Todoリスト:消し込み方式 vs 積み上げ方式。ポジティブに生産性を高めてくれるのはどちら? / Todo list: erasing method vs stacking method. Which one will positively increase your productivity?

オフィスで会社で雇っているロシア人運転手と雑談していた時のこと、日々のタスクの管理方法について話題になりました。「何かで読んだんだけど、一般的な日々のTodoリストはその日にやることを書き出し、完了したら消してゆくものだけど、そうじゃなくて、完了したことを一つずつ書き出してゆくといいらしい。そうすると、自分の達成したことが目に見えて気持ちがポジティブになるんだって。」という。

Todoリストにやるべきことを書き出すと、いくら書いても終わらない。あれもこれもやりたい、と欲が出てきて、きりがない。そして一日の終わりに手を付けられずに残ったタスク一覧を見ていると気持ちも憂鬱になってくる。そうであれば、そんな方法は止めて、今日できたことを書き出してゆくほうが健康的というわけだろう。

「生産性をあげるためには、やることを減らせばよい。」これは聞けば当たり前だし、多く方がずっと以前から発言されている真実だと思いますが、初めて聞いた時には衝撃的でした。生産性を高めるためには、いかにできることを増やせないかと苦心して、早起きして、集中して取り組み、無駄(と思える)ことを削り、食事の時間も…と考えていた。けれども、生産性を高めるための答えは実はとてもシンプルな発想の転換。実際にやらなくてよいことは実は多い。不要と思われる事柄を削ってゆくと、必然的に残ったものにかけられる時間と気力が増える。

といっても、やるべきタスクの一覧表は何かしらの形で持っている必要があるわけで、何も考えずに今日やったことを書き出してゆけばよい、というわけではないけれど。実際、私自身はいまでもTodoリストの一覧表を見て、今日やるべき仕事に取り掛かっているので、ドライバーから勧められた方法を活用しているわけではありません。今日完了したことを書き出すのは日々の日記の中くらいです。

運転手との会話から学んだのは、日々の仕事の中でポジティブな状態にもってゆける自分に合った方法を試してみること。人によっては今日やる予定のタスクが一つずつ消えてゆくことに満足を覚える人もいれば、達成できたことを書き出して積み上げてゆくことを喜ぶ人もいる。何が正解なのかは人それぞれ。これまで考慮してこなかった方法にも先入観持たずにトライしてみて自分に合っているかどうか確かめる。日々出会う新たな考え方を学び、その方法を取り入れてみる。そんな風にしながら自らに合う生産性を高める自分なりの方法を生み出したいものです。

これだけは真実だと信じているのは、タスクを管理するツールやその高度な機能を活用することや定期的にメンテナンスすることに時間を取られないようにすることの大切さ。あらゆる種類のTodoリストのアプリが世の中に存在する中で、色々と試してきましたが、実は何の変哲もない「メモ帳」が一番シンプルで実用的では?と思ったりしています。起動もサクサク、中身も文字だけのシンプルさ。自分の脳ミソにヒントを与えてくれるキーワードを入れておくだけでも(あまりにも抽象的なものは後から見直しても助けてくれないかもしれませんが)やるべきことを頭の中にリマインドしてくれる。チームでプロジェクト管理するならば別ですが、個人のTodoを管理するには、そんなシンプルさが十分では、と。今日一日で達成したこと、感じたことや反省点は日記へと。そうすればポジティブな気持ちも保てます。反省点が多い日には早く寝てしまい、新鮮な気持ちの翌朝に昨日を振り返るほうが良いかもしれないですね…。

スタッフの採用決定、その前にもうワンステップを。/ One more step before deciding to hire staff.

ロシア人スタッフの採用を決定する際には、履歴書(CV / Resume)にある、その人が過去に勤務していた企業の同僚にコンタクトして、一緒に勤務していた彼らからの第三者の評価を得ること。これは欠かさずに行うことをお勧めしたいです。これは自分自身の失敗から得た反省点でもあり、他社に「なぜこちらに連絡してこなかったんだ…」という気持ちからでもあります。

特に、過去に勤務していた企業の中に日系企業があれば、ほとんどのモスクワにオフィスを構える日系企業が入会しているジャパンクラブにコンタクトリストがあるので、その企業に連絡してみる。たとえ面識がない人だとしても、知り合うきっかけにもなるし、聞くのは決して無駄なことではない、と思っています。

ロシアでは、大抵の場合、採用面接に来るスタッフは推薦状を用意しています。自社を退社する場合にも、良好な関係の下で退社するスタッフからは「将来のために必要となるかもしれないので、私の推薦状にサインをお願いします」といって、本人が作成してきたドラフトにサインをしたことが何度がありました。本来は私が内容を考えて書く必要があるのかもしれませんが、現実には本人自身が自分の行ってきた業務や能力を褒め上げる内容を書出し、それがあまりにも事実から外れていない内容であればサインをする、そんな流れでした。

クビにした人材が他の日系企業のマネジャーを務めていると人づてに耳にしたときにはただただ驚くばかり。どんなに口が達者で、履歴書には立派なことを書き上げ、MBAを取得しているからといって実際に仕事ができるか…それは別問題です。面談でも流暢な英語を話し、ロシアに来て間もない日本人駐在員にロシアビジネスを語り納得させ、私を雇えば必ず成果を出しますからご安心ください、と納得させ…いざ採用してみて、さあ仕事ぶりはどうか、と見ていたら、「ん?何か違わないか…でも、それは自分の勘違いだろうか」と自らを納得させようとして、気が付けば取り返しのつかないことに…。

まずはCV / Resumeでその人の経歴を判断し、能力をある程度確認したうえで面接に進むかを決定する。そして実際にロシア人スタッフの人事スタッフが面接で「OK、悪くない」と判断すれば、次のステップへ。英語で会話する時と母国語のロシア語でロシア人同士が会話するときの印象が大きく異なるケースも多々ありました。

さて、この人を真剣に雇用しようかという段階になると、本当にこの人で良いのだろうか、という迷いとの闘い。(厳密にいえば、迷った時点で採用を控えるべき、というのが人事の専門家のアドバイスかもしれません。実際のところ、絶対にこの人を取りたい、という人を採用できる場合は、非常に少ない、というのが事実ではないかと経験から感じています。その多くの理由は会社で出せる給与の条件に合わないケースがほとんどでした)でも、やっぱり「この人と一緒に働いてみたい。この人ならやってくれるのではないか。」という思いがあって次のステップがあるのは絶対です。もしかすると、今の会社の文化に合わないだろうかと思って採用してみたら、今は会社の中核人材になり、とっても貴重なメンバーになる人もいますし、会社が提示できる条件が決して本人の要求するレベルに達しないにも関わらず条件を飲んでくれたスタッフ。そのスタッフは本当に会社のために仕事を惜しまずにサポートしてくれて、休暇中でもチャットで対応方法を教えてくれたり。「私の携帯のバッテリーがなくなっちゃった!旦那の携帯で続けるから待ってね。」と言って、旦那さんの写真が入ったメッセンジャーアプリで会話を継続する何とも言えない違和感…(会社の社内情報をプライベートの携帯でやり取りしていたわけではありません、念のために。)、一方で3ヶ月間の試用期間中に騒ぎを起こし、そのまま去っていただくことになる人も。試用期間を終えるタイミングで契約を締結しないことを伝えると、会社の主要なデータを外付けハードディスクに全て移してしまい、スタッフが「XXXさん、大変です。彼女が会社のデータをすべて消去してしまって、サーバーからデータが消えています!」なんて慌てて状況の深刻さを伝えてきたこともありました。自分の仕事に自信を持っており、それでいてなぜ自分を採用しないのか、納得がいかない、という気持ちが背景にあったのだと思います。

採用は何度やっても難しい。見極める力が訓練されてきたと思いきや、毎回新たな課題と向き合い、失敗もすれば成功もする。もっともっと採用経験をこなせば掴めるのかもしれません。人事の本を読んで実践に移してみたり、経験者の話を参考にしてみたり。そんなことの繰り返しでした。もちろん、毎回ベストを尽くした結果です。

さて、本題に戻りますが、実際に一緒に働いたことがある人から聞く評価は貴重だと思います。日本での転職時の第三者からの客観的な評価をレビューすることはどれほど運用されているのか知りませんが、ロシアでは一般的と理解しています。それに、モスクワの日系企業のコミュニティは決して大きいものではありません。日系企業を好んで回るロシア人もいます。(他方で、日系企業では絶対に働きたくない、という人がいるのも事実)狭いコミュニティだからこそ、お互いに連絡を取り合って、日本企業を”カモにする”ジョーカー人材を引くことだけは避けたいものです。

現在日系企業に勤めていながらにして転職中であった人の勤め先に電話することはありませんでしたが、すでに退職した後であれば、その企業に問い合わせることは可能ですし、候補者が伝えてくれるコンタクト先がたとえその人のことを良いことしか言わないとしても、恐らく、一生懸命に、その人の課題を教えてくださいと言えば、言葉を選んででも伝えてくれるはず。ロシアでは、”お試し期間”が3ヶ月間(社長やマネジメント層であれば6か月間)与えられているからといっても雇用に関しては慎重に、慎重を重ねて慎重に判断を下すことの大切さをお伝えしたいです。

また、面接から得られる他社の状況はとても貴重でした。組織構造、会社のシステムは何を利用しているのか、それを目的に面接をしていたわけではないですが、管理部門とあっては悩みも組織の構造も似たようなものです。面接を通して得られる欧米系、ロシア企業の特徴も参考にする良い機会となっていました。単に人を採用する目的だけではなく、自分の会社の管理部門の在り方を客観的に観察するうえでも面接の時間は勉強となります。ぜひ、お勧めです。

他国と比べると日本の有難みが分かってくる ー 混沌としたベラルーシと比較して / Compared to other countries, you can see the value of Japan comparing to the chaos of Belarus

人が物事を判断する時、自分の知っている情報や、慣れ親しんだ環境を基準にするしかありません。この真実は駐在生活でよく学習した点の一つです。どんなに自分が経験が経験を重ねてきたからといって、どんなに多くを知っているからといって、新人スタッフのためになることをしてあげようと思って行動しても、それは相手にとってその時点では迷惑でしかないことも。その”迷惑さ”に有難みを感じてもらえる時期がいつやってくるのか、あるいは一生「面倒くさい人だったな」で終わってしまうのかは誰にも分かりません。折れずに続けられるかは、自分を信じれるかどうかにかかっていそうです。また、自分がどんなにたくさんの実務経験を積んで、ロシア企業での実務の実態を知っているからと思って行動しても、上司や日本の本社はそのような現場の事情ではなく、もっとロシアの域を越えて幅広い情報や、さらに高い視点から長期的な視点で物事を考えているケースだってあります。

そんなわけで、日本で生活していれば、文句言いたいところはたくさんあるけれども、世界に比べると、日本という国は今でも世界に比べるとずっと立派な国なのだ、そんなことをベラルーシのニュースを見ていて改めて感じました。マスメディアは一部を大きく見せる傾向があるかもしれず、この様子が全地で起こっているわけではないと思います。それでも、こんなことが起こっている国が他にあることを考えると、日本で生活していて日頃感じてしまう不満も考えすぎることなく、時として沸き上がる私たちの怒りを分散させることに役立つのかもしれません。

報道番組”Current time”(Настояшее Время)より(ビデオ 8:42~)

ロシア語で、Абсурд(アプスールドゥ=ばかげたこと)。英語のAbsurdと多少発音は異なりますが全く同じ意味です。とりわけ5つのばかばかしい理由でベラルーシ市民が逮捕されたことが取り上げられていました。ルカシェンコ大統領への抗議行動のシンボルとして掲げられる白赤白の旗。今ではこの色使いをしたものは、政府に反対する過激主義者として扱われ処罰されるという事件が起きているとのことです。

1.家の住所のプレートを赤と白で作成した家主が逮捕

通常、ロシアでも、道を歩いていれば必ず、通りの名称や通りの番地を示すプレートが掲示されています。ベラルーシのこの住民はこのプレートを赤と白で作成したようです(9:09~)。警察はこの行為を、家の主は正式に許可されていない抗議活動を、白赤白の旗をプレートの形で表示した̚かどで処分。約400ドルの罰金が科せられました。

2.娘の誕生日に花束をプレゼントした母親が350ドルの罰金を支払った(9:50~)

「これは花束の色が何色だったかは、容易に想像がつきますね。」とのこと。今のベラルーシでは花束の色を何色にするかも注意しなくてはならないという状況に。

3.赤と白のラインの飾りが入ったズボンを履いていた若い女性が拘束(10:10~)

一人の若い女性は、カフェから自分の車まで歩いているところを警察に拘束され、拘置所で過ごしたうえに罰金を科されたという。警察に「一体何の罪があって捕まえるの?」と尋ねると「つまり、自分のズボンについて何も言うことはないのか?」と答えが返ってきたとのこと。今では、どんなに赤と白の色合いが好きだとしても、家を出る前には自分の服装の色合いをよく観察して外に出る必要がありそうです。ベラルーシでは、白と赤のソックスを履いていた人が、その装いでもって反政府のデモ行動を行ったと見なされて逮捕されることが生じているようです。

4.ロシアでも有名なお菓子のパスチラによって年金生活の女性が罰金を科された(10:42~)

この女性は抗議活動としてパスチラを白、赤、白に色で作ったかどで罰金を科されたという

5.LG製のTVが入っていた白、赤、白の彩りの段ボールケースをバルコニーの窓に置いた男性が逮捕

窓辺に置いていたことで抗議活動に参加したと見なされ、15日間の拘束となった。(10:58~)

この5つのケースに続いて、ニュース番組内では”ばかげた”罪状で自由を奪われた人たちのケースが続いています。

上記のいずれの場合も、抗議の意図があって意識的に行った行為であろうことから、今の時世にこのような行動をとること自体が相応しくなかったのかもしれません。ただ、このようなことが理由で拘束され、罰金を科されるという理不尽な世の中が存在する、ということについて、日本に住んでいる感覚からすると想像がつきにくい事態です。

翻って今の日本。今はコロナのために旅行にも自由に行けず、外で飲み食いを自由にすることも憚られる時期。ストレスが溜まらないと言えばうそになります。そんな中でも、政治は回り、野党は元気に政権を批判し、国民は自由に首相に愚痴を言う。政府からの指示に従わない飲食店。日本はまだまだ捨てたものではありません。物事をポジティブに、あるいはネガティブに捉えるか、ほんのちょっとした考え方の違いから見方が良くも悪くも変わる。世界を見て経験すると、自分自身の幅もずっと広がりそうです。