美徳で大変貴重な特質ですが、あらゆる状況においても全員が規律通りに動いていたとしたら世界での国も企業の競争力もそがれてしまい沈みゆく一方です。間違っても規律を破ろう、というわけではありませんが、過度に規律を作り、それに人々が何が何でも従おう、それから逸脱する人間を排除してゆく社会になった時にその国や企業の将来の危うさを感じます。常に周りに自分を合わせること、目立たないように人と違う行動をすることを躊躇すること、その良さが行き過ぎると害に変わってしまう、そのバランスの難しさ。

日本が誇る“おもてなし”、あるいは年ごとに強化されてゆく内部統制システム。本来の目的を見失っていないのか?おもてなしする側もされる側も、内部統制を強化してゆく側も対応をする側も、両者がなんだか疲弊してしまうような過剰な状況になっていないのか?

そんな観点で日本を観察するよい機会となっています。

さて、ロシア人は会社のスタッフを見ていても抜け道を探り出すことに長けているのでは、と感じます。会社の規律を作っても、そうきたか…ちょっと待て、といいたくなるような行動に出てきて逆に尊敬してしまうことも。そんなしぶとさがあるからこそ国が混沌としていても、RUBの価値が対ドルでかつての半分以下になったとしても国が成長できるのかもしれません。逆に、今の日本はがつがつ行かなくてもそれなりの生活を送れる、まさに理想の社会主義国家となれる土壌が備わった、高いレベルにいるのかもしれません。どれだけその成功が各人の自己犠牲の上に成り立っているのかを考える必要もあるはずですが。

今、もしレーニンが生きていて日本を観たら何という言葉を発するのでしょうかね。それにしても、今のロシア人の若者の間では現在5月9日に戦勝記念日に行っているパレードがかつてはロシア革命記念日の11月7日に行われていたことも知らない人が増えているようです。スタッフに話を分かりやすく伝えようとソヴィエト連邦時代と今のロシアを比較して伝えても「XXXsan、私たちはソ連時代を知らないので何が言いたいことかよく分かりません。」と言われてしまいました。

自分で決めたスタンダードを守る / Keep own standard

街の至るところで見かけるDeliveryサービス。外に出るのも嫌になることもある?冬の寒さ。Deliveryビジネスがぐんぐん伸びているようです。もちろん冬だからではなく。


毎日ブログ更新を心がけています。今日は時間切れ・・一言だけでも。

自分で決めたスタンダードを守ることの大切さ

以前、予算作成を本社にレポートを出す締め切り最終日、23時を過ぎても一人でオフィスに残り作業をしていました。オフィス外の共有スペースに出るためには正面ドア横にある電子機器に社員証をかざして開ける、あるいは社員証無しでも開けることができるボタンが併設していあります。

その日はトイレに行こうとオフィスドアを開けたとき、社員証を忘れてそのまま出てしまいました。トイレから帰ってきたときには既に時遅し。誰もいないオフィス、貴重品・アパートの鍵もオフィスの中。結局共有スペースにあるソファに横になって眠り、朝に掃除のおばさんが来るまで夜を超すことに。そんな苦い思い出があります。朝いちばんで本社に事情を説明して急いでレポートを提出しました。今となっては笑いながら語れますがその日はつらかった。

 

そんな出来事を人に語った時に、スタンダードを守るというのは、カードを必ずかざしてオフィスのドアを開ける。たとえ日中にオフィスに人がいて、いつでも中から開けてくれるとしても自分のルールを守る。それが標準化、ということなんじゃないかな?というアドバイスをいただきました。今でもこのことは教訓となって思い返すことがあります。

そんな日常ありふれた事柄から学んだ、とても真理をついた言葉でした。

悩んだら声に出してロシア人スタッフ、上司に説明を

海外で駐在員として働くとき、各人の業務範囲、責任が大きるため、どうしても人に頼れずに自分で課題の発見、その問題解決への道筋、こうなるであろう、こうあるべきであろうという結論を自分で決め、それに向かって自ら進んでゆく必要が出てきます。…でも、一人で悩んでもどうしようもないことも多くあります、といって周りのみんなは忙しそうだし、日本とはBusiness Skypeで連絡を取れる状況にあるとはいっても時差もあり、実際に遠く離れているがゆえになかなか気軽に相談したり、理解してもらう難しさも感じています。果たして自分のこのやり方でよいのだろうか?何かおかしくないだろうか?頭の中でそんな疑問が飛び交っています。

とにかく声に出してロシア人スタッフ、上司に説明を

今の自分自身は、悩みにはまってしまったら、まず声に出して人に説明すること、これを心がけています。自分で何でもやらなければ、自分で回答を見つけなければ、と考えに考えて時間が経ってしまう、結局自分の出した結論は誤っていた、上司の要求とは異なっていた、そんなことが何度もありました。

声に出して自分で人に説明をしてゆくと、不思議と自分の理解の誤りや、ロジカルではない部分が見えてきます。また、自分の思ってもみなかった解決策が生まれることもあります。頭の中で考えるだけではなくて、人に“声を出して”説明することがキーです。

ロシアでの駐在員の人数は各社ともに少ないはずです。そんな中、自分で考え抜くも、考えすぎず悩みすぎず。上司を“利用する”くらいの意識で説明をすること、自分の誤りを指摘される時には自分の至らなさにがっかりすること、「(上司に)負けた、悔しい…」という気持ちになることもあるのですが、むしろ間違いが発見できて、その段階で訂正できることに感謝しています。

きっとこの声に出して相手に説明をすること、基本中の基本の所作かもしれません。尾恥ずかしながら、今になって改めてこの基本の大切さを身に染みて実感しています。

今日もありました、締め切りも迫っている中、キャッシュフローとPLBSの連動をさせるのに、どうしてもロシア会計のVAT支払いと法人税の仕組みが分からず、ああでもないこうでもない、でもこうしたいんだ、と。経理スタッフに絵を描き、至らない言葉で何とか説明。すると、彼女の一言で自分では気づかなかった方法を見出せたことに感謝しています。助かりました…。Спасибо.

お土産ばなし / Souvenir


つい二週間前まではモスクワはこんな綺麗な紅葉が広がっていたのだが…FIFAワールドカップの会場となったLuzhniki stadiumを向こうに見て。今は最低気温見込みにマイナスがみられるようになり、すっかり冬の様子に様変わり。どよんとした天気が続く、タフな季節がやってきた。


会社では、休暇や出張からスタッフが戻ってくると、「Dear colleagues, TurkeyからのSweetsを楽しんで!」、「ドイツからのチョコレートをどうぞ、早い者勝ち!」、「Japanからのお土産がみんなを待ってるよ!」といったメールが飛んでくる。そうすると、多くのスタッフが仕事の手をパタリと止めて、バタッと立ち上がり、ドタバタとお土産が置かれている方向へ向かってゆく。そして談笑が始まる。日頃うるさいことを言っている身でもあるゆえ、どんなお土産を買ってスタッフに喜んでもらえるか?これは自分自身にとって重要なテーマ。

社員向けのお土産
以前は日本に一時帰国の際には高級な和菓子とか、駅・デパートなどで販売されている有名なお菓子を購入していたけれど、今はそうではなく、自分の大好きなお菓子や一般のスーパーで売っているスナック菓子類を大量に買い込んでいる。日本のお菓子は安くていながら品質が高い。パッケージも可愛らしくて本当に素晴らしい。日本にいる時には好んで食べていたお菓子も多く懐かしい。スーツケースがかさばるのは難点だけれど、スタッフに喜んでもらえる顔を想像しながらわくわくしながらポイポイと買い物籠に放り込む。
どうしても距離が開いてしまう日本人とロシア人スタッフとの距離。ただ単に日本の美味しい食の文化を利用するだけではなく、そこに自分のStoryを織り込むことでよりスタッフとの距離感を縮めることに役立てると感じている。「いろいろと美味しいお菓子があるけれど、これは自分が子供の頃から特に好きで食べているもので、田舎のじいちゃん、ばあちゃんのところに出かけた時にはいつも買っていたんだ」「この駄菓子は子供のころ少ないお小遣いから出してよく学校帰りに帰っていて、何十年も日本で売られている有名なお菓子なんだよ」とか。以前は、何も言わずに酸っぱい梅干しを振舞ってみたところ、食堂からスタッフの悲鳴が聞こえてきた。この時には思わず「やった!」と心に中で叫んでいた。申し訳なかったけど、これもまた一つありかと。

”The noblest art is that of making others happy” ― Phineas Taylor Barnum

個人用のお土産
ロシア人スタッフがプライベートのお土産として日本から購入してくるものは人それぞれである中で、面白いなと思ったのはビニール傘。コンビニエンスストアで売っている540円(税込8%)ほどの傘を3本とかまとめて購入しているスタッフがいた。なぜ?と聞くと、ロシアではこれだけ品質の高い傘をこれだけ安く購入することはできないので、家族の分も含めて買ってゆくのだとか。日本では突発的な雨に降られてコンビニに駆け込み、ビニール傘を購入し、雨が止むと捨ててしまう人もいるけれど、そんな程度にしか価値を認められていないビニール傘がこれだけロシア人に認められているのかと知って新鮮な気持ちになった。
今度日本へ出張に出かけるスタッフの出張申請をチェックしたところ、同じ航空会社だが高いチケットを申請してきたので、なぜ?と。「日本に出張したら家族の分のお土産も購入しなければいけないので、スーツケースの持ち込みが多く許されるチケットが必要なんだ」だとか。
なんだかそんなことを素直に言ってくるスタッフの家族思いを知って、出張ルールをリマインドするどころか微笑んでしまった。

言語学習と音楽 / Language study and Music

ロシアで仕事をする上で言語の問題は避けて通れない。言語ってつくづく音楽だなって思う。リズムがあり、アクセントがあって休止がある。同じ楽器を異なる人が演奏すると出てくる音や音程が異なるように、同じ言語を喋ってはいても人の数だけ奏でる“音楽”も異なってくる。

詰まるところ、言語の習得はどれだけその言語が持っている音楽性を掴むことができるか、これにかかっているのではないだろうか。

欧米のクラシック音楽、日本の雅楽、その他諸々…その土地で生まれた音楽はその土地の言語が持つリズム感や音程と密接な関係があるに違いない。その言語あっての音楽に違いない。語彙を増やすことはもちろんなのだけれども、それ以上にこの“音楽”をどれだけ体得できるかが言語学習の上達に最も影響するポイントなのだろうな、とおぼろげながらに感じている。

言語を学習するといっても、日々仕事に追われてしまっていてまとまった時間を語学学習に充てることは非常に困難。といっても仕事では常に社内公用語の英語、時にはロシア語を読み書きする必要に駆られる。いかに短時間で最大限の結果を得られるか?いつも悩むところ…。幾つか好んで使用しているものを挙げてみました。

 英辞郎 on the WEB Pro(有料)

1年契約で月額297円(税込、執筆時点)

英語で文章を作成する時、単語の次にどの前置詞をつけるのか、of?for?about?はたまた何もいらない?―このようなケースによくぶつかります。そういった時にこのオンライン辞書はたくさんの例文が載っており文法の勉強にもなる、大変心強いです。問題はアクセススピードが遅いこと。会社のネットワークの問題なのか、サーバーが日本にあるのでアクセス自体に時間がかかっているのか、スピードは唯一気になるポイントです。

Reverso Context(Online free)

これは上記アルク社の海外版?英語→ロシア語、ロシア語→英語と容易に確認できます。フレーズの翻訳用にというよりも、単語や前置詞+単語を打ち込んで表示される例文集を確認し、その意味や使い方を把握するのに役立っています。

スマートフォン用のアプリもあります。私は月額129RUBの有料版を使用していて、内容・スピード共に気に入っています。

Все фразы и дталоги английского языка(本)

いろいろな本を購入してみたものの開かずに終わる…そんなことが多いのですが、この本は気に入っており、いつも鞄の中に放っています。短い会話集がひたすら英語とロシア語で記載されておりロシア語の日常会話を勉強でき、かつ英語学習にも役立っています。皮肉だけれど、紙質も悪く軽いので携帯するにも楽です。

Link先の書評を見ると、誤植や使用されないフレーズが載っていることへのクレームがあるけれども、そこは外人の自分にはそもそも難しくて分からないので気にせず。

ロシア語を全くゼロから勉強する場合は、きっと語学の先生について基礎から勉強、語彙も増やしてゆくための毎日の努力が欠かせない。一方、ある程度すでに基礎を終えている場合(そしてなおかつ日常業務の仕事で忙しく勉強時間が十分取れないという状況がポイント)、フレーズの塊を見て語彙と文法のチェック、言語のリズム感を体得するためにNativeとの交流、PodcastやTV、Radioでのニュースなどのリスニング、そんな学習をするのが効率的なのかな、と感じているところです。お気に入りのサイトを見つけ、好きな、気になるニュースをチェックしそれを外国語で毎日チェックする。好きなことであれば継続も可能だから。

語彙数をどのように増やすか?

ひたすら努力しかないのでは…。この努力は何よりもその言語を習得したい、というモチベーションから。そのモチベーションもその言語を学習する目的が明確にある場合に湧きあがるもの。目的があれば毎日少しでもその言語に触れるはずだろうから。目的も意味もなければ無理に勉強する必要はないはず。

ロシアのイノベーションの可能性 / The possibility of innovation in Russia

5月31日(木)、会社休みを取ってロシア・CIS諸国圏内で最大のスタートアップイベントと言われるSkolkovo Startup villageに出かけてきた。

Skolkovoは、モスクワの中心に位置する赤の広場から直線距離で西に約20kmほど行ったところにある。ロシアの”Silicon Valley”を目指して開発されているビジネススクールやスタートアップベンチャー企業、関係者が居住する約400ヘクタールのイノベーションセンター。

Link: Skolkovo
Ref: Skolkovo, silicon valley

感想

入場料は4,000RUB(現在レートで約7,000JPY。64USD)。初めて見聞きすることに対する対価として高くないと思う。内容について率直な感想を言うと、他国の同様のイベントを知らないため単純比較ができないけれど、少々寂しかっただろうか…。絶対的なスタートアップベンチャーの参加数も少ないのではないだろうか、敷地は大きいもののイベント自体はこじんまりとしたものに感じた。この日は非常に風が強く、ジャケットを着ているだけでは震えるような体感温度。それもあってか来場者自体も少なく。外の各ブースの盛り上がりはいま一つだった。自分自身、寒さに負けて長居しなかったので、きっと面白いテーマを逃してしまったことは否めないと思う。

一つの建物では、業務効率化に役立つソフトウェア開発をしたベンチャーのプレゼンテーションが繰り広げられていた。発表者がステージから最前列に座る批評家(投資家?)および観客に向かって発表を行い、質疑応答。その後次の発表者へ。このプレゼンを機に大きく発展するビジネスが生まれるのだろうか。

マトリョーシカと呼ばれる別の建物内部に入ってお聞きした2つの話はとても興味深く、勉強になった。

1. Mr. Tallis Gomes / CEO of EASY TAXI
ブラジル出身のこの方が創立したタクシーアレンジの会社のようだ。サービス内容はよく知らないのだが、以下の点が強調されていた。情熱的で説得力のある素晴らしいプレゼンテーションだった。
・いかに企業がInnovationし続けることが大切なことか(book “Exponential Organizations: Why new organizations are ten times better, faster, and cheaper than yours)and what to do about it” by Salim Ismailより下記引用
“In the next 30years 40% of all S&P 500 companies will disappear from the list”
“The average half life of a business competency has dropped from 30 years in 1984 to 5 years in 2014”
“89% of the Fortune 500 companies from 1955 weren’t in the list in 2014″)

・会社経営で大切なことは、3つの柱。
Aaa people: Put the right people on the bus and then decide where to drive
Share autonomy: Vertical organizations are doomed to fail
Culture: Mak’em work for a purpose

2. Mr. Mark Mueller-Eberstein / CEO of Adgetec Corporation
Blockchainがビジネスを変えている!そのことを語っていた。自分自身はBlockchainについて正直さっぱりで、これを境に本を開いて勉強を開始したばかり。

今回イベントを見に行ってから一般的に言われている”Innovation”に必要なことは何だろう?と考えるようになった。

Innovationとは?

GDP、人口、人の移動(流入数のみPickup)を比べてみたものが以下のグラフ。

ref: http://www.imf.org/en/data (the graph is created based on the IMF data)


ref: http://www.imf.org/en/data (the graph is created based on the IMF data)


ref: https://www.dhs.gov/immigration-statistics/yearbook/2016/table3 (the graph is created based on the data)


ref: www.gks.ru/wps/wcm/connect/rosstat_main/rosstat/en/figures/population/ (the graph is created based on the data)

Innovationと言えばアメリカがパッと頭に思い浮かぶ。
このデータの使い方が必ずしも正しいとは言えないかもしれないけれど、いかにアメリカがあらゆる国の人々を受け入れて、その分たくさんのリスクを抱えつつもInnovationをし続けているのか、そしてそれだけお金も集まりGDPも他国を圧倒しているか、数字を見てもよく分かる。2017年のアメリカ、ロシアのGDPを比較するとその差は12,7倍。移民の数(観光等の短期滞在除く)はアメリカはロシアの2倍、出身国内訳をみるとアメリカの多様性が圧倒的。ロシアへの移住のうち90%はCIS諸国からとほぼ旧ソ連圏の国々で構成されている。人が集まってくる、それに伴いお金も集まる。そして多様性と自由度。言わずもがなこれらはInnovationに欠かせないはずだ。

一方で、”Innovation”が必ずしも上記の定義のみ当てはまるものではないように思える。同質性からこそ生まれるInnovationもあるはず。鎖国時代の日本にも独特のInnovationがあったからこそ開国したときに外国人が日本文化に敬意を示したのだろうし、ロシアも西側に対抗していた旧ソ連時代には独特のInnovationがあったであろう。また、今の世の中たくさんの情報があって簡単に洗脳されてしまうけれども、世の中大多数の中でぶれずに違うことをやってみる、そんな一人ひとりが自分の信条を大切にした一つ一つの行動があらゆるInnovationに繋がるのかなと自分に言い聞かせて…。

言語とメンタリティ/Language and mentality

好んで太陽と空を取るのだけれど、この写真が今のところ一番好き。写真では生の感動が伝わらないのが残念だけれど、自然の美しさ、凄さをズドンと身体で感じた日だった。

昨日、金曜日の晩にロシア人の友人家族と夕食を楽しんだ。語学を専門に勉強してきた奥さんが「言葉があるのは、人が同じことを一緒にやるためである、もし人が一人で生きるのであれば言葉は不要だ、と学んだ」と言葉の意味を語ってくれた。なるほど。
また、面白かったのは「昔、神様が人間の言葉を混乱させてバベルの塔の建築をやめさせた(旧約聖書の創世記に出てくる話)のは、単に言葉を異なるようにしただけではない。メンタリティ、物事の捉え方そのものを変えたことが主要因で建築がストップしてしまったのだ」とのこと。「言葉だけ変えたのであれば、言葉を学習することでお互いが理解できる。しかし、言葉そのものの裏にある概念を理解できなければ、言葉ができたからといってお互いが理解し合うことは難しい。」

「ロシアでは諺などで多様される数字は1、3、7、100。しかしフランスでは2,4」なのだそうだ。例えば、日本では短く話をまとめて表現してもらいたい時、「一言でお願いします」というが、ロシアでは「二言で(в двух словах)」という。言葉の背景にある概念にまで深く思い巡らしたことはなかったので、考えされるよい機会になった。

我々の会社は就業時間が決まっているが、ロシア人スタッフは遅刻が当たり前。数分の遅刻についても特に悪びれることはない。「オフィス1階でエレベータ待ちの人が多くて乗れなかったので遅刻した」とか普通。10分前行動を推奨しても、契約上の時間は決まっているとか、遅刻してもその分残って働いているので何が問題なのか?これもよく聞く。何かで読んだのだが、”日本人は仕事開始時間にはやたらと厳しく、仕事の終わり時間には無頓着(つまり仕事の締切に対する意識が低く、終業時間後もダラダラと続けてしまう)”という傾向は事実と思う。これについてはまた別で詳しく書きたいが、これもメンタリティの違いを示す良い例だろうな。

この季節、金曜日は多くのロシア人がこぞって郊外にあるダーチャ(別荘)に出かける。彼らもこれから車で2時間ほどのところにあるダーチャにでかけて週末は部屋の内装工事をしたり、家庭菜園のチェックをするそうだ。