一を見聞きして十を想像する感度を / Being sensitive to be quick on the uptake

永田音響設計(http://www.nagata.co.jp/sakuhin/concert_halls.html)の音響設計家豊田泰久氏によって音響設計されたコンサートホール「ザリャージエ」。とても素敵なホールのデザインでした。気になるのは、この方が設計された有名なハンブルグにあるホール”Elbphilharmonie”の音響が決して高い評価を受けていない、という記事(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60008)。私は音楽に疎いため判断はできませんが、このモスクワの現代的なホールの音響に対する評価はどのようなものなのでしょうか。静寂の中にサーっと走る空調設備の音?が耳障りであったのが残念です。

今晩、2018年9月にオープンしたクレムリンのすぐ横に位置するコンサートホール「ザリャージエ(Концертный зал «Зарядье»)にピアノ演奏を聴きに出かけてきました。

「お客様にお願い申し上げます。携帯電話の電源はマナーモードの設定にしていただけますようよろしくお願いいたします。」

いつも演奏会前には必ず聞くフレーズです。すでに日本での記憶が薄いのですが、少なくとも私の経験からすると、モスクワで訪れた演奏会では最低一回は演奏会中に携帯電話が鳴り出すように感じられます。今日は二回ありました。それも、ピアノが静かに余韻を残して演奏を終える曲の最後の部分でいきなり鳴り出したので周りも失笑…。雰囲気が台無しに。

不思議に思うのですが、なぜ演奏会が始まる前のアナウンスで注意を聴いたときに自分の携帯電話を確認しないのでしょうか?

アナウンスの注意を全く聞いていない。

アナウンスを聞いても自分の携帯は問題ない、と決めてかかっている。

演奏会で自分の携帯が鳴ったとしても演奏の妨げにはならない、という価値観を持っている。

と、いくつか理由がありますが、仕事でも全く同じことが言えます。何度注意しても使用後の会議室ではケーブル、椅子が滅茶苦茶なカオスのままとなっている。昼食スペースがゴミと使用したあとの汚い食器が散乱したままとなっている。総務スタッフが何度注意しても、です。ほんのちょっとした原則、「もし、自分が相手の立場で同じことをされたらどう思うか?」「もし次の人がこの状態で来たらこのカオスを見てどう思うだろうか?」、そんなことを想像してみればよいのに、と思うのです。総務スタッフも立派に、定期的にメールでリマインドをしていますが、それだけでは一向に改善されるとは思えません。罰則規定を設けるべきか?それも根本的な解決とはなりません。根気よく、ことあるごとに目についたときに本人に直接注意し、原理原則を合わせて伝えることで改善されてゆくことを待つしかないと考えています。

少なくとも、私の周りには改善を期待できるロシア人スタッフしかいないので、あとは彼らにきっかけを与えられるように、自分に賛同してくれるロシア人スタッフのサポートを得ながら毎日さらに良い会社となるように闘っているところです。

私自身、数多くの失敗を行ってきました。失敗した後には、なぜもっと前にこの潜在的なリスクを正しく認識していなかったのだろう…あの時にアクションをとっていればこんなことにはならなかったのに…と反省し、悔しく思うことだらけです。自社で起きていなくても他社で発生した問題を耳にしたとき、新聞を読んでいて事件が発生したとき、セミナーに参加してはっと思うことを感じたとき。今はたとえ社内で問題が起こっていないとしても、そのようなきっかけを得たときに、“はて、自社は果たして大丈夫だろうか?”と一歩立ち止まって考え、自分自身で納得するためにも自社の状態を振り返ってみることが大切です。この感度をどれだけ高く保つことができるか、ロシアで働く管理責任者としての重要な能力である、とあらゆる失敗を経て今はっきりと断言できます。不完全な人間なので避けることはできませんが、あの悔しさ、悲しさはできる限りもう二度と経験したくはありません…。

ロシアビジネスで参考となるメディア / Useful Russian media

春は近い…はず。が、時にマイナス10度近くになる日も。雪が溶けたと思いきや、再び降って積もることも。この写真のように。この週末、おばあちゃんが足元を確かめながらゆったりと歩いていました。天気予報ではこの週半ばの気温はマイナス13度となっています。

Ведомости / Vedomsti

Missionは,”to promptly provide the business community with objective, high-quality and useful information needed for decision making”

Financial TimeとThe Wall Street Journalの世界的に著名なビジネス紙により、真に独立した依存していないビジネス紙をロシアに作ろうというプロジェクトにより1999年に生まれたメディアのようです。定期購読していますが、デザイン、記事内容共に好きです。КАРЬЕРА И МАНЕЛЖИМЕНТというタイトルで、マネジメントスタッフにとって役立つ記事が定期的に掲載されていて実際にその通りに行うかは別としても記事内容は勉強になります。

・部下との気難しいテーマについて議論する際、どうしたら”勝ち”をおさめられるか?

・雇い主はどうしたら従業員に仕事への意味を与え、そして給与を抑えることができるか?

・2019年にはロシアの大企業のうち、どの部署で人材の需要が増えるか?減るか?

など、ここ数日で届いた内容の記事を見ても雇用者にとっては興味深いテーマが続きます。

https://www.vedomosti.ru/

РБК / RBK

日本で言えば、日本経済新聞のロシアバージョンというところでしょうか。上記のVedomostiと合わせて同じく定期購読しています(Kommersantというさらに堅苦しい新聞があります。これも日経に近いものを感じますがただでさえ難しいロシア語。そのうえ難しい記事内容。私にとっては近づきがたく、面白くなく、たまにレストランやカフェで見かけると手にするくらいです)

Velomosti同様にビジネス紙で同じテーマを取り扱っていることもありますが、新聞の記事の見せ方にまだ改善の余地があるように感じます。といってもビジネス紙としてはRBKは欠かせないもので、テレビ番組もあります。コンサルティング会社や銀行などが入ったオフィスに出かけるとRBKをずっとテレビで流しているビルもあります。

私はときたま掲載されるベンチャー企業を起こして成功している経営者の方々の記事を楽しみにしています。不正がまかり通っていてグレーなこと無しにはビジネスが成功しないと聞くロシア。その方々たちがどのようにしてここまで成功されているのかは分かりませんが、どのようにビジネスのきっかけとなるアイディアを見つけたのか、そのあとどのように苦労を重ねて今に至ったのか、そんな内容を読んでいるとこれまた勉強になります。

https://www.rbc.ru/

RT

取引先のロシア人の方からこのRTは中立的な立場からニュースを書いているメディアなのでバランスが取れていると薦められました。ただ、会社のスタッフにそのことを伝えるときっぱりと否定されました。ロシア政府によって運営されている企業なので、確かに政府寄りのメディアと言えそうです。英語版でも読むことができます。

https://www.rt.com/

Meduza

これはラトヴィアの首都リガを拠点にしたオンライン紙。歴史をかいつまんで読んでみたところ、Galina Timchenkoという方をトップとして2014年に打ち立てられたメディア。かつて彼女が勤務していたLenta.ruのポジションをPutin大統領に近い人物Alexander Mamut氏によって追われ、彼女とともに勤務していた約20人のジャーナリストを中心にスタートしたようです。見方によっては反政府的なメディア?と一見思えるかもしれないけれど、ロシア人の同僚に聞くと、記事の内容はバランスが取れている、とのことでした。最近読んだ記事では、ロシアの国会では現在、インターネットを遮断する可能性をめぐる法律が議論されている、とのこと。同僚がMeduzaの記事ページを開き、ロシアが世界から孤立するかもしれない!そうしたらとんでもないことになる!とニュースを共有してくれました。

https://meduza.io/

Moscow Times

オランダ出身の方によって1992年に設立されたWeekly紙。世界各国からの駐在員なら誰しもがこのメディアをチェックしているのでは…と思うのですがいかがでしょうか。かつてはよく街中のレストランやホテルなどでフリーの紙版を目にし、英語の勉強も兼ねて読んでいましたが、今はOnlineだけになったような気がします。英語でロシアの情報を入手することができます。

https://www.themoscowtimes.com/

ロシア人部下同士の衝突のマネジメント / Solve the conflict between Russian subordinates

金曜日は、スタッフが周りの同僚がだれもいないタイミングを見計らい、つかつかと私のところにやってきて言い放ちました。

「XXXさん、(彼女の上司である)ZZZが来週開催される無料のセミナーに行くのを拒否された。私はこんなに業務ばかりやって、彼女はただTalk, talk, talk。なんでダメなのか理解できません。このAttitudeはフェアじゃない。」と。

何も聞いておらず、いきなり怒り心頭の様子で発しての発言。なんだなんだ、これは何らかの大きな問題に発展するやもしれず…。マネジャーの彼女には一言、あなたの部下が直接こちらに言ってくること自体が不自然ではないか?もう少し話が必要なのでは?とメール。

その後、マネジャーのZZZと直接会話してみると、仕事の優先順位、セミナーの内容からして重要なではないことからセミナーに参加する必要性が無い旨を部下に伝えたようでした。それならそれで正しく、彼女の意見を尊重します。一方で、先日書いたように、正しいことが本当に正しいのか、その判断にはいつも難しさを感じています。どうしても人間なので感情の問題が入ってくることは間違いない。なぜ私ばかり事務作業を延々と忙しくやっていて、ZZZはただしゃべっている(しゃべてっているからといってそのことイコール仕事をしていないと判断すべきではありませんが、ZZZは日頃からしゃべってばかり、というイメージが頭の中できていると、ちょっとしたことでそのイメージが悪感情と共に大げさになりえます)

以前、会社の研修で受けた内容が印象的だったのですが、「人は(この場合は部下)、“何を”言うかではなく、“誰が”言うかで判断する。」とのこと。ずっと昔に先輩社員から「こいつなんだ、とたとえ思ったとしても、その人が発言する内容が正しければ、その人が言うから嫌だ、ではなくて、その発言が正しければそれを受け入れなければダメだぞ。」と教わりました。はて、それが出来る人はどれくらいいるのだろうか…?頭で分かってはいても、実際にそれを行おうとすると、やっぱり人間なのでなかなか難しいことも多くあるのではないでしょうか?自分自身も先輩社員の言葉を思いに留めて努力してきましたが、「この人に言われたくはない…」と思ってしまうケースも事実何度もありました。

人は「うん、この人が言うのだったらその通り、私もそうしよう、従いたい。」ふつうはこのように感じるものだと思います。だからこそ、マネジメントは日頃から、いざというときのために、部下と意見がぶつかったときに、部下同士がぶつかりあったときに決断を下しそれを部下に受け入れてもらう必要があるときのために、「この人の言うことだったら従おう」、そんな風に感じてもらえるように準備をしておくことが必要なんだ、と実務から学んでいます。

あとで、その晩SMSがそのスタッフから飛んできて、「あとでZZZと会話しました。Now everything is OK.」と。日頃からZZZとはぶつかることもあるのですが、どうやらZZZも何がいけなかったのか彼女なりに考えたようで行動してくれたようです。ただ単に、目の前の仕事が忙しいからセミナー参加は不要、セミナーのテーマが私たちには必要のないテーマなので参加不要、と言うだけではなくて、「○○○といったテーマについては特に気になっているので、その内容のテーマのセミナーがあれば教えてね、参加を考えてみるから。」「今は社内の業務が優先なので今はどうしてもオフィスにいてほしい。ただセミナーへの参加はスキルアップのためにも重要だと認識しているので、今の直近で急ぎの課題を終えて来月以降で出席できそうなセミナーを探してみようか。」そんな一言を付け加えてあげればきっと部下も“否定された”とは感じることなく、優しく配慮してくれた上司に感謝を表してくれるのではないか、そんなこともZZZと共有し、お互いにまた一つ勉強をした一日となりました。

ちょっとした一言の大切さ / A few simple words make things big different

今日はちょっとしたことで深く考えさせられることがありました。

お昼過ぎに社用車を利用してオフィスを出発。14:30くらいだろうか、目的地に到着し車を降りてドライバーと別れた。行きのみ車が必要で、帰りは自ら地下鉄で帰宅。(夕方からのモスクワ中心街の渋滞は大変ひどく、歩いたほうが早いのではと思うくらい進まない。場所によっては500mくらい進むのに1時間近くかかった経験もあり、車での移動は大嫌いだ)

19:30過ぎにドライバーからロシアで大変ポピュラーに利用されているメッセンジャーアプリ、What’s upに“Извините, а вы когда вы выйдете?”(すみませんが、いつ出発しますか?)とのメッセージ。こちらはしばらく携帯を見ておらず、20時過ぎくらいに気づく。?と思い連絡すると、どうやらこれまで私が降りた場所でずっと待っていたらしい。彼の勤務シフトは午前中なので夕方前には勤務を終えるべきところ、こんな遅くまで待たせてしまうことに。彼は私に連絡してくる頃に夜の勤務シフトのドライバーに交代し、私がまだ建物内にいることを伝えて、夜間担当のドライバーが引き続き私を同じ場所で待っているという。すでに私は建物を出て帰っていることを伝えて勤務を終えてもらった…。

ここで「なぜドライバーは電話してこなかったのか?一本電話すればそれで済んだ話では?」という疑問もあるものの、今回のテーマは、ほんとに小さな一言が後に大きな問題となりうる芽をつむことにつながる、というもの。

社用車を総務スタッフに手配するとき、メールに赤字にて「One wayだけ必要です」と強調したことから問題なく伝わっていると思っていたものの、ドライバーは「その指示は聞いていない」という。手配ミスはこれまでにほとんど無く安心しきっていたこともあるのだが、あのとき、車を降りる時に一言「今日の帰りの車は不要だからね、もう帰っていいよ。」と、その一言をかけられなかったことが心残りとなってしまった。たった一言、まったく時間も取らず、仮に分かりきっていることとしても、もしかしたら50回に1回かもしれないけれど、その一言が役立つことがあるかもしれない。出発するまえの目的地確認、降りる時に何時頃に車を必要とするか、車は要らないのか、それをドライバーと確認することをスタンダードとする。そして、以前にも書いた“自分で決めたスタンダードを守る”の通りに決まったこととしてルーティン化すること。今日はまた一つ学習した。

ところで、この一言でお互いの理解を確認することの大切さ。

オフィス内でももちろん大切なことだけれど、相手によってやり方を考える必要があることも学んでいる。例えば、タイミングの問題。経理スタッフが電卓で計算をしているとき。相手を気遣うならば計算が終わるまで声をかけるのを待つこと。大概計算してきた途中で止まるとやり直しとなってしまう可能性が高い。スタッフ同士で仕事に関する議論をしている最中。いくら上司だからといって自分の権限で会話に割って入って自分のことを優先するのは上司として失格だ(ただし緊急時を除く)。例えば相手の性格の問題。部下によっては仕事中にむやみに声をかけられることを嫌うスタッフがいる。たった一言だからいいでしょう、と思うのだが「XXXさん、私はメールでコンタクトしてもらうほうが集中力が切れないのでうれしいです。メールしてもらえませんか?」と言われてしまう。なので、彼女とは簡単なメールで済ますことも多い。会議のときはきっちりと時間を割いて議論し合うけれども。また、こんなスタッフとは彼女が席を立って歩きだしたタイミングが目に入ったときに声をかけるのが有効だな、と感じている。一方でこちらもちょっとした時間のかからない報告は私が席にいる時には声をかけて、とお願いしているので、スタッフも進捗があれば適宜「XXXさん、この件進捗があって、YYYです。いまZZZからの連絡を待っています。」そんな風に報告してくれる。といっても自分自身も集中力が切れるのを極度に嫌うので頻繁に声をかけられるのはさすがにやめてくれ、と。そんなときは苦笑いしつつも若干しかめっ面をして「…ごめんね、ちょっと今は…。」というと、部下も慣れたもので「あっ、今はまずい…」と思って近づいてこなかったり。あるいはもう席を外す…、だって「席にいるときにはいつでも声をかけていいよ。」と言ったのが自分なので言い訳ができない…。

マネジメント業務は非常に人への気を遣う、まさに現代の日本人の極度なおもてなし精神と同じかそれ以上に大変な仕事なのだ、と感じている今日この頃です。

ロシア人スタッフの息抜きのために / How to release stress from Russian colleagues

私はロシア人スタッフのすぐ近くに席があるので、彼らが何を話しているかが耳に入ってきます。出社してきたばかりの時間帯は「ねえねえ、今朝の地下鉄でこんな変な人がいたの、信じられる?」「昨晩のあのTV番組見た?最高だったよね」「昨日はスメタナをあえて作った料理がおいしくて…今日のお昼はどうしようか?自分で作ってきた?デリバリーを頼む?外に行こうか?」そんな和気あいあいとした定番のテーマが続きます。朝から元気で、もうお昼の話か、なんて幸せそうなんだ、と朝からきりきり舞いのこちらは羨ましく思うばかり。

仕事の時間ともなると色々とトラブルが生じます。お互いにミーティング時に合意していて進んでいると思っていたことが「いや、XXXさんからの情報待ちでした」とか「てっきりこうだと思っていました。」なんてことになるとどうしても気まずくなります。(どこまで部下を信頼して任せておくか、どのように上手にリマインドして正しい方向に向かっているかの確認をするか、いまだに勉強中の毎日です。)突き詰めてゆくとこちらが正しい証拠が残っているケースが多く相手を追及することもできますが、それは長い目でみると避けたほうがよいでしょう。こちらが同様のケースに陥ったときにしっかりとやり返されます。(議事録(протокол)を作成し、お互いに約束したタスクをメールで共有しておくことは有効です)

こちらもふつふつと感じている怒りを抑えて、今後の対応方針をできる限り冷静にスタッフと合意したあとはへこみすぎずに過去は仕方がない、この先で何とかするしかない、と気持ちを切り替え。…遠くのほうで当のスタッフが近くの同僚にこそこそと何かを話し始めたら、きっとそれは「なんで私が悪いのよ、XXXが(こういうときは“さん”があえて(?)省かれる。なによ、あいつは、というスタッフの感情が伝わってきます。なんだかその使い分けがときに愉快でもあります。また、スタッフ同士も冗談で「Maria san」「Elena san」とロシア人スタッフ同士で使いあっていたり。)悪いのよ、ぶつぶつ…」と鬱憤を吐き出しているところ。そのあとまた業務に戻ってくれればOK.そんな光景は見て見ぬふり。むしろストレスを溜めない発散方法のようです。しばらく文句が続いている様子を見る時にはさすがにこちらも「いい加減にしないか!もうその件は話し合ったからそれで十分だろう。」と言ってしまう、いや、言うようにしていますが、そう気持ちのよいものではありません。ただ、自由に発言できることが許されている中にも部下としてのけじめ、制限があることは誰もが覚えていなければなりません。当初は経験もない中での指摘は挑戦でもありましたが、それだけは部下に対して態度で示しています。

さて、他にも重要なことと考えているのはこの点です。スタッフのためにも、会議などが無い日には自分のデスクにいる時間が長くなりそうなとき、あえて自分がいない時間帯を作ってあげて、自由に言いたい放題言える時間を作り出すことがスタッフの息抜きに大切なことだ、ということ。どうしても上司である私が近くにいると思うとスタッフはこそこそと話を始めます。とりわけロシア人女性にとっては話すことが大切。(といってもこれは全世界の女性に共通していることと今では確信していますがいかに。)

思ったことをすぐに口に出す傾向があるロシア人スタッフ。それが口論の原因になることが実際多いのですが、その分ストレスを溜めにくくする効用があるのは確かなんでしょう。(日本人はどうしても我慢しようとする傾向があるので、我慢強いことは美徳ですが、苦しい時には外に吐き出すことは、とりわけストレスがたまりやすい駐在生活では大切なことです。)

採用面接にきたイケメンの男性がいると「見た?あのかっこいい人?(人事スタッフに向かって)どう、面談結果はよかった?(ダメ、との答えに)なんでよ?なんであんなかっこいい人を採用しないのよ?」と盛り上がったり、「給料日いつ?もうお金がない!早く給料日がきますように!」―本当に自由に生きているな…と思うときがあります。

あくまで個人的な感覚でロシアでの経験からしか語れませんが、生活が苦しい環境で暮らす人々ほど、冗談の文化が発展しているような気がしています。ロシアはアネクドート(анекдот)と呼ばれる有名な小話の文化がありますが、インターネットを見ていても現代版の小話が随時更新されているようです。苦しい環境になればなるほど、自虐的に自分のことを笑って楽しむ、他の発展した国のことを滑稽に表現して笑って過ごす、そんな生活上の知恵が大切なのかもしれません。

ロシアのワークバランスは38か国中でTOP9だけど(OECD統計)

日経ビジネスの記事、“「ワークライフバランス」は本当に人を幸せにするか“で日本について語られている中に掲載されていたグラフに載っていたロシアの文字を見て、「おっ、ロシアが38か国中9位?」と目に留まりました。

元データを見ると、取り上げていたグラフは、OECD(Organization for Economic Co-operation and Development、経済協力開発機構)のBetter Life Index 指標の一部を占めている、とはWork-Life Balanceデータから来ているらしい。

http://www.oecdbetterlifeindex.org/#/11111111111

http://www.oecdbetterlifeindex.org/topics/work-life-balance/

。このデータの内容はEmployees working long hours(仕事に費やす時間)とTime devoted to leisure and personal care(プライベートにかける時間)を基にランキングしており、まさにワークとライフのバランスを比較したもの。ロシアはこのWorking long hoursのランキングが調査対象国のうち第一位。”Only 0.2% of employees work very long hours, much less than the OECD average of 13%”(従業員のうちわずか0.2%のみが長時間労働しており、これはOECD加盟国の平均13%をずっと下回る)とのこと。このWorking long hoursの定義は、週に50時間以上働くことを基準にしているようです。

私の身の回りを見ると、9時ギリギリにやってきて18時の就業時間とともに”Good bye!”、”See you tomorrow!”、”До свидания!(さようなら)”といってサーっと帰っていくスタッフ、います。「私の今日の業務はすべて終わらせたし、仕事時間は18時まで。遅くまで残って仕事するのは仕事スキルが足りないのでは?私はこの後も自分の生活があるし、いつまでも残って仕事をしていられない。」そんなコメントを聞くと、そうだよな、まぁそうあるべきだよな、と。といってもさっと切り上げられるものではなく概ね平均すると、終業後1時間以内の範囲で残業をして帰宅するスタッフが大半であり、このWorking long hoursに当てはまるように継続して長時間労働を強いられているスタッフはほとんどいないと思えます。そう考えるとこの統計でロシアが高いランキングである点、理解できます。一方、同じように仕事にかける時間が少ないものの給与レベルが高い、ランキングトップを占めるオランダやデンマークなどと比べると一般ロシア人スタッフの給与レベルは大変低いものです。

給与を毎月貯金できているのだろうか?大半のスタッフは毎月のやりくりでやっとのはずです。スタッフは給与日になると「お金何時に入金されるの?」「あっ、給料が振り込まれた、やった!」という声がフロアから聞こえてくることあります。街中のATMも行列になっている光景を目にします。

給与レベルについては別の機会に書きたいと考えています。2018年の公式発表によるモスクワの平均給与は81,841RUB(本日現在の為替で136,400JPY)。これでも首都モスクワでの生活には安い気がしますが、この数値自体が一般市民の平均給与を上回っているような気がしてなりません。実際の感覚としてはこんなに高くないのでは?

МРОТ (минимальный размер месячной оплаты труда、ムロトゥ)とよばれるロシア労働法133条で定められた雇用者が支払うべきモスクワの最低月給額の公示額は2019年より18,781RUB(同上31,300JPY)となっています。一体これで何ができるのでしょうか…ちなみに、本日入ってみたお酒屋さんでサントリーウィスキー山崎が約9,000RUBで販売されていました。 ワークライフバランスは人を幸せにするのか?少なくとも、労働時間が短いことだけを取ってみてもその国の幸福度を評価するには難しいということでしょうね。でもロシア人スタッフが毎日ワイワイガヤガヤ楽しそうに職場での時間、お昼の時間をみなで楽しんでいる姿を見ると、なんだか幸福度は日本人より高いのでは?と思えるときもあるのです。

Detailへのこだわりー一長一短 / Stick to detail – pros and cons

この週末は青空が広がるとてもすてきな日中の陽気となりました。もちろんまだコートは必要ですが、風が優しかったです。地下から一時的にモスクワ川の上を走る地下鉄の上から眺めるロシア連邦政府庁舎のWhite house(белый дом)を眺めて。印象深いエリツィン大統領が命じてこの建物に戦車での砲撃をしたのが1993年10月。数えてみるとすでに25年以上が経っているのですね…。今でもこの建物近くには当時を物語る新聞記事が貼られたボードや、犠牲者と思われる方々への記念碑が立っています。

取引先のロシア企業のロシア人マネジャーと日本の話題になった。その方が言うには、日本はDetailへのこだわりが素晴らしい、ということ。以前に日本で生産された日本車とロシアで生産された日本メーカーの車とではDetailが異なる、とか。「自分でも確認したんだが、日本で製造された車は部品パーツを取り外すと、中に埋もれていた、外すまで見えなかった部分にまで色が塗ってある(手が施されている?)。ところがロシアで生産された日本メーカーの車となると、そうはいかなかった。」(ロシア語での会話を完全に理解できなかったため意訳になっています)

生産場所がロシアと日本とでは、コストや長年培われてきた職人技、経験なども異なるであろうし、その土地によって製造過程が異なることはあるでしょう、ここでこの方が言いたかったのは、「(自分の国民を若干自嘲的に見て)日本人はそこまで細かいところまで徹底してこだわる素晴らしい国民だ」ということ。

このDetailにこだわるレベルは、まさにロシア人スタッフと日本人会社員とで大きな差となって表れる部分だと思われます。数値資料のわずかな小数点以下の誤差、エクセル資料の罫線がが抜けていたり、ロシア語と日本語併記の資料段落がずれていたり、資料を綴じる際にファイリング用の穴を開ける位置がずれていて資料があまり見栄えよろしくなく閉じられていたり。作成資料を相手に送る際には、状況にもよりますが印刷プレビューで印刷範囲にきちんと収まることを確認してから送付すること、職場を後にするときの机の上の汚さなど…。どれもひとつずつ注意してゆかなければなかなか改善されない人もいます。決してロシア人全員がこうだ、とは言いません。中には素晴らしいロシア人女性スタッフもいて、整理整頓、他人への思いやりなどに富んだ彼女曰く、「親の教育の問題だ」とのことですがいかに?

Detailへのこだわり度合がロシア人と日本人とで異なる…と言ってもここに挙げたものはどれも当たり前のことと考えていますがいかがでしょうか、日本でも同様の状況に遭うことはあり、決して国民の違いに依るものではなく個人の問題?ただ、もちろん個人とは言い切れないものがあると思います。

例えば資料作成の際に体裁のこだわる姿勢。これも相手を想う気持ちがあってのことではないでしょうか、誰かがこの資料を見る時に見やすいようにしよう、相手が印刷したいときに時間と紙を無駄にしないようにあらかじめ印刷レンジを確認しておこう、など。一歩先を読んだ行動をしようと心がける。日本人として育ってきて、このような感覚を育む環境で生活してきたことは大きな宝物です。相手を想う自然な気持ちからの配慮。それが過度にルールとして厳格に適用されるときにもてなす側が疲弊する、そんな人に義務的に想われても逆に嫌な気分になる被害者。そんな状況が今日本でおもてなしの精神の危機として叫ばれているのかもしれません。

さて、来年度の予算計画を作成の際、ロシア人スタッフから「これだけ時間をかけて厳密に作成しても、それがどれだけ意味があるのか分からない…」言われてしまいました。彼女の言わんとしていることはよく分かります。毎年のように増える、求められる報告事項も増えるレポート達。どんなに業務改善をしても一向に出口が見えない…自分は成長しているはずなんだが、なぜこうも忙しいのだろう、誰しもがそんなことを思うこと、あるはずです。ただレポートを作成すると、準備の過程で数値の背景や自分の考えを精査するよい機会となり納得感が高まります。私はレポート作成に費やす時間を決して好きとは言えませんが、今でも重ねる失敗を経て、レポート作成にきちんとこだわることの重要さを噛みしめています。Detailを詰めることで自分の把握力が高まること、今後の毎月の業績レポートの中で計画との差異説明を要求されるときに答えやすくなる、さらにExcelスキルを高めるチャンスと思っていれば、総合的にみると無駄なことはないと感じています。

突発的に起こる大きな課題もあります、そんなときに資料のDetailにこだわっている、なんてことはできませんし、必ずしもすべてのレポートに全力投球ともゆきません。各々の場面で重要性・緊急性のPriorityを正しく付ける能力と的確に処理できる能力を鍛えることの大切さをロシア人スタッフから学んでいるところです。ソヴィエト連邦崩壊、1998年・2014年のロシア危機、そんな状況を経験してきたロシアの人々。金銭的にも自然環境も厳しい生活環境、低い給与レベルの中でもたくましく生きるロシアの人々。力強いです。

自分の発言・行動に自分なりの裏付けを / Why so ? (the reasons why I do this or that)

市内を走る路面電車(трамвай)での一コマ。まだマイナスの気温の日もありますが、明らかに日の出も早くなり、太陽を見ることも増えてきました。春は着実に近づいています。

10年以上近く経つだろうか、会社研修の講師の一言をいつも思い出します。「一つだけ確かなことは…自分の行動の理由を自分なりに説明できることが重要だ。」ということ。

今でもロシア人スタッフに「なぜ?」「どうしてもこうしなければいけないのですか?」と直球で返される中、「いや、本社にそう言われたから」「上司がね…」「う~ん(なんでだっけ?と考えだす)」これは許されません。すべての上からの指示がすんなりと腑に落ちるわけではないことは確かですが、よく考えてゆけば一つ一つの指示には意味があるはず。(本当におかしいと思えば、自分の権限の中で敬意を持って自分の意見を発言すること。)部下に指示をするときには、自分なりの説明ができる準備をいつもできているように。実務からこの講師の方の発言の大切さを日々噛みしめています。

部下のために、ロシア人スタッフ全員のために良かれと思ってITの知識を共有したり、勝手にオフィスレイアウトを変えて少しでも改善できればと思ってやってみたり。「なんでそんなことが必要なんでしょうか?」「気を配ってくれるのは感謝ですが、私には前のレイアウトのほうがいいです。」など、自分の行動が全く評価されないことは日常茶飯事。

そんなときに、常に自分の行動基準が他人視点であればがっかりしてしまう度合も深いかもしれません。一方で、常に自分なりに理由をもって行動した結果であれば、もちろん、自分自身も人間なのでその時には「そんな…休日にわざわざ来てやったのに…」というショックは一時的にあるのですが、自分という支点から行動した結果であるので結果を苦笑しつつ肯定しやすくなります。

どんなときにも、Why so?なぜ自分はこうするのだろう?そう考えて仕事に取り組むことー見えない負担も心身にかかっているロシアでの日常業務の中で大切なことの一つであると学んでいます。

仕事中の音楽は良いこと、悪いこと? / Listening to music while Russian colleagues work – OK or Not OK?

モスクワ市民なら納得する安全志向の食品を提供するお店、Вкус Вилл(フクースヴィル)。2009年にモスクワで健康志向の食品を提供しようと始まったИзбенка(百姓の家を意味するからきている言葉)というお店がもとのようです。もともとは乳製品を主力に取り扱っていたようですが、モスクワで健康食品に対する需要が高まり、2012年にВкус Виллという新たな名前でスタート。市民のニーズとも合致して、とても成功している、成長しているお店と言ってよさそうです。おばちゃんのユニフォームには「質問があればどうぞ尋ねてくださいね」と書かれています。

日本で仕事をしていた数年前まで当たり前と考えていた「音楽を聴きながら仕事をしない。」

ロシアに来てからこの常識が完全に打ち砕かれました。「音楽を聴いて仕事をしないこと。集中力が下がるからやめたほうがよいよ。」

すると「いや、XXXさん、そんなことありません。作業をして音楽を聴きながら仕事をすると気持ちの切り替えができて効率が上がります」「他の雑音をシャットダウンするために必要なんです」

「どんな音楽を聴いてるんだい?」「チャイコフスキーです」「(ほんとかよ…)そ、そうなんだ」なんだかロシア人がチャイコフスキーを聴いている、と言われてしまうと何も言い返せませんでした。しかしクラシック…?うまく切り返されてしまいました。

さて、その後インターネットのリソースをいくつも検索してみると、一概に仕事中に音楽を聴くことは決して悪いことではないこと、これは確かなようだ、と学び目から鱗が落ちました。詳しいことは専門家の方々の見解を参照するとして、ここで大切なことは自分が常識と思ってきたこと、それが決して正しいことではない、ということ。音楽を聴こうという気持ちになる外的要因も知る必要がありそうです。オープンスペースで仕事をしているので周りの音がうるさくて集中できないのかもしれません。単純作業の繰り返しが多い経理スタッフは、仕事にリズムを付けるため、モチベーションを維持するために自分のお気に入りの音楽を聴いているのかもしれません。音楽を仕事中に聴く=悪。こんな常識を取り除き、ゼロベースでなぜこれがダメなのか、いや実は効果的なケースもあるらしい、それはどんな時なのか?さて、うちの状況はどうなのだろう、そんな風に柔軟に考えてゆくときに部下のロシア人と分かり合えるときが生まれるはずです。そしてこちらも新たな価値観を学ぶことができ、相手も上司に分かってもらえたことを喜ぶはず。

ロシア人スタッフの中にも音楽を聴いて仕事をするのは効率が悪い、と考える人がいるでしょうし、大切なのは許される範囲での個人に合った仕方での業務の結果を最大限にできる方法を発見すること。企業によってもオフィス文化の違いがあります、オフィス内で何が議論されているのか把握できるので全員がオープンスペースに座って交流できるオフィス。管理スタッフは事務職で静かな隔離されたスペースで仕事をするべきだ、という会社のオフィス。フリーデスク制度の会社(あくまで私の周りにいる多くのロシア人スタッフ曰く、フリーデスクは嫌だ、という人が大勢を占めます。机の周りをある高さで仕切りに囲まれている、そのスペースが自分の大切な個人の空間だからのようです。友人との写真や旅行の時に購入したであろうポストカード、中にはイコン(聖書にまつわる聖人やイエスキリストなどの人物が描かれた聖像)を飾っているスタッフもいます。1日の最低1/3の時間を過ごす場所。やはりそれだけ職場の自分のスペースを確立することは重要なことかもしれないですね。

さて、今では私も(滅多にありませんが)音楽を聴いて仕事をすることもあります。それは例えば、かつての職場ではほぼ無かった業務、定期的に発行している会社情報誌を作っているとき、残業中に疲れて少しリラックスして残務にとりかかる際に一時的に聴いたりするとき。いずれの場合にしていも、集中して取り組む業務の際は、やはり音楽無しが一番なのは間違いないようです。それもまた、あくまで自分の業務内容だからそう言えることかもしれませんが、自分と向き合って、何が生産性向上のために必要なことか、それは自分だからなのかもしれず、他人に同じ常識を押し付けないこと、部下の様子をみて会話してその人を観察し自分の価値観も伝えてお互いの理解度合を高める。そんな地道なステップが部門全体のパフォーマンス最大化への歩むべき(歩まざるをえない?)道なんだと学習しています。

イヤフォンを付けて仕事をしているスタッフで唯一の難点は呼んでもなかなか答えてくれないこと。ロシア人スタッフ通しでも向かいの子が長い定規を使って仕切り板をトントンと叩いて、「こらっ、何度呼んだらすむの!」と怒っている光景に思わず微笑んでしまいます。

ロシアの冬、”人間力”との闘い / Battle for “Humanity” in Russian winter

業務効率化の目的でIT機器を探しに訪れた電気屋街にて。堂々とTOSHIBAと名乗ったお店の中にはacer、Dell、LenovoなどのLaptopが並んでいました。お店の看板からTOSHIBAは取り外すべきではないだろうか?

ロシアの冬。

ただでさえロシアでの生活は行動範囲が限られているのに、それに輪をかけて制限が与えられる。雪が降って解けて凍った足元をよちよちと歩くのも一苦労。夏は10分でゆけた距離が時計を見ると15分以上かかっている。太陽の日差しも浴びること機会も少なくなり、何だかいつも眠い気がするしだるい。なぜだか分からないけれど、冬になると人も怒りの沸点が下がってしまい、ちょっとしたことでも火がついてしまう。そんなこんなで皆早く春の訪れをイライラしつつもうずうずとしながら待ち遠しく焦がれている。

といっても冬のロシアは汚い部分も一時的に白の世界で覆われて、公園も川も全く違った様子を見せてくれるのはとても好きですが、今回のテーマは主に人に関して。

冬を過ごして、いかに基本的なことがとても大切なことか学んでいます。よく寝て、健康を保ち、病気にならないこと。それに尽きます。

毎日の仕事量が多く、やるべきことに追われる中でなかなか仕事を切り上げることは難しいのが事実。でも、明日のことを考えると明日はまた明日で闘わなければならない。でも今の仕事を途中で終えるのはダメ。なのでやる。でもそうすると帰れない。実際帰れない…。そうなると業務内容そのものを見直し、効率的に働く必要が出てくるので今度は体のケアだけではなく、テクニカルな面でも取り組みが必要となってくる、そんなわけですべては一緒になっていて切り離すことはできないですね。身体が強靭であっても、24時間という有限のものは誰もが同じであり、さすがに寝ずに仕事を続けることは不可能。やはり休息が必要です。

まず身体があって、次に業務改革。身体が元気であればまず自分の気持ちをコントロールすることも容易になる。眠い、だるい、体調が悪くて気持ち悪い…そんなことでは集中力も続かず、イライラしやすくなる。身の回りで起こる大多数の問題は、怒りのコントロールができなくなった時に発生するものが多いように感じています。それは心身のどこかにストレスを抱え込んでいることが原因ではないでしょうか。自分の人間力を高め続ける。限界の無い挑戦。

決して睡眠が最善の解決力ではないものの重要なポイント。心配事があれば今度は熟睡できなくなるので「さあ、よく休んで眠りましょう!」なんて言っても全く説得力がないのですが。

かつて、4:30起床で生産性Upを、といった類の本を読み、これだ!と思い実践したことが一時期ありました。実際に行うことは大変難しく、むしろ生産性ががっくりと落ちてしまいました。ミスも連発。ハウツー本は、「どのように」の技術面を中心に記載していますが、大切なのは「なぜそうすることが必要なのか」という本質を常に考えることが大切だと、かつて何十冊もそのジャンルの本を買い込んで読み漁ったあと、実際に取り組んでみてすべてが決してうまくいかなかった経験も踏まえて学習しました。例えば、4:30に起きること、何時間勉強したか、何時間机に向かっていたか、何冊本を読むのかなど、それ自体を達成すること自体が目的となり、本来の大切な本質を忘れてしまっていたことがあります。あとは、あらゆるハウツー本に手を出しているとき、それはきっと自分に自信が無いから、読んで自分は成長した気分になる、それに浸っているだけであると経験から考えています。もっと自分の経験から学んできた自分にふさわしい方法に沿って、かつ常に自分にもっと合った方法がないか試行錯誤し続けてゆくことが必要なのでしょう。

よい睡眠をとるためには、とくに冬は長めの休息が必要。4:30起床は無理。何よりもよい睡眠を。それと共に高い集中力を。その中で可能な業務効率化を。そして何よりも人間力の向上を。そもそも人間力、という言葉自体が多くの意味を包含していて形容が難しいです。